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イタリアのサッカー少年が蹴球3日でグングン伸びるワケ

2018年12月 7日

第2回 イタリアの子どもは自分でポジションを決める

キーワード:イタリアカルチョの休日トレーニング子どもたち小学生遊び

朝練なし、居残り練習なし、ダメ出しコーチングなし、高額な活動費なし。ワールドカップで4回の優勝経験があるイタリアの小学生は蹴球3日でグングン伸びる。カルチョの国の少年たちと日本の育成現場は何が違うのでしょうか。

ロベルト・バッジョにほれ込みイタリアに渡って20年、現在は14歳の息子のサッカーライフを通じ、イタリアのサッカー文化を日本に発信する筆者が送る、遊びごころ満載の育成哲学とイタリア流ストレスフリーな子育てを描いたサッカー読本「カルチョの休日 -イタリアのサッカー少年は蹴球3日でグングン伸びる-」から、内容を少しだけご紹介します。

第二回目はイタリアの子どもたちのポジション決めです。日本ではDFやキーパーを「親が」嫌がったり、指導者が押し付けた... といった声も聞かれますが、イタリアの子どもたちはどのようにポジションを決めているのでしょうか。そして、日常生活を通じてイタリアのサッカー少年たちがどうやって自立していくかも参考にしてみてください。

(テキスト構成・文:宮崎隆司)

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■息子のクラブの愉快な仲間たち

14歳になる私の息子が所属している《フローリア》は1960年7月29日の夜9時(!)に、バール(=Bar、飲み屋)の常連客によって立ち上げられた街クラブ。飲み屋の常連がクラブを創るというのは、どこの国も同じです。

息子はこのフローリアの2003年生まれの子どもたちチーム(以下、フローリア2003)でプレーしています。フローリア2003には、個性的という表現では物足りないくらい濃いキャラクターのチームメイトが大勢います。ここでは"ある理由"からチームを離れてしまった"かわいそうなフィリッポ"のことを紹介したいと思います。

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フローリア2003のメンバーと親たち。

■フィリッポ――礼儀正しい優等生だけど...

裕福な一家に生まれた礼儀正しいフィリッポは、フィレンツェ屈指の名門校に通い、成績もトップレベルです。しかし、「天は二物を与えず」とはよく言ったもの。サッカーはお世辞にも上手いとは言えません。

本人はサッカーが嫌いではないようです。しかしサッカーを続けているのは、父ファブリツィオの影響を抜きにしては考えられません。若いころセリエC目前まで行ったファブリツィオは、昔からバッジョ(元イタリア代表)やドゥンガ(元ブラジル代表)と親交があることもあってか、「息子には才能がある!」と信じて疑いません。ちょっと困った"親バカ"ぶりです。

勢い余った父は、フローリアで愉快な仲間たちと楽しくやっていたわが子を、強い街クラブに入団させてしまいました。おかげで息子には、ほとんど出番がありません。

それでもフィリッポは健気にサッカーに取り組み、かなり上手くはなりました。懸命の努力でリフティングも上達し、"大車輪"(※)も習得。そんながんばり屋のフィリッポを、私も息子も心から応援しています。

※リフティングで浮かせたボールを、浮かせたその足でまたぐ技。別名"アラウンド・ザ・ワールド"。

「いい子」でいるのはいいこと?

次に、子どもたちのポジションがどのように決まっていくのかを説明します。

イタリアの子どもたちは自立心や主体性がとても強く、大人の言いなりにはなりません。それが顕著に表れるのがポジションです。

日本では近年、幼いころは多くのポジションを経験させる方がいいという考えが広がっているようです。確かにそうすれば、自分に合う場所が見つかるかもしれません。

しかし、イタリア人はそうは考えません。サッカーは自分がやりたくてやるものであって、誰かにやらされるものではないからです。自分のことを自分で決めたいイタリア人は、子どもであっても自分のやりたいポジションをはっきりと主張します。

イタリアの子どもたちは、「このポジションがやりたい」という強い意志を持ってグラウンドにやって来ます。例えば息子のチームメイトに、ロッコという名の少年がいます。彼は誰がどう見てもストライカータイプなのですが、本人は「オレはセンターバックとして生まれてきた」と信じて疑っていません。そんなロッコをフォワードにコンバートしようものなら、すぐにクラブを移籍してしまうでしょう。

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息子のチームメイトのロッコ(左)とその父アレッサンドロ(右)。

もちろん子どもですから、ある日突然「違うポジションをやりたい」と言い出すかもしれません。でも、そこに自分より上手い子がいたら......。がんばって追い抜くか、ポジションを変えずに続けるか、クラブを変えるか。選択肢はいくつも考えられますが、決断はある程度、本人に任せられます。

イタリアの子どもたちは幼いころから日常生活の中で、自分で決めて自分で責任を取るという習慣が身についています。「ああしなさい」「こうしなさい」と大人に言われてやるのではなく、自分の意思でやることを決めていきます。失敗を繰り返しながら、その都度、自分で解決策を見つけていくのです。これはとてもいいことではないでしょうか。サッカーでは監督が戦術の大枠や出場メンバーを決めるものの、プレー中の一つひとつの判断は選手自身が下さなければならないからです。

いつも親や監督の言うことばかり聞いていると、試合の中で問題に直面するたびに戸惑ってしまうことになります。サッカーは自分の頭で解決策をひねり出し、ゴールを目指すゲーム。それが上手くできるようになるには、日常生活の中から自分で判断して行動する機会を与えた方がいいでしょう。

次ページ:日本と比べると不便だからこそ身につくもの

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構成・文・写真:宮崎隆司

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