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考える力

柴崎岳ら約40人ものJリーガーを生み出してきた青森山田・黒田監督に聞く「良い選手」の条件

公開:2019年7月23日

キーワード:Jリーガーチャレンジ室屋成指導者柴崎岳観察青森山田高校高校サッカー選手権大会黒田剛

高体連屈指の名門として、40人を超えるJリーガーを輩出する青森山田高校。近年は過去3年で選手権2度、高円宮杯U-18リーグチャンピオンシップでも優勝を誇る、青森山田高校の黒田剛監督のインタビュー最終回。

全4回でお送りするインタビューですが、第一回目はサカイクが提唱している、サッカーを通して身につけることができる「考える力」「チャレンジする力」「感謝する力」「コミュニケーション力」「リーダーシップ力」など人生で必要な5つのライフスキルについてなど、第二回目は、OBの柴崎岳選手などプロになる選手の保護者に共通すること、そして前回(第三回目)は、選手にとって指導者の言葉より効果的な「責任の持たせ方」についてお聞きしました。

最終回となる今回、ラストはモチベーションの保ち方オフ・ザ・ピッチの大切さ青森山田の今後の展望などについて伺いました。

(取材・文:鈴木智之)

<<前回:青森山田の黒田剛監督が明かす、指導者の言葉より効果的な「責任の持たせ方」

■モチベーションは「ここぞ」というときに一気にシフトチェンジできるスキルを。

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高校サッカー選手権と高円宮杯U-18サッカーリーグチャンピオンシップ優勝の二冠をたたえる石碑

――部員が約180人いると聞いていますが、選手たちはどのようにモチベーションを持って、サッカーに取り組んでいるのでしょうか?

そもそも、モチベーションは生まれながらにして、全人類が備えているスキルだということです。そのレベルに差はありますが、大切なのはモチベーションを効果的に発揮させること。タイミングよく「いまだ!」という時に自分の心をハイトップにシフトチェンジできるスキルの習慣が重要で、指導者や仲間、親に入れてもらうものではない。オフの時は切っておいてもいいんです。車にたとえると、常にアクセルを踏みっぱなし、ギアを入れっぱなしだと、オーバーヒートしてしまいますよね。ひどい場合はエンジンが焼け、肝心なときに走らないかもしれない。必要のないときはギアをニュートラルに入れたり、エンジンを切ることも大切です。日常から小まめに「心のシフトチェンジ」を訓練する必要がありますね。

 

――オンとオフの切り替えが大切なわけですね。

そうなんです。ただし、ここぞという勝負どころでは、一気にギアを上げなければいけません。高校選手権で最初に全国優勝した2016年度の大会は、12月に高円宮杯U-18リーグのチャンピオンシップ(決勝戦)があって、その2週間後が選手権の初戦でした。接戦が予想される試合が立て続けにあるので、このままの勢いでモチベーションを維持し、選手権を乗り切ろうとすると、大事なところで張り詰めていた糸が切れたり、大きな怪我を発症させるのではないかとチームにおけるリスクを考えました。それで、高円宮杯のチャンピオンシップで優勝して、青森に帰ってきた日の朝10時にミーティングをして「今日からモチベーションは上げるな。できるだけダラダラして、精神的な疲労を取り除け」と伝えました。「ただし、俺が、『さあ、そろそろ行くぞ!』とスイッチをオンにした瞬間に、一気にモチベーションを上げられるように準備はしておけよ」と付け加えました。そうした効果もあったのか、選手権の初戦に素晴らしい入り方ができて、5対0のパーフェクトな試合ができました。うまくコントロールできたことを確信できた瞬間でもありました。

 

――監督自身の経験値であり、メンタル面のマネジメント力がうかがえるエピソードですね。

自分自身も2週間の間にビッグマッチが立て続けにあって、モチベーションを高いまま保ち続けるのは正直キツイなと感じていたんです。心と体を休めながら、選手権に向けた準備を少しずつ進めていればいいわけで、そこは経験に基づく自信もあったんだと思います。過去には優勝候補と言われながらも、10年間で9回もベスト16で終わったという辛い時期もありました。PK戦や1点差負けなど、ギリギリのところで勝てない。どうすれば勝てるだろうと自問自答したものです。そのときの失敗や挫折、そこで得た経験が活きていると思います。

 

■チームの伝統やカラーを大事にしつつ、青森からサッカーの最先端を発信

――青森山田高校のサッカー部監督に就任して、3年前の選手権初優勝までの22年間、苦しい時期も経験したと思います。その中で諦めずにやり続けるために、自分に言い聞かせていたことはありますか?

人間なので周りから何か言われれば気にするし、凹むときもあります。でも、その状態がずっと続くわけではない。時間が解決することもあるだろうと思って、それまでやってきたことを信じて、積み上げてきたことのベースは崩さずにやっていこうと。今となっては全国優勝を4回達成したからというわけではないですが、青森という雪国のサッカーチームが、地理的なハンデを克服しながら日本一になり、Jリーガーも日本代表選手も輩出したことで、青森山田という高校サッカーブランドの価値を上げることができたと思っています。今後さらに勝ち続けることを前提に、青森からサッカーの最先端を全国に発信できたら素晴らしいと思っています。ゆくゆくはアメリカの大学のように、学校名やチーム名にブランドを感じ、アパレルなどを巻き込んで、青森山田ブランドのアイテムを製作していくなどの展開も出来たらいいなと考えています。

 

――本州の最北端から最先端を発信するというのも、エッジが効いていますね。

沖縄のアクターズスクールが日本の音楽シーンに影響力を与えたりしてきたのですから、青森からもできないことはないと思っています。サッカーの部分をさらに極めて、絶対的な魅力を作る。そして、日本の多くの人たちに興味・感心を持ってもらう。そうすることで、学校自体のブランドも上がりますし、頑張っている子どもたちの評価価値も上がりますよね。自分の活動している学校や組織に「自信」「プライド」をもって働きたいと思っています。そんなブランドやトレンドを日々生み出していく楽しみも感じながらやっています。

 

――青森山田ブランドでいうと、A代表に柴崎岳、室屋成選手が定着し、U-20W杯には郷家友太選手と三國ケネディエブス選手が選ばれています。

青森山田という組織として、先輩から後輩へ受け継がれていくものが、チームの伝統やカラーになり、そこに毎年プラスアルファの魅力とパワーを加えながら、組織力を上げていく。組織とは、そう発展させていくべきものだと思っています。当然、サッカー以外の部分も大切で、オフ・ザ・ピッチの部分でも、良い習慣を作っていかなければいけません。毎年春に開催される『サニックス国際ユース』では、参加16チームの中で、どのチームのマナーが一番良いかというのを客室清掃の人やフロントの人など、宿泊施設のスタッフの方が投票するんですね。そこで10年連続でグッドマナー賞を頂いています。40票中、32、3票が青森山田入るそうです。選手には特に厳しく強要しているわけではなくて、彼らが日常の生活から心がけて、当たり前のように良い習慣として自然とできるようになっているのが評価されているのです。良い選手の条件は、良い習慣を持っていることです。良い習慣を意識しているうちは苦痛ですが、無意識のうちにできるようになって、初めて習慣になります。いくら言葉で伝えたり、現実味を語ってミーティングをしても、結局行動を変えるのは自分自身の意志です。自分が「本当に変わりたいんだ」という意思を持たない限りは、どんなトレーニングやミーティングをしても意味がありません。「自分自信の意志で変わる気がどれだけあるか」に気づかせ、適切に導いていくことが指導者の役割だと思っています。

 

全4回に渡ってお送りしたインタビュー。サッカーの指導者として、教育者としてのたくさんの経験を持つ黒田監督の言葉には、子どもたちを成長させるための大人の在り方として参考にしたいヒントが散りばめられています。

<<前回:青森山田の黒田剛監督が明かす、指導者の言葉より効果的な「責任の持たせ方」

 

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取材・文:鈴木智之

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