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こころ

2018年6月26日

「○○君を出すから試合に負けた」コーチの不可解な選手交代に親はどう行動すべきか?

キーワード:コミュニケーションドイツ出場機会坂本健二育成

自分の子どもが試合に出られるか――。サッカーをする子を持つ親にとって、大きな関心事のひとつでしょう。子どもの成長を願う多くのコーチは、「どうすれば選手全員を試合に出場させることができるか」を考えています。

上手な子ばかりを試合に出していると、そうではない子は試合を経験する場が限られ、実力の差は開く一方。子どもは試合に出られないことでサッカーを"つまらない"と感じ、サッカーが嫌いになってしまうかもしれません。親の立場からすると、せっかく試合を観にいったのに自分の子どもが出ていなかったら、がっかりすることもあります。

もちろん、試合に出るためには競争があり、それを勝ち抜いた選手が試合に出るべきなのですが、上達するために試合を経験する場が必要なことは言うまでもありません。子どもがなかなか試合に出られないとき、子どものチームがコーチの不可解な交代によって負けてしまったとき、あなたはどう行動しますか?

ドイツで16年間の指導実績、ブレーメンの育成組織や、バイエルン州にある7つのユースチームを擁するアカデミーダイレクターを務めた経験を持つ坂本健二さんに話をうかがってきました。(取材・文 鈴木智之 写真 新井賢一)

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■サッカーがチームスポーツだと理解しよう

坂本さんはドイツでのコーチ時代、どのような取り組みをしていたのでしょうか?

「ドイツのジュニア年代は7人制で、1チーム1カテゴリーあたりの選手数は、10人から12人くらい」とのことで、ベンチに座っているのは最大で5人ほど、現実的には3~4人くらいになることが多いそうです。

「監督によっては、選手を固定して戦うチームもあります。私がU9チームの監督をしていたときは、なるべく多くの選手を試合に出場させるようにしていました。あるとき、チームの関係者から『あなたは全員を試合に出して偉いと思う。別の監督のときは、そうはいかなかった』と言われたことがありました」

しかし、毎回すべての選手を試合に出場させられるとも限りません。試合の状況によっては、選手を替えにくいときもあります。

「試合の流れを見て『この展開なら、この選手は出せそうだな』といったことは、つねに考えています。たとえば、実力は劣るけど毎回練習に来ている子っていますよね。監督としては、その子も試合に出してあげたい。でも彼を出場させると、チーム力が下がってしまう。そこで、チームで一番うまい攻撃の選手を最終ラインに下げて守備を強化し、彼を前線のポジションで出すなど工夫しました。それでも失点してしまい、ほかの親から『◯◯を出すからだ!』と言われたこともありました

そこで外野の声に圧されて、実力の劣る選手を試合に使わなくなってしまっては、選手の成長のためになりません。坂本さんは「大切なのは、選手や親にサッカーはチームスポーツだと理解してもらうこと」だと言います。

「ドイツのU‐11年代は7人制サッカーですが、7人ぴったりではチームを運営できません。選手がケガをしたり、家庭の事情で試合に来られないこともあります。そう考えると、最低10人は必要です。実力の劣る選手を試合に出すことについて、文句を言う選手や親がいるとしたら、まずはそのことをわかってもらいます。例えば、選手に『7人ぴったりで試合に臨んでケガ人が出たとする。けがをした選手が退場して、6人で戦って勝てると思う?』と言ったことがありました。そうすると『勝てない』という返答がありました。そこで『キミがもし、ずっと試合に出られなかったとしたら、それでも毎回練習に来る?』と聞くと『来ない』と。『そうだよね。でもサッカーはチームスポーツで、全員で一つのチームなんだよ。そのことが理解できないのであれば、他のチームに行くか、柔道や水泳などの個人スポーツに行ってもらうしかないよ』と言ったことは何度かありました」

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■その選手を起用しているのはワケがある

さらに、坂本さんがU19のチームの監督をしているとき、こんなことがありました。リーグ戦終盤でその試合に勝って上位争いに加わりたいという気持ちで挑んだ試合でのこと。

4-1でリードしたのでストライカーを下げて、普段あまり試合に出ていない選手をピッチに送り出しました。シーズン終盤のことも考え、よりチーム力を上げる意味で行った選手交代でした。しかし、その選手が決定機を外しただけでなく、相手チームに次々とゴールを奪われ、終わってみれば4-4の引き分け。相手選手たちはまるで勝ったかのような大騒ぎ、坂本さんのチームは3点のリードを守れず、まるで敗戦したかのような衝撃に打ちひしがれてしまいました。

試合終了直後、試合を観に来ていた選手の親に「なんでエースの選手を替えて、あんな選手を入れたんだ!」と、すごい剣幕で怒鳴られ、詰め寄られました。そこで坂本さんはその理由を説明するために、過去の試合のデータを振り返り、途中出場した選手がどのぐらいゴールを決めていたかを明らかにしました。選手たちにもデータを見せながら「だからこの選手を使ったんだ」と説明をしたそうです。坂本さんは言います。

「なぜその選手をスタメンで使うのか。あるいは途中から出場させるのか。コーチは常にその理由を考えながら、試合前だけでなく試合中も、選手起用には気を配っています。選手の調子、対戦相手の傾向を見極めて、適材適所で選手起用するのがコーチの役割だからです」

コーチはなにも考えずに選手交代を行っているわけではありません。コーチにはコーチの考えや計画があり、チーム全体のことや選手ひとりひとりの成長を考えて、トレーニングを組み立て、試合に出場させています。

それに対して疑問や不満を持つこともあるかもしれませんが、一方的に非難をしたり不満を持つのではなく、疑問に思うことがあれば、直接、訊ねてみるのがいいかもしれません。コーチと親がコミュニケーションをとり、お互いの考えに対する理解を深めることが、子どもの成長につながっていくと言えるでしょう。

※この記事は2016年2月に掲載した記事を再編集したものです。

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取材・文/鈴木智之 写真/新井賢一

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