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イタリアのサッカー少年が蹴球3日でグングン伸びるワケ

第3回 イタリアの子どもたちは"蹴球3日"で遊んで育つ

公開:2018年12月13日 更新:2018年12月20日

キーワード:イタリアカルチョの休日トレーニング休息子どもたち小学生居残り練習朝練走り込み遊び

朝練なし、居残り練習なし、ダメ出しコーチングなし、高額な活動費なし。ワールドカップで4回の優勝経験があるイタリアの小学生は蹴球3日でグングン伸びる。カルチョの国の少年たちと日本の育成現場は何が違うのでしょうか。

ロベルト・バッジョにほれ込みイタリアに渡って20年、現在は14歳の息子のサッカーライフを通じ、イタリアのサッカー文化を日本に発信する筆者が送る、遊びごころ満載の育成哲学とイタリア流ストレスフリーな子育てを描いたサッカー読本「カルチョの休日 -イタリアのサッカー少年は蹴球3日でグングン伸びる-」から、内容を少しだけご紹介します。

第三回目はイタリアの子どもたちの練習日程です。夏休みは丸々オフ! プロの下部組織でさえ日本の子どもたちと比べると驚くほど休みが多いのに、長期休暇にグングン成長するのはなぜ? たっぷり遊んでぐっすり眠って見違えるほど大きくなる子もいるのです。

(テキスト構成・文:宮崎隆司)

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■イタリアの少年サッカーは休みだらけ

イタリアの子どもたちは、どのような流れでシーズンを過ごしているのでしょうか。ここではフローリア2003に所属する、14歳の私の息子が過ごした2017-2018シーズンをサンプルに見ていきます。無名の街クラブも有名なプロクラブも基本的には同じスケジュールです。

■年間スケジュール――夏休みの3カ月は丸々オフ!

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まずは年間スケジュールから。イタリアではバカンスが明ける8月末から9月上旬に、新シーズンへ向けたプレシーズン・キャンプが行われます。期間は10日前後、もちろん参加不参加は任意です。

リーグ戦は、前述したようにセリエAとほぼ同じスケジュールで行われ、新学期が始まる9月15日の2日後、9月17日に開幕して翌年4月28日に終了。7カ月半で30試合を消化する長丁場でした。

もっとも、リーグ戦が終了しても活動は続きます。5月から6月上旬には、各クラブが主催する複数のミニトーナメントに参加。そして6月8日に学校が終業。ここから3か月にも及ぶバカンスが始まります。この間チームは活動を停止。練習は一切ありません。海水浴と砂浜のサッカーで散々遊んでぐっすり眠ると、成長が促進されるのか、夏を境に見違えるように大きくなる子どもも少なくありません。

このように、イタリアの少年チームが活動するのは1年のうち9か月だけ。真夏も練習を休まず、1年中活動している日本のチームと比べると、イタリアの子どもはかなり休んでいることがわかるでしょう。

■週間スケジュール――サッカークラブの活動は週3日

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次はシーズン中の週間スケジュールを見ていきます。

リーグ戦は土日のどちらかに行われ、日曜が試合の場合は、火曜と木曜の2日だけ練習が行われます。土曜が試合の場合は、月火木の3日間、練習が行われます。火曜の練習は自由参加です。

ちなみに街クラブの練習頻度は「週2日」が大多数。「週3日」はかなりの少数派です。これ以上の頻度で練習をしているチームは皆無に等しく、1週間のうちにオフが1日もないチームはありえません。

つまり、1年で9か月、週2日の練習と週末の試合が続く"蹴球3日"のイタリアの子どもたちは、年間110日から120日ほどしかチームで活動していない計算になります。これだけ練習日が少ないチームは、日本の中学や高校の部活ではほとんどないかもしれません。

■「休養」こそ最高の練習

ここまで、イタリアのサッカー少年のスケジュールを見てきました。この中には日本ではお馴染みの"あるもの"がありません。気づきましたか?

正解は「朝練」「居残り練習」です。

さらに練習内容に目を向ければ、日本にあってイタリアにないものはほかにもあります。例えば、日本で日常的に行われている「走り込み」がありません。また監督の「説教」「体罰」もなければ、「大勢の控え選手」「上下関係」もありません。

イタリア人が長時間練習を行わないのは、「長くやれば上手くなる」という発想がないからです。彼らはむしろ「練習のやりすぎは良くない」と考えます。いわゆる"猛練習"は、さじ加減を間違えると「最悪の練習」になります。十分な睡眠を確保するという観点からも、朝練や居残り練習は見直されるべきでしょう。

休養は子どもの身体をケガから守るだけでなく、成長を促します。休養の中で最も重要な役割を担っているのが睡眠です。眠っている間に子どもは身体を修復し、成長していきます。イタリアの指導者の多くが「休養こそ最高の練習である」と口をそろえるのはそのためです。

次ページ:プロの下部組織で義務付けている睡眠時間は

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構成・文・写真:宮崎隆司

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