1. トップ
  2. コラム
  3. こころ
  4. ジュニア年代で"よいコーチ"と出会う重要性。ネームバリューや実績だけが指導者の価値ではない!

こころ

2018年6月27日

ジュニア年代で"よいコーチ"と出会う重要性。ネームバリューや実績だけが指導者の価値ではない!

キーワード:コーチコーディネーションチーム選びトレーニングドイツ坂本健二

ドイツのSVヴェルダー・ブレーメンやバイエルン州のクラブで長く指導し、ドイツサッカー協会認定の指導者ライセンス、DFB・エリート・ユース・ライセンスを持つ坂本健二さん。ドイツ在住の16年間で、下はU7から上は社会人まで、後にブンデスリーガとして活躍する選手を指導する機会を得ました。

豊富な指導経験を持つ坂本さんは、将来的に長くサッカーを続ける選手になる要因のひとつに「ジュニア年代での、よいコーチとの出会い」を挙げます。はたして、その理由はどのようなものでしょうか?(取材・文 鈴木智之 写真提供 坂本健二)

mdn20180627_01.jpg

■よいコーチとは、子どもに何を教えているのか?

坂本さんが、ミュンヘンにあるSVハイムシュテッテンというチームで監督をしていたころの話です。坂本さんは、ハイムシュテッテンのU13在籍時に指導をした選手たちがU17になった4年後、再び彼らの監督に就任したことがありました。SVハイムシュテッテンはミュンヘンで4番目に強いクラブで、近隣にはFCバイエルン・ミュンヘンやTSV1860ミュンヘンなど、ブンデスリーガのクラブも存在します。

ドイツでは、近隣クラブへの移籍が日常茶飯事のため、カテゴリーが上がるにつれて選手の顔ぶれも変わります。しかし、坂本さんがU13在籍時に指導した選手たちは、SVハイムシュテッテンで長くサッカーを続けていました。その理由を、次のように語ります。

「U17で私が再び指導した選手たちは、U11のときに、非常にいいコーチにサッカーを教わっていました。ミヒャエルというそのコーチは、『メルクーア・カップ』(注:ヨーロッパU11年代の世界最大の大会)で、チームを決勝ラウンドまで導いた人なのですが、私は一度、彼がU11の選手たちの前で話をしているのを聞いたことがあります。10歳の子どもに対しても、ひとりの人間として接していて、選手たちに試合へ向けた心構えを話していました。おそらく試合前だけでなく、日頃の練習から、トレーニングや対話を通じて、サッカーの醍醐味やおもしろさを伝えていたんだと思います。法律上、16歳からビールの飲酒が許可されるバイエルン州はサッカー以外の誘惑も少なくありません。そんな中でもU17やU19までサッカーを続ける選手たちは、サッカーの楽しさをよく知っているからこそチームから離れず、ずっと続けているのだと思います。もちろん、サッカーには体力的に辛いこともありますが、多くの場合はその先に楽しさがあって、例えば、試合に勝てばチームみんなで喜びあえる。それもサッカーのすばらしさですよね」

■成長の土台となるジュニア年代のからだづくり

サッカーを長く続け、選手としてレベルアップしていくためには、成長の土台となるジュニア期のトレーニングが大切です。坂本さんは監督業だけでなく、SVヴェルダー・ブレーメンを始め、複数のクラブでコーディネーションコーチとしても活動していました。

ドイツサッカー協会では、子どもの運動能力の低下を補うため、幼少期のコーディネーショントレーニングを推奨しています。たとえば2人1組になり、ひとりが手でボールを投げて、もうひとりが胸でトラップをしてキックで返す練習があります。この練習をするときに、まずは手で、正確に相手の胸に投げないといけません。昔は多くの子どもが外遊びをしていたので、相手に投げる練習をしなくてもキックの練習がすぐにできましたが、いまは投げる所から練習しなくてはならないというのが現実です」

さらに、こう続けます。

「日本でもドイツでも共通しているのが、U9の子どもたちに"両足を揃えて同時にジャンプしてみよう"と言っても、ぴょんぴょんとリズムよくジャンプできないことです。たいがい1回1回着地したあと立ち止まってしまい、連続してジャンプできません。ドイツも日本と同じくゲームが流行っていて、外で遊ぶ子どもたちが減ってきています。私が子どものころは、缶蹴りやジャングルジムで遊んだり、女の子はゴム跳びなどをやったりしていました。外遊びの中で、自然とコーディネーションの要素を身につけていったのですが、いまの子どもたちはあまり外で遊ばないので、練習の中にコーディネーションの要素を入れていく必要があるわけです

具体的にU7やU9、U12年代で、どのようなコーディネーショントレーニングをするのでしょうか?

「U7やU9、U12年代では、両足でのボールコントロールを中心に、状況に合ったパスなど、正確な動作と動きの無駄を省くための『慣習能力』や状況を見極めて次のプレーを決定する『オリエンテーション能力』、ドロップキックやジャンプヘッドに必要な『タイミング能力』、その他『リアクション能力』や『リズム能力』を高めるトレーニングを行います。それと『ボディバランス能力』です。これは、動作中や動作後に重心を取り戻す能力のことを言うのですが、たとえば、日本でもドイツでもU9の子たちに"イスの上に立ってから、ジャンプして降りてそのままダッシュしよう" ということをやらせてみると、多くの子どもができません。イスからジャンプして降りた瞬間にぐしゃっと膝が折れて、バランスを崩して地面へ倒れ込んでしまうんです」

mdn20180627_02.jpg

■もう、ネームバリューだけで指導者やチームを選ぶのは止めよう

坂本さんが指導していたSVハイムシュテッテンでは、U11以下の選手たちに対して毎週金曜日に45分をかけて、コーディネーションのトレーニングをしていたそうです。坂本さんは言います。

「選手がU9やU12のときは指導者が働きかけて、ベースを作っていくことが大切だと思います。SVハイムシュテッテンでサッカーを続けていた選手たちは、U11のときにミヒャエルという優れた監督に出会って、人間的な部分と同時に"サッカーがうまくなるためには、どうすればいいか"という理由や考え方をしっかり教わってきました。その原体験があったから、サッカーの楽しさや深さを知り、長くサッカーを続けてきていたのではないかと思います」

小学生年代でどのような指導を受けるか。また、どのようなコーチと出会うか。それは後のサッカー人生を左右することになります。サッカー少年のお父さんお母さんは、クラブやコーチのネームバリューに左右されず、トレーニングを見学したりコーチと対話したりすることを心がけ、コーチの人柄や指導の内容などをしっかりと把握したうえでチームを選ぶことが大切なことかもしれません。

※この記事は2016年3月に掲載した記事を再編集したものです。

関連記事

子どもの試合はワールドカップではない!勝ち負けを意識し過ぎる大人に送る5つのメッセージ

「○○君を出すから試合に負けた」コーチの不可解な選手交代に親はどう行動すべきか?

1

U-10年代を指導するお父さんコーチにおすすめ!【PR】

坂本健二氏が翻訳したドイツサッカー協会の指導書と
DVDをセットでご提供!

6歳から10歳までの子どもたちがサッカーを楽しみ、自らチャレンジして上手くなる指導法とは?

ドイツサッカー協会が編集し、坂本健二氏が翻訳したU-10年代を指導するコーチに向けた指導書と、 ドイツの指導者養成機関であるケルン体育大学で講師を務め、1.FCケルンで育成部長などを務めたクラウス・パブスト氏によるトレーニングDVD「モダンフットボール」をセットにしました。

取材・文/鈴木智之 写真/坂本健二

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ

こころコンテンツ一覧へ(192件)

コメント

  1. トップ
  2. コラム
  3. こころ
  4. ジュニア年代で"よいコーチ"と出会う重要性。ネームバリューや実績だけが指導者の価値ではない!