■何もしないことは大きな問題
「人災」については、当コラムで以前に触れました。「人災」を防ぐためには、人材教育しかないこと。この人材教育は、座学ではダメで、「決断力」と「行動力」を身につけることが大事であること。これには「脳と身体の連携」が不可欠であり、トレーニングが必須であること。そして、このトレーニングの場としてスポーツ以上のものはないこと。「勇気とは、判断したことを実行に移すこと」であり、スポーツマンが備えるべき能力の中で「勇気」はかなり上位に来ること、です。(「義を見てせざるは勇なきなり」)
その後、安倍政権において『国土強靭化計画』がまとめられました。英語名は『National Resilience(ナショナル・レジリエンス)』と言います。
レジリエンス(resilience)とは、『回復する力』『立ち直る力』のことです。この力はスポーツを通して、身につけることができます。つまり、スポーツが“回復力を持つ人材育成”につながるのです。
ビジネスの世界では、“必ず”多くの問題が発生します。問題が生じないようにする方法は、一つしかありません。それは“新しいことを何もしないこと”です。新しいことには必ず新しいリスクが伴います。もし、あなたに過去1年間何ら問題が生じていなかいとしたら、それは大いに問題です。それはあなたが何もしなかったか、問題が生じているのに気づいていないか、のどちらかなのですから。新しいことを何もしないでいると表面的には問題がないように見えても、取り返しのつかない致命的なリスクが進行します。そのリスクが顕在化すると、取り返しのつかないことになります。福島第一原発事故も致命的なリスクが顕在化した事例と言えるでしょう。
同様に、わたしたち個々人も社会で生きて行くためには、さまざまな問題に直面します。まずはそこで、ひるむ事なく立ち向かうことが必要ですが、すべてに成功することは不可能です。従って、「失敗しないこと」と同様に、「失敗した場合の立ち直り方」(=レジリエントな力)が非常に重要になるのです。
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取材・文 広瀬一郎 写真 田丸由美子