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テクニック

ビルドアップを成功させるポジショニングのセオリー(DF編)

2012年8月15日

キーワード:ディフェンスポゼッション守備

df_image.JPG

ボールを持っていない状態(オフザボール)の選手が、正しいポジションに着いて次のプレーの準備をすることを『ポジショニング』と呼びます。
 
前回のGK編に引き続き、今回はDFのポジショニングセオリーを紹介します。関連して、ビルドアップを成功させるためのポジショニングについても解説します。

 
■ビルドアップを開始するとき、重要になってくるDFのポジショニング

すべてに共通することですが、ポジショニングには“絶対的な正解”がありません。ボールポゼッションを志向するチームでは正解とされるポジショニングでも、ブロックを固めた守備からカウンターを狙うチームでは間違いになることもあり得ます。最適なポジショニングは、自身がプレーするチームの戦術と合わせて導き出す必要があるのです。
 
 
ここではポゼッションを志向するチームを想定し、ポジショニングのセオリーを解説したいと思います。
 
ポゼッションを志向するチームでは、基本的にはGKからパスを受けてディフェンスラインからビルドアップを開始します。

ビルドアップとは「組み立てる」という意味で、サッカーでは「攻撃を組み立てる」ことを意味します。ゴールキーパーやディフェンダーから、中盤、前線へとボールを回しドリブルで攻めていくプロセスです。

このビルドアップにおいて、DFがどこにポジションを取ってパスを受けるのか? その質によってその後の展開、つまりパス回しがスムーズに進むのか、行き詰まるのかがハッキリと分かれます。

DF1.JPG
出典:『サッカー セットプレー戦術120』
 
まず大切なのは、上図のようにセンターバック2人がペナルティーエリアくらいの幅に開くこと。2人がある程度の距離を取ることで、相手はプレスの的を絞りづらくなります。さらにGKからのパスを斜め方向で受けることになるので、前方に対する視野が広がり、プレスをかけてくる相手FWの動きを見極めやすくなります。逆に真ん中でパスを受けようとすると、相手FWを180度背中側に置く形になるので、寄せてくる相手の動きを把握しづらくなってしまいます。
 
そしてこのとき、両サイドバックがセンターバックと同じ高さにポジショニングせず、タッチライン際に開いて高い位置へ上がるのもポイントです。図のようにセンターバックとサイドバックが斜めの位置関係になれば、相手FWは4人のDFを同一視野に入れられなくなるので、プレスをかけづらくなります。もしも横一線に4人のDFが並んでしまうと、常に相手FWのプレスを受けやすい形になるので、前方に蹴り出すしか選択肢がなくなる場面が増えるでしょう。
 
このようなポジショニングを意識することで、パスの回し易さは大きく変化します。これを徹底しているのがバルセロナ。彼らのポジショニングはポゼッションチームにとって非常に参考になるはずです。
 
 

■ボールの位置を中心とした守備のポジショニングとDFラインの上げ下げ

次は守備時のポジショニングを解説します。
 
ポジショニングは本当に奥が深いので、簡単に説明し切れるものではありませんが、ここでは一部のセオリーを抜粋して紹介していると考えてください。
 
まずは、“ボールの位置を中心とした守備のポジショニング”という考え方です。以下の図を参照ください。
 
DF2.jpg
出典:『サッカー守備 DF&GK練習メニュー100』
 
ボールを持ったZに対してAがマーク、Bはそのカバーリングの役目を務めつつディフェンスラインを形成。そしてCはYを遠目に意識しつつ、図のように中央へスライドしたポジショニングを行います。
 
これが“ボールを中心にポジショニングする”という考え方です。自分のマークしている相手ばかりに気を取られるのではなく、ボールの自陣ゴールまでの範囲の守備の密度を高めるようにポジショニングします。ゾーンディフェンスの一つのセオリーです。
 
仮にZからYへサイドチェンジされた場合、Cは素早くYへアプローチ、そしてBとAは中央へスライドして同様のポジショニングを行います。これが徹底できていれば、個の能力で劣るチームでも簡単に失点することはないでしょう。
 

■ディフェンスラインの上げ下げ

そしてもう一つの重要な考え方は、“ボールの状態に応じてラインの高さを調整する”ディフェンスラインの上げ下げです。
 
DF3.jpg
出典:『サッカー守備 DF&GK練習メニュー100』
 
ボールを持っている相手選手がプレッシャーを受けて背中を向けているため、縦パスやスルーパスなどの危険なボールが入りにくい状況になっています。このような状況を“ボールが覆われている”、あるいは“ボールがオフの状態”という言い方をします。
 
ボールがオフ、すなわち危険が薄い状態なので、ディフェンスラインを上げてコンパクト性を保つチャンスと言えます。そして一方…、
 
DF4.jpg
出典:『サッカー守備 DF&GK練習メニュー100』
 
このようにボールを持っている相手が前を向いて自由にパスを出せる状況を、“ボールが覆われていない”、あるいは“ボールがオンの状態”という言い方をします。
 
スルーパスや縦パスが入りやすい状況であるため、ディフェンスラインを下げてリスクを回避する必要があります。ここで無理にラインを上げると、一発で裏のスペースを突かれてGKが1対1にさらされることになります。
 
前述したように、ポジショニングに絶対的な正解はないのですが、しかし一方で、“絶対的な間違い”は存在します。指導者はそれを論理的に選手に伝え、頭の中をトレーニングし、悪いプレー習慣を取り除くことが求められるのです。
 
<<ポジショニングのセオリー(GK編)はコチラ
 
ポジショニングのセオリー(MF編)はコチラ>>
 
清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
●twitterID:@kaizokuhide
 
 

 

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文/清水英斗、写真/小林健志(2012全日本少年サッカー大会より)

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