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お父さんコーチや少年団にオススメのトレーニング特集
U-12の指導における4つのキーポイントと全てのポジションを経験させることの重要性
公開:2024年4月17日
サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』は、悩めるボランティアコーチに向けた新企画をスタートさせた。それが育成年代のスペシャリスト、池上正氏による「指導ビギナーに向けた動画配信」だ。
これまでU-8、U-10年代への指導に対する考え方、トレーニングメニュー、池上氏による指導実演を紹介してきた。連載最後の記事では、U-12年代に対する指導方針をお届けする。小学生最後の年代において、池上氏は何を重視して指導しているのだろうか?(文・鈴木智之)
(※COACH UNITEDからの転載記事です)
U-12年代の指導における4つのキーポイント
U-8、U-10、U-12と子どもたちの学年は上がって行くが、年代を問わず、池上氏が重視していることがある。それは「サッカーというスポーツの特性を理解させること」だ。池上氏は言う。
「子どもたちに、サッカーはこういうスポーツなんだよと話をし、指導者もそれを理解することで、トレーニングの組み立てもスムーズに行きます」
U-12年代の指導におけるキーポイント詳細は、動画をご覧いただければと思うが、池上氏が主に提唱するのは下記の項目だ。
・ゲームの中で技術の上達をめざす
「試合中、緩いパスを出すと、相手に取られてしまいます。そこでコーチが『速いパスを出そう』と言うことで、パスの技術向上につながります。また、速いボールを止める必要性が出てくるので、止める技術も身につきます。それをゲームの中でやることが大切で、プレーを切り取るのではなく、『今日のゲームでは速いパスを出そう』と言うことで変わっていきます」
・3人から5人へと幅を広げていく(各ポジションの役割を理解する)
「U-12は8人制ですが、5人の役割、動きを覚えれば、8人制、11人制でも同じようにプレーできます。日本の子どもたちが5人で連動できれば、世界でも通用する選手が育つはずです」
・GKからのビルドアップを経験させながら、ゲームを進める
「日本の小学生GKは、ボールを遠くに蹴ればいい、遠くに蹴らないといけない気持ちが強くなりがちですが、GKからボールをつなぎ、前にどう運ぶか。どうやって攻めていくかを、この年代から取り組むことが大切です。GKからのボールを前に運ぶためには、5人の連携が重要になります。5人のバランスを考えて、前方、後方、サイドに行き過ぎるとどうなるかを理解できるようにしましょう」
・いつどこで、どのような技術が必要かをゲームの中で学ぶ
「ボールを持った状態で、相手チームの選手2人に挟まれたときに、何ができるか。前に相手選手がいて、右に味方選手がいるのであれば、ドリブル突破は必要ありません。右の選手にパスを出せばいいわけです。このような状況を通して、どこで、どのような技術を使うかを、U-12年代で学んでいきます」
GKをうまく使って数的優位を作ることを理解する
ここからは、U-12年代を指導する際の具体的なポイントを、ピックアップして紹介したい。1つ目が「ポジションチェンジをせずにゲームをする」こと。試合の中で動き回って役割を変えることなく、各々のポジションで何をすべきかを学ぶことが重要だという。
「3バックの中央でプレーしているのであれば、そのポジションで何をすべきかをしっかり学ぶことが大切です。サイドアタッカーは何をするか。FWはどんなプレーをしなければいけないか。それぞれのポジションでやるべきことを理解し、すべてのポジションでプレーすること。そうすることで結果として、どこのポジションでもプレーできる選手になっていきます」
続いてが「GKをうまく使うことで、数的優位を理解する」こと。先程挙げた、「GKからのビルドアップを経験させる」と同じだが、池上氏がヨーロッパに視察に行き、子どもたちの試合を見る中で、「GKは近くにいる味方にパスを出すことが多い」と感じたという。
「もちろん前方の選手が空いていれば、そこにボールを出しますが、基本は近くにいるDFにパスをしてビルドアップしていきます。それをこの年代で覚えさせることは大切で、ボールがどこにあって、味方がどこにいるから、自分は何をしなければいけないかを考え続けること。これは日本の子どもたちに欠けている部分だと思うので、U-12年代から取り組んでいきたいです」
池上氏はU-12年代で、「サッカーの基礎をすべて学ぶことができるように」と考えている。
その流れはトレーニングにも現れており、動画では様々なゲーム形式のメニューを通じて、各ポジションの選手がどのようなプレーをすればいいかをアドバイスしている。
動画には他にも、下記のテーマに沿ったトレーニングの実演が収録されている。
・「味方を使って、ボールを失わないスキルを身につける(2対1)」
・「幅を使って、有利に攻撃できることを理解する(3対2のライン通過)」
・「数的優位とサッカーにおけるコンビネーションを理解する(3対2からの攻撃)、(4人が連動するトレーニング)」
・「GKを使ったビルドアップ練習(3対2+GKからのビルドアップ)、(4対2+GKからの攻撃)」
・「実戦形式でこれまでの練習の成果を確認する(4対4+GKからの攻撃)、(5対5)」
講義、実技ともわかりやすく、聞き入れやすいものばかりである。少しでも気になる人や、指導を学びたいコーチは、ぜひ公開を楽しみにしていてほしい。
【講師】池上正/
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。 12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
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