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「勝負に徹するより"個"を育てる」40年以上も続く静岡学園高校サッカー部のスタイルとは?

公開:2020年1月21日

キーワード:ドリブルリフティング井田勝通川口修松村優太浅倉廉選手権静岡学園高校サッカー

令和初の選手権となった第98回全国高校サッカー選手権大会は、静岡学園高校の優勝で幕を閉じました。大会で目を惹いたのは、静岡学園のテクニカルかつ攻撃的なスタイルです。1試合3ゴールを目標にした今大会で奪ったゴールの数は、6試合で19ゴール。多くのゴールが思い切りの良いドリブルや華麗なコンビネーションでの崩しから生まれました。

準決勝以降は、セットプレーからのゴールが増えましたが、奪ったセットプレーも相手がドリブルを止められずに与えたファールからで、改めて静岡学園の魅力に触れたサカイクの読者も多いのではないでしょうか。(文・写真:森田将義)

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■勝負に拘るようになって、個の力が薄くなっている

日本代表のMF大島僚太選手(川崎フロンターレ)を筆頭に50人以上のJリーガーを輩出する全国屈指の強豪であるため、意外にも思われるかもしれませんが、選手権で優勝を果たしたのは24年ぶり。

静岡県勢自体としても近年は、全国大会で早期敗退が続いていました。優勝後の記者会見で川口修監督は、"サッカー王国"と呼ばれた静岡県のチームが低迷した理由についてこう話します。

「昔の静岡には、個性的な選手が非常に多く、今、一番重要視される個の力を持った選手がいたのが静岡の特徴でした。コーチとして12年、監督として10年、静岡県の流れを見ていると勝つサッカーが主流になったように感じます。昔は勝負強さの中にしっかりとした個があった。各チームにスーパースターがいて、そういったチームが全国に出てチャンピオンになっていました。でも、自分の考えでは今は勝負に拘るようになって、個の力が非常に薄くなっている気がします」。

勝負に徹するライバルが増えても、川口監督が「コンセプトはずっと変わっていません。選手として上のステージに行った時に何が必要なのか我々スタッフはいつも考えています。勝負しながら、結果を出していこうという発想を井田さんから受け継いできた」と話す通り、井田勝通前監督(現・総監督)の時代から40年以上も続く静岡学園のスタイルは変わりません。拘り続けるのは、目の前の勝負ではなく、選手の10年後を見据えた育成です。

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■リフティング、ドリブルは今も変わらない定番メニュー

一学年20人程度の部員数だった川口監督の現役時代とは変わり、文武両道に憧れ、静岡学園の門を叩く選手が増えた現在は、3学年で250人近い部員を抱えるマンモスチームとなりましたが、ボールコントロールを大事にするトレーニングは、今も昔も変わらない定番メニューです。


身体の様々な部位を使って行うリフティングでボールフィーリングを養うと共に、オリジナルのドリブルメニューでアイデアと発想力を磨くのが静岡学園のスタイルと言えるでしょう。2年生ながらも優勝に貢献し、大会の優秀選手となったDF田邉秀斗選手は、「ボールがどこに来るのかは分からない。どこでもトラップできるとプレーの幅が広がる」と練習の成果について口にします。

125種類にも及ぶリフティングとドリブルの練習メニューを日々のトレーニングで繰り返し、サッカーに必要な基礎技術を身につけた後に大事なのは判断力で、川口監督はその理由についてこう話します。

「技術を身につけただけでは上のステージでは通用しない。その技術をしっかり使えるようにためには、相手と駆け引きをしたり、相手をしっかり見る目を鍛える。見て自分で判断できるようになることで自分のテクニックとして使えるようになる」。一連の選手育成は、毎年繰り返す作業ですが、今年の選手たちは課題が出た時に改善する力が優れていたそうです。

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■「迷わず仕掛けろ!」 大きく成長した静学の選手たち

未来を見据えた指導によって、大きく成長した選手の筆頭が、卒業後は鹿島アントラーズへと進む10番のMF松村優太選手です。大阪の街クラブで過ごした中学時代も、50m5秒8の快足が持ち味のドリブラーとして知られる存在でしたが、縦への素早い仕掛けの一辺倒で相手にとって本当に怖い選手とは言えませんでした。


しかし、高校に入ってからはトレーニングによって緩急のついたドリブルを取得。トップ下から、より持ち味が活きる右サイドにコンバートされたことも相まって、成長速度が加速すると、2年生からは世代別代表に選ばれるようになりました。また、川口監督らスタッフの声掛けも大きく、松村選手は「迷わず仕掛けろというのはよく言われているので、積極的に仕掛けるようになりました」と口にします。

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トップ下で攻撃のタクトを振るったMF浅倉廉選手も著しい成長を遂げた選手の一人です。川崎フロンターレU-15時代もテクニックを活かしたパスに定評がありましたが、U-18への昇格は果たせず、「自分の課題はドリブルなどゴール前での怖さがないことだったので、静岡学園で点が取れる選手になりたかった」と静岡学園の進学を決意。

入学後は、「以前はこれくらいで良いだろうと思っていながらプレーしたけど、レベルが高くなるとミスが増えていた。そこからパスとトラップにより拘るようになった」と振り返る通り、よりサッカー選手としての完成度が高まりました。

静岡学園のトレーニングで伸びた選手は彼ら二人に留まらず、多くの選手が高校3年間で大きく成長しており、Jリーガーとして長く活躍する選手も少なくありません。選手の将来を見据えた指導方針と個の力を育てるトレーニングは、多くの指導者の参考になるのではないでしょうか。

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文・写真 森田将義

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