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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
ずっと一人で練習してきたから足技は抜群に上手いがサッカー経験なし、今回チーム入団が決まったが、何から教えれば良いか教えて
公開:2024年2月19日
これまでチームには所属せず、一人で足技練習をしてきた子。この春チームに入団が決定。足元の技術はまるでフリースタイルの方のように上手だけど、チームプレーは初めて。
そういった子に、最初は何から教えたらいい? とのご相談をいただきました
今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、チームプレーが初めての子に指導する際に大事なことをお伝えします。
(取材・文 島沢優子)
<<大会の格や規模について苦情を言ってくる親たちに、練習試合でも成長できることを伝える方法を教えて
<お父さんコーチからの質問>
保護者コーチとしてU-11の指導に携わっています。
ボール扱いがめちゃめちゃ上手い子が、3月から加入予定です。
近所の子なのですが、毎日朝練してて親もそれを動画にとってSNSに上げる熱の入れようです。
相談したいのは、ボールコントロールはフリースタイラーのように抜群に上手いけど、サッカーをしたことがない子に、どうやってサッカーを教えればいいのかという事です。
なまじ足元の技術があるため(※おそらくボール扱いだけなら同学年で一番うまい)プライドが高そうで、どんなアプローチでサッカーを学ばせたら良いかな、ひそかに悩んでいます。
親御さんも、サッカーの才能があっていきなりエース級になれると思っているようですし......。
ずっと一人(動画撮ってる親と二人、が正確ですが)でやってきたので、チームとしての動き方やポジショニング、周りとのコンビネーション、チームメイトのタイミングに合わせるところがカギかなと考えています。
最初が肝心かなと思っているのですが、池上さんならどんなアプローチをされますか?
<池上さんからのアドバイス>
ご相談ありがとうございます。
11歳以下のチームなので小学5年生。お書きになった「サッカーをしたことがない」というのがどの程度やったことがないのかは測りかねますが、サッカーのミニゲームくらいは経験はあるけれどチームに所属したことがないという程度かもしれません。だとしても、ここでは集団でプレーするのは初めてという前提で考えてみましょう。
■最初は「マインドセット」から
まずは、マインドセットを整えます。コーチの方からそのお子さんに、口頭でサッカーの成り立ちを教えてあげてください。
「サッカーはチームプレーであること」
「チーム全員で攻めて守るということをベースに、みんなが楽しめるようにそれぞれが動く」
コーチの考えを伝え、このチームとしてそこを目指すというビジョンを伝えます。
とはいえ、チームプレーをしたことがなく、しかもドリブルなど足元の技術があるのであれば、ひとりでガンガン行ってしまう、という現象は起きるかもしれません。そんなときはこう問いかけてください。
「君が持っているその技術は、どんなときに使う?」
チームプレーをするために、どう技術を使うのか。そこを要求しましょう。
■世界に賞賛されたバルサのサッカーは「チームで」サッカーをしている
先日、あるところに呼ばれた講演会で、中学生の選手とその保護者に向けて話をしました。中学生になったら親と話さなくなるそうです。そんなとき親はどうサポートをすればいいの? 子どもたちのモチベーションを上げるためにどうしたらいい? そんなお話でした。
まず子どもたちにはバルセロナの10年以上前の映像をYouTubeで見せました。メッシ、シャビ、イニエスタがダイレクトでぽんぽんとパスを回して、相手を翻弄していました。私が「どう? 楽しいサッカーだよね?」と言うと、中学生たちは全員うなずきます。
「みんなとボールをつなげてサッカーをやると、楽しいね。そんなことができるためにどうしたらいいかな?」
そこからこんな話をしました。
「勝ち負けにこだわると、うまくない仲間を責めたりするね。自分だけでいっちゃおうとするよね。でも、バルサみたいなサッカーには、そんな部分はないよね。バルサみたいなサッカーがしたいと思うなら、チームでサッカーをすることを意識してほしいです」
■チームメイトとの連動がどうして大事なのか、戦術面から理解させる
次に、チームプレーを戦術面から理解してもらいます。中学生に「バルサのサッカーはどうしてつながるか、わかる?」と問いかけます。それは、サッカーのアタックの基本を全員が理解しているからです。
「選手がサッカーをわかってるから、パスがつながるよね。彼らはどうしてる?」
すると、「周りを見てる」「いつも動いている」といった声が上がりました。確かにその通りです。パスを出すほうも、受けるほうも、視野を確保しながら出しやすいところへ、受けやすいところへと動いてタイミングを合わせる必要があります。
出すほうは、相手がボールを奪い取りに来たときがひとつのチャンスです。例えば「相手を食いつかせる」という言い方をします。相手が自分のふところ近くに飛び込んできたらチャンス。そこですれ違うことができれば、数的優位が生まれるからです。
「それが数的優位を使うセオリーだよ」
そこから中学生たちに、技術が高ければ相手を飛び込ませることができること、相手が飛び込んできたらそこでまたドリブルで抜いて行くのではなく、その瞬間に味方を使う。パスをして、またリターンしてもらうワンツーを使えば、さらにフリーになれる。チャンスがより広がることを知ってもらいます。
上述したことを、その子に話したら、親御さんも納得するかと思います。伝わっていないようだったら親御さんにもチームの方針や指導のやり方を解説してもよいでしょう。
次ページ:ひとりで練習してきた子だから、「ボールのもらい方」を丁寧に教えよう
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