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中村憲剛の「KENGOアカデミー」

中村憲剛が少年サッカーの保護者に送るメッセージ「子どもは、親の自尊心やエゴを満たす道具ではない」

公開:2021年7月15日

キーワード:JリーグKENGOアカデミー中村憲剛川崎フロンターレ指導育成

「育成年代から日本サッカーをより良くしたい」という想いから、引退後は育成年代の指導や情報発信を積極的に行っている中村憲剛さん。

インタビュー最終回では、少年スポーツにおける親と子の関わり方について、ご自身の経験もふまえて話をしていただきました。(取材・文:鈴木智之/写真:新井賢一)

※写真は2020年1月撮影

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■親ができるサポートは「黙って見守ること」

前回は「自分に対してベクトルを向けよう」という話をさせてもらいました。これは、サッカーをするお子さんだけでなく、保護者のみなさんにも当てはまることだと思います。

僕もサッカー少年、少女の父親として、子どもたちのサッカーに関わっていますが、保護者の振る舞いが、子どもたちに大きな影響を及ぼすこともあると感じています。

大切なのは子どもの気持ちです。

いまこそ、「プレイヤーズファースト」という言葉を思い出してほしいです。子どもは、親の自尊心、エゴを満たすための道具ではありません。これは自戒を込めて、みなさんにお伝えしたいです。

親が子どものサポートとして、できること。それは「見守ること」なのではないでしょうか。サッカーをするのは親御さんではなく、子どもたちです。

クラブやコーチに期待することは、悪いことではありません。僕も、そのような気持ちになることもあります。ただし、自分の期待と違うからといって、過度に口出しするのは控えたほうがいいと思います。

親の言うことを、子どもは真似します。親がコーチやチームメイトの文句を言っていると、子どもも真似し始めます。

■親の期待が間違った方向へ向かないように

試合に出られないのをコーチのせいにしたり、周りの子の文句を言うのではなく、「どうすれば、試合に出られるのだろう?」と前向きな考えをもって、子どもと話をするほうが、よっぽど健全です。

文句を言うのは簡単ですが、その子が試合に出られないのは、必ず理由があります。前回「自分にベクトルを向ける」という話をしましたが、ここで大事なのは「なんでうちの息子が試合に出られないんですか」と文句を言うことではなく、出れない理由を分析することではないでしょうか?

「このプレーができるようになれば、試合に出られるんじゃない?」と考えて、一緒にボールを蹴ってあげるとか、試合の映像を観ながらアドバイスしてあげるほうが、子どものためになります。

子どものサッカーに保護者が熱心なのは、素晴らしいことです。でも、熱心さが行き過ぎるあまり過保護になったり、子どもに過度な期待をかけすぎてはいけない。小学年代のサッカーに関わる中で、自分にそう言い聞かせています。

保護者の期待に応えることができず、サッカーが嫌になって辞めてしまう子も見てきました。子どもはサッカーが好きだったにも関わらず......。それはお互いにとってすごく残念で、悲しいことですよね。

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■子どもに寄り添い一緒に成長していきたい

子どものサッカーを通して、子どもの成長とともに、親も同時に成長しなければいけないと思います。親が主役になってはいけないのです。それをわきまえている親御さんがほとんどだとは思いますが、どうしても自分の感情を優先してしまう人もいます。

自分はいま、子どもに対して、監督やコーチに対して、どんなスタンスをとっているだろうかと、その都度考えながら、子どもと一緒に親も成長してほしいなと思います。

そんなことを言っている自分も、親としては成長の途中です。その中で心がけていることは、最終的には「子どもに決めさせること」です。

そして一歩引いた目線で、1年後、2年後、3年後、この子はどうなっているのか。どこへ進もうとしているのかを見ながら、子どもに寄り添える親でありたいと思っています。

もちろん、ときには叱ることだってあります。僕の場合、叱るのはプレーの内容よりも、サッカーに向き合う姿勢についてです。

パスをミスした、シュートを外した、ドリブルをして取られた。叱るのはそこではありません。僕の場合、頑張る姿勢が見えなかったり、手を抜いているように見えたら指摘します。

自分がボールを奪われたのに、一生懸命追わない、走らなければいけない状況でサボっていたなど姿勢の部分です。チームの一員として「チームのためにがんばること」は、少年時代に教えるべき、大切なポイントだと思います。

■最後に

これまで6回に渡って考えを述べさせていただきましたが、僕がみなさんにお伝えしてきたことは、プロサッカー選手として、サッカー少年・少女の親として、そしてKENGO Academyやフロンターレなどで、若い選手たちと接する中で導き出した、実体験によるものです。

その過程で、数多くの成功と失敗を繰り返してきました。今回サカイクさんでお話ししたことは、自分の考えとして、自信を持ってお伝えできるものです。

これからも、若い選手や子どもたち、そして保護者の皆さんに様々なことをお伝えし、ともに成長できればと思っています。

それが、僕が現役を引退して、これからやっていきたいことです。

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取材・文:鈴木智之 写真:新井賢一

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