1. サカイク
  2. 連載
  3. バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法
  4. パスを教えるのはいつから?選手の変化を見逃さない「観察眼」

バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法

2013年6月 8日

パスを教えるのはいつから?選手の変化を見逃さない「観察眼」

キーワード:スペイントレーニングバルセロナ知のサッカー練習育成

DVD「知のサッカー」シリーズの監修をはじめ、サッカースクールや講習会の開催などを展開しているサッカーサービス社。その中核を担うダヴィッド・エルナンデス氏は、1998年にスペインに"選手の10年後を見据えた"育成機関「シダーフ」を設立しました。そこで培われた育成年代への取り組みのポイントや指導者の在り方を全2回にわたってお届けします。
(取材・文/鈴木智之 写真/新井賢一 取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan)

130105_0705.jpg

日本の熱心な指導者、選手、保護者のみなさん、こんにちは。サッカーサービスのダビッド・エルナンデスです。前回は「シダーフ」での指導を通じて、「育成年代においては3つの発達段階があり、段階に合わせた指導をすることが重要」との考えを紹介しましたが、今回はさらに詳しく解説したいと思います。

前回記事:10年後、目指すべき選手像にたどりつくための育成とは?

■「いつ・何を」教えるべき?年齢はあくまで目安

年齢を3つのカテゴリー(1:6~8歳/2:9~14歳/3:14歳~18歳)に分けて、年代の特性に合った指導を行います。カテゴリー1は『エゴイスティック』な時期であり、ボールに対する独占欲を強く持っています。そのため、ドリブルやシュートに対する指導を行うと、興味を示してくれます。

カテゴリー2に入る9歳の頃から、少しずつエゴが少なくなってきます。最初は自分でボールを運ぼうとしますが、できないことを悟ると味方にパスをするようになります。選手自身が「状況を考えてパスを出そう」と気づいたときこそ、次のステージである『パス』を教えるべきタイミングなのです。

先日、日本の指導者から「ヨーロッパサッカーの影響で、ドリブルを好む年代であるべきはずの6、7歳の子どもがパスを好んでいます。どのように指導をしたらいいのでしょうか」という質問を受けました。私が考えるに、6、7歳の選手がパスを使ってサッカーをする意味を理解しているのであれば、パスを教えるのも良いと思います。なぜなら年齢はあくまでも目安で、優先すべきはサッカーの理解度だからです。

また「9、10歳の選手でボールを持ったら離さない、ドリブルでボールを運ぶのが好きな選手に『パスをしなさい』と注意したほうがいいのでしょうか?」という質問がありました。私の考えは「ノー」です。足が速い、ドリブルがうまい等の特徴を持った9、10歳の選手に、無理やりパスを教えこむのは、選手の特徴を伸ばす観点から見ても良いことではないでしょう。重要なのは、選手の特徴、サッカーの理解度にあわせて「いつ・何を」教えるべきかを考えることです。言い換えれば、指導者は選手の頭のなかの変化を見逃さない『観察眼』が重要になるのです。

130105_0347.jpg

■「エゴ」と「集団」の意識

カテゴリー1がエゴ、カテゴリー2がエゴと集団の半々、カテゴリー3(14歳頃)に入ると、集団での戦いを理解し始めます。そのときには集団で有利にボールを運ぶためのスペースの使い方やみつけ方など、戦術的な部分の指導に入ります。

例を上げます。学校の教室にうさぎが入ってきたとしましょう。カテゴリー1の時期であれば、子どもたちはそれぞれが勝手に捕まえようとするでしょう。しかし、カテゴリー2の年代の子どもであれば、皆がばらばらに捕まえに行くのではなく、うさぎに近い何人かがまず行き、その他の子どもは近くで失敗した時の準備をします。カテゴリー3の年齢にもなれば、うさぎが入ってきたらまず皆で話し合い、作戦を考えます。組織的に協力しあい、誰が捕まえても良いと考えるでしょう。

サッカーも同じです。7、8歳の子どもにユニフォームを着せたところで、大人のようにサッカーができるわけではないのです。これは勉強や社会生活では理解されているのですが、サッカーとなるとそうはいきません。7、8歳の子どもであっても、大人と同じようにサッカーができると思い込んでいる指導者も多くいます。

これはあくまで、私がシダーフでの研究で得たものであり、理論どおりに行く、あるいはすべての選手がこの考えに当てはまるとは限りませんが、指導者が理解しておくべきことだと思います。クラブ内で指導者がこの考えを共有していれば、多くのコーチを抱えていたとしても、選手に対する指導のポイントや評価の基準がブレることは少なくなるでしょう。

現在は、我々のメソッドをカタルーニャサッカー協会の指導者養成コースやバルセロナ市内のクラブ、タラゴナやジローナなどが取り入れてくれています。シダーフではこのコンセプトをもとに指導を始め、10年間で5つの大会で優勝することができました。しかし、我々の成功は優勝したことではありません。選手が成長したことにあります。それが、我々がもっとも重要だと考えている『結果』なのです。

サッカーサービス 知のサッカー

ダヴィッド・エルナンデス・リヘロ// David Hernandez Ligero

2015-2018 :パリ・サンジェルマン育成部門でメソッドダイレクターを務める。エコノメソッド(旧サッカーサービス社)においてテクニカルディレクターとしてクラブやプロ選手のコンサルティングを担当。また、2015年まで日本サッカー協会プロジェクトコンサルティングディレクターを務めた経験を持つ。

サッカーサービスの育成メソッドが学べる映像教材
DVD「知のサッカー」シリーズはこちらから>>

1
取材・文/鈴木智之 写真/新井賢一 取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan

関連するコラム記事

コラム記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ

バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法コンテンツ一覧へ(18件)

コメント

  1. サカイク
  2. 連載
  3. バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法
  4. パスを教えるのはいつから?選手の変化を見逃さない「観察眼」