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テクニック

2019年5月14日

小学生年代日本一の川崎フロンターレU-12が実践する「止める」技術

キーワード:インサイドボールコントロール全小大島僚太家長昭博川崎フロンターレ止める・蹴る田中碧

サッカーの基礎である、ボールを止めること。プレーの第一歩として、とても重要なものです。ボールをしっかり止めることができて、自分のイメージする次のプレーへと移ることができます。

2018年度の『全日本U-12サッカー選手権大会』で優勝した川崎フロンターレU-12では、ボールを止めることについて、どのような観点で指導をしているのでしょうか? 高田栄二監督に話を聞きました。
(取材・文:鈴木智之)

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自分が思った所にボールを運べる、そのために必要な「止める」技術とは

■日本と海外選手で大きく異なるポイントとは?

――川崎フロンターレのジュニアでは「ボールを止めること」について、どのような指導をしていますか?

フロンターレのジュニアはU-10からですが、ボールを蹴る・止めるという、いわゆるパスの部分からスタートしていません。それよりも、個人でボールを運ぶことやボールを持って仕掛けるといった部分から始めています。それがU-11、U-12になると、トレーニングのメニューの中に、パスをする、パスを受ける部分の割合は増えてきています。U-12になれば、なにか特化するというよりも、ボールを運ぶこともやりますし、ボールを止めること、蹴ることなど、幅広く取り組んでいきます。

――ボールを止めることが、オン・ザ・ボールのプレーの基本とも言えますが、どのような練習をしていますか?

練習メニューとしては、向かって来たボールを足のインサイドでボールを止める練習もしますし、ボールと一緒に身体が運び出るような動きや、いわゆるパス&コントロールの練習もします。まず、自分がイメージしたところにボールをきちんと止められることが大切で、その次に自分が思ったところにボールを運ぶというイメージです。

――レベルやカテゴリーが上がれば上がるほど、「プレッシャーの中での技術の発揮」が重要になります。そこについては、どのように指導をしていますか?

個人的な意見ですが、プレッシャーの中での技術の発揮状況に応じた技術の使い分けは、日本はヨーロッパや南米のトップレベルと比べて、もっと突き詰めなければいけないと感じています。技術練習をさせたら、日本の子達とヨーロッパの子達を比べても差はないと思います。でもそれが、プレッシャーのある実戦の中でできるかというと...。プレッシャーの速さが、日本と海外の違いでもあると思うのですが、相手がボールを奪いに来る中でトレーニングや試合ができているのか。その差でもあるように思います。

■イメージする力も上達のポイント

―― 激しくボールを奪いに行く状況を作り出すことなどは、トレーニングの中で促しますか?

はい。相手がいないドリルトレーニング以外は、攻撃側、守備側と別れているので、ボールを奪いに行く部分は強調します。その激しさがないと、実際の試合には近づかないですよね。ただ、子どもたちのイメージ力の差はあると思います。実際の試合をイメージしてできる選手とそうでない選手がいます。ドリルトレーニングのときも「相手がいなくても、いるようなイメージでやろう」と言っています。

――相手がボールを奪いに来る中で、取られないようにボールを止める、運ぶ、体でブロックするという技術は、10歳、11歳、12歳の頃からやっていた方がいいと思いますか?

どんな技術の練習も、小さい頃からやっておいた方がいいと思います。ただ、U-10などの小さい年齢では、自分でボールを扱うこと、運ぶこと、相手を抜くことから入っていくことが普通だと思います。サッカーを始めた子達は、まずボールを足で扱うのが楽しいところからスタートしますよね。そんな子たちに、いきなりパスサッカーから入ってもおもしろくないでしょう。まずはボールに触りたいというところから入って、どこかのタイミングでボールを止めること、蹴ることの指導に移っていきます。

多くの子どもたちが、サッカーを始めたころはただボールがあるところに集まる団子サッカーですが、年齢が上がるなかでだんだんとピッチの広がり、選手間の広がりが出てくることで蹴る、止めるの要素が増えてくるのではないでしょうか。

うちはU-10から選手が所属し始めて最初はボールを扱う、運ぶ、操るなどの個人のスキル練習や、相手をどう抜いていくか、どう逆を取るか、どう失わずに運ぶか、などのトレーニングの割合が多いところから、徐々に止める・蹴るの要素の多いトレーニングが増えてきます。

■大島良太選手、家長昭博選手の「止める」プレーのうまさ

――「ボールを止めるというのは、ボールが完全に静止している状態」と風間八宏氏(元川崎フロンターレ監督)が言っていました。フロンターレでは、そのような認識なのでしょうか?

私は所属期間が重なったわけではないですが、アカデミーの指導者には風間さんのアシスタントコーチをやっていた人もいるので、普及にも育成にも、そういう考え方は降りてきていると思います。ボールを回転させずに止めるのは難しいんです。練習の中では、少し回転がかかっていると「止まってないよ」と言うこともあります。すごく難しいことですが、そこに目を向けさせる働きかけはしています。

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ボールをしっかり「止める」というのは、レベルが上がっていくほど必要な技術

 

――トップチームで、ボールを止めるプレーが上手だと思う選手はいますか?

練習を見ていて思うのは、家長昭博選手や大島僚太選手ですね。当然、みんなうまいのですが、その二人はとくにそう思います。練習後に家長選手が狭いグリッドの中で、来たボールをピタッと止めて、方向を変えてパスを出すという練習を繰り返していたのですが、それを見てすごいなと思いました。右から来たボールをトラップしてターンして、パスを出すという基本的な練習なのですが、ボールがピタッと止まりますし、動きがスムーズで無駄がないんです。田中碧選手も、試合に出ていない時は、練習後に居残りで基礎練習をしていました。やはり、そういう選手は上手ですよね。

――たしかに、家長選手は足元で止めるところ、運ぶところ、キック動作へつなげるところのつなぎ目がないと言うか、スムーズな印象があります。

それこそが、実戦で使える技術だと思います。プレーのイメージがまずあって、そのイメージ通りに身体もボールも扱える。止める、運ぶ、相手から遠ざかるといったプレーの中で、正確にできるので身体のバランスも崩さない。次のプレーに繋がる場所に、ボールをしっかりと止めるというのは、レベルが上がれば上がるほど必要な技術だと思います。

子どもたちにも「ボールは止まっているけど、足元に入りすぎているので、キック動作がスムーズに行かないよね」などと言いますし、ボールを止めるプレーのずれが、パスのずれにも繋がるので、そこは大事にしたいところです。

後編では実際にどんな練習をしているか、ほんの一部ですがポイントを動画で紹介しますのでお楽しみに。

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高田栄二(たかだ・えいじ)
川崎フロンターレ育成部アカデミーU-12コーチ
早稲田大学卒業後1997年に川崎フロンターレに入団。プロ契約せず富士通の社員選手としてプレー、99年には川崎フロンターレのJ1昇格に貢献。2001年現役を引退後は指導者の道へ。早稲田大学ア式蹴球部女子部コーチ、JAPANサッカーカレッジ高等部コーチ、グランセナ新潟FC監督などを歴任し、2014年より川崎フロンターレU-15、U-13のコーチに就任。日本サッカー協会公認A級ライセンス保持。

トップチームの試合結果からアカデミーの紹介まで
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取材・文:鈴木智之

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