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健康と食育

1本でご飯一杯分のエネルギー補給! 暑い夏や練習でバテて食欲がない時におすすめ、バナナとスポーツの関係

公開:2018年8月15日 更新:2025年6月20日

キーワード:エネルギーフルーツ捕食果物栄養糖質

元日本オリンピック委員会強化スタッフで、現在はスポーツ栄養WATSONIAの代表としてプロスポーツ選手から企業まで広く栄養サポートをしている管理栄養士、川端理香さんに食事の大切さを教えていただきます。

これまで、どうして朝食をたべないといけないのかビールのおつまみとしてお馴染みのアレが疲労回復に効果テキメンな理由など、お子さんの身体を大きくすることや力を引き出す食事について教えていただきました。

前回は前後編に渡って、お魚に含まれる必須脂肪酸「EPA」が血液をサラサラにしてくれるお話や、それによって持久的な能力を高める効果につながることなどをご紹介しました。

今回は、子どもたちが大好きな「果物」の栄養についてお送りします。

家で食べたり、給食やお弁当に入っていたり、ケーキやゼリーで摂取したり。春はイチゴ、夏はメロン、秋には梨や柿、冬にはリンゴ......などなど、様々なシーンで1年中いろんな果物を楽しめますが、スポーツ栄養の面ではどのような栄養価があるのか、この機会に知ってください。

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タイプによって響く言葉が違う
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(果物、特に子供に人気のバナナはエネルギーの塊 ※写真は過去のサカイクキャンプのランチ風景)

 

アスリート=補食にバナナ のイメージはどこから?

プロのサッカー選手に限らず、トップアスリートがバナナを食べているのをテレビや雑誌などでみたことはありませんか?

そのためか、「プロ選手=バナナを食べている」と連想する子も多数いるようで、よく栄養セミナーで子どもたちに「みんながよく食べるフルーツは?」とたずねると、「バナナ!」という答えが返ってくることが多いです。

「なぜバナナをよく食べるの?」とたずねると「プロ選手が食べているから」と答えるあたりにも、選手=バナナの認知度が高いのを感じます。子どもは憧れの選手のマネをすることも多いですからね。

でもこの「なぜバナナ?」という質問に対して、本当はもう少しスポーツ栄養の知識が含まれた答えが返ってきてほしいなあと思うことも事実です。

そういうこともあり、まずはフルーツの中でもスポーツに関わりの深いバナナのお話をしようと思います。バナナ嫌いの人も今回は興味がないとページを閉じずに、ぜひスポーツとバナナの関係を知ってほしいと思います。

 

■少食、練習バテでご飯を食べる気力がないときも

以前、乳製品のお話の中で牛乳のお話をしました。その際、牛乳を飲むとお腹が緩くなりやすい理由「糖の違いで起こる」という説明をしました。糖というとすぐ砂糖が浮かびやすかったり、「果物の甘さは何だと思う?」と質問すると果糖と答える選手が多いのですが、じつは糖にはたくさん種類があります。

「果糖」という名前のせいもあって果物の糖分=果糖だと思われがちですが、果糖は糖の1つであり、果物だけでなくハチミツ、1部の根菜にも含まれています。

そして果物に含まれる糖分は果糖だけではありません。じつはフルーツに含まれる主な糖は、果糖とぶどう糖です。フルーツの種類によって果糖の方が多い、ぶどう糖が多いという違いがあり、そもそも種類によって含まれる糖の量が違うのです。

はたしてどのくらい糖量が違うのでしょうか。

まず果物を同じ重量で比較した場合、バナナは100gで21gの糖質を含みます。

そういわれても、多くの人はおそらくピンとはこないかと思いますが、これは糖質量が少ないグレープフルーツブルーベリーと比較すると約2倍以上の量にあたります。

バナナ1本は大きいものだと200g程度になります。つまり、1本で糖質を約40gとれることになります。実はこの量は、ご飯茶碗1杯と同じ量にもなります。いかにバナナがエネルギーの塊であるかがお分かりいただけたのではないでしょうか。

選手の中には、少食でなかなか食が進まない、食べられないという悩みを持っている人もいたりします。先日も栄養セミナーを行った際に、どうしたら解決できるか悩まれている保護者の方が複数いました。またもともと食が細い選手だけでなく、暑い時期や練習量が多くなったりするとバテて食欲が落ちやすくなります。本来であればそういう時こそご飯をしっかり食べたいものですが、そうはいかない......。そういう場合に、バナナをとりいれるのです。

ご飯を茶碗1杯を食べるのに四苦八苦している選手でも、バナナ1本ならスルッと食べられることがあります。普段の食事にプラスする、もしくは補食でとりいれることなども十分なエネルギー補給になります。

ただし、中には摂取量に気を付けた方が良い選手もいますので、それをお伝えします。

 

■食べる時に注意が必要なタイプの選手とは

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(バランスよく食べる事が大事 ※写真は過去のサカイクキャンプの夕食風景)

バナナ200g(大きめのもの1本分)には、お茶碗1杯分と同じぐらいの糖質(身体のエネルギー源)が含まれると説明しましたが、体脂肪が気になる選手の場合は、バナナの食べ過ぎには注意しましょう。こういう選手の場合は、バナナを食べたい時には、米やパンなどの量を減らすと糖質の摂りすぎが防げるのです。

よく「○○がいい!」というと、その商品が品切れになることがあります。身体に良い食品を取り入れる意識の高さは素晴らしいですが、「○○がいい!」という情報がいつしか「○○さえ食べていれば大丈夫」と解釈が変わっていってしまっては、栄養のバランスが崩れてしまいますのでご注意いただければと思います。

身体をつくる段階にある小学生年代では、まずはきちんとバランスよく食べることが重要です。

特に今年の夏は猛暑続きですので、これまでは夏バテしたことが無くても、食欲不振など夏バテの症状が出ている方もいるいるかもしれません。お子さんの食欲をよく見てご飯を食べることが大変そうならバナナを捕食に出してあげてはいかがでしょうか。

コラムを書くにあたって選手たちに質問をしてみましたが、食欲が落ちた時などバナナ1本を全部食べたい選手とそうでない選手がいました。食品は目的や状況によって、適しているかどうかが決まるのです。

今回は、バナナだけをとりあげましたが、後半では、果物=ビタミンやミネラルと思われがちですが、そうともいえないこと、誤解されている果物の栄養素についてお話ししたいと思います。

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川端理香(かわばた りか)/管理栄養士
スポーツ栄養WATSONIA代表。元日本オリンピック委員会強化スタッフ。2004年アテネオリンピックでは「VICTORY PROJECT」のチーフ管理栄養士として、2008年北京オリンピックでは強化スタッフとして全日本男子バレーボールチームのサポートを行う。
Jリーグでは、これまで浦和レッズ、東京ヴェルディ1969、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、FC岐阜、コンサドーレ札幌などのトップチームや、横浜FマリノスやFC東京などの個人選手や、プロ野球選手やプロゴルファーなどのサポートも行っている。また、企業の栄養アドバイザーや大学、専門学校の講師を務めるなど多岐にわたって活動。
著書に『サッカー選手の栄養と食事』『子どもの身長を伸ばす栄養と食事』『10代スポーツ選手のケガ予防の栄養と食事』(大泉書店)、『カラダの悩みは食べ方で99%解決する』(ゴルフダイジェスト社)など多数。
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文:川端理香

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