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「セレクションなし」「練習は平日2日」のチームが、創部3年で全国出場を決めた理由とは?

公開:2020年12月10日 更新:2023年6月30日

キーワード:ACグローリアガールズU15コーディネーションテクダマドリブルリフティング全日本女子サッカー選手権大会

フットサルコートで行う練習は、平日に2日間。決して恵まれた環境とはいえない中でも、活動開始から3年で女子中学生年代の日本一を決める「JFA 第25回全日本U-15女子サッカー選手権大会」(12月12日から、味の素フィールド西が丘などで開催)に初出場を果たしたのが、大阪のACグローリアガールズU15です。異例の早さで全国大会出場を決めた要因について、チームを率いる三木利章さんに話をお聞きしました。

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■セレクションなし、トレセン経験者は1名のみ

クラブのテーマは、「高校生サッカーでも活躍できる選手の育成」。過去2年で卒業した選手の全員が高校でもサッカーを続けるだけでなく、強豪校でプレーする選手も多く、昨年は「高校女子サッカー選手権」に1期生のO.G4名が出場。今年は女子の最高峰の大会「皇后杯 JFA 第42回全日本女子サッカー選手権大会」に1.2期生のO.G5名が出場しました。

彼女たちの多くは、小学生時代から名の知れた選手ではありません。セレクションもなく(定員を越えた場合のみセレクション)全国大会出場を決めた今年のスタメンも、小学生時代にトレセンに選ばれていた選手は1人だけ。残りは、3年間の練習によって、大きな成長を遂げた選手たちです。

そうした選手が育つ秘密は、徹底して個人能力のアップに取り組む2時間の練習に隠されています。

<ACグローリアガールズU15>
●創部3年目で初の全国大会出場
●スタメン11人中10人は小学生時代トレセン経験なし
●チーム練習は平日週2日、2時間のみ
●練習環境はフットサルコート1面

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■飛躍の秘密は、しなやかな「動きづくり」

他チームとはメニュー構成が大きく違い、最初の30分はみっちり基礎運動とコーンドリブルとリフティング、コーディネーショントレーニングを実施。これらはボール扱いの上手さを身につけるのではなく、思い通りに身体を動かすための「動きづくり」が狙いです。

人間の身体は足首、膝、股関節の3か所が動き、それぞれ内側にひねる「内旋」と、外側にひねる「外旋」という動作があります。これらの6つを滑らかに動かすために、時間を割いているのです。

同時にドリブルメニューに多い、前進する動きだけでなく、後ろ向きや横向きなど、日常では行わない動きを多く取り入れ、咄嗟の状況でも反応できる選手を目指しています。素早い動きに身体がついていけるよう、ボールタッチの正確さよりもスピードを重視するのも特徴です。こうした練習によって、しなやかに動けるようになるため、女子選手に多いアキレス腱や靭帯の断裂は過去1人もいません。

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■他チームに比べて足りない練習時間をどう補うか?

ただ日々の練習をこなすだけでなく、選手の意識改革を行うのも特徴です。加入したての1年生のお手本になるよう練習は同学年で固まるのではなく、常に上級生と一緒の学年縦割りのトレーニング。「こんな先輩になりたい!」と練習に取り組む姿勢が良くなるだけでなく、熱心に自主練に励むようになります。

週に3回の練習を行うことが多い他チームに比べ、週2日のグローリアガールズは年間で48回。中学を卒業するまでで換算すると、300時間もの練習時間が足りない計算になります。

足りない時間を個人で補えるよう選手が自然と"上手くなりたい!"と思える環境づくりも、上手くなるためのポイントです。

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■特殊なボールを使って、身体の扱いが上手い選手に

彼女たちがリフティング練習の際に使うボールにも上手くなるための秘密が隠されています。グローリアガールズで行うリフティングの目的も回数ではなく、身体を思い通り動かせるかどうか。上手い選手はボール扱いが上手いのではなく、身体をスムーズに動かすことができるからこそ、いろんなボール扱いができると考えているためです。運動神経を刺激し脳と身体の動きの連動性を高める必要があるため、他とは違う「テクダマ(TEKUDAMA)」を使用しています。

重さは4号球と同じですが、大きさは2号球サイズ。見た目は普通のボールと変わりませんが、独自のバランス設定によって、ボールの当たる面によって回転が変わり、不規則にバウンドするのが特徴です。

普段とは違うボールを使用することで、脳が刺激され、同じトレーニングでも、効果は大きく変わります。フィールドの選手だけでなく、試合では予想もしないコースへの反応を余儀なくされるGKのトレーニングにも有効だと三木さんは話します。

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▲ACグローリアガールズU15も使っている「テクダマ(TEKUDAMA)

■勝つんだ!ではなく、自分たちらしさを「表現」しよう!

こうした選手育成によって、初めての全国大会出場を掴みましたが、「結果論として今年、全国に行けただけでこれまでよりも強かったとは思わない」と、三木さんは話します。変化があったのは、試合に挑む気持ちです。

昨年までは勝ちたい気持ちが勝ってしまい余裕が持てず。セーフティーなプレーや無難なプレーを選択してしまう場面も多く、あと一歩の所で全国大会への出場を逃しました。

しかし、今年は三木さんが「自分やチームの良さを出して、自分たちがやりたい事を表現し、周りから上手いと言われる様なサッカーをしたい」と選手に強調。

選手は、"絶対に勝つんだ!"という抽象的な指示ではなく、グローリアらしいドリブルやコンビネーションによる崩しなど『表現する』という事を合言葉に、目指すべきプレーが明確になり、選手の個性や特徴が発揮される場面が増えました。リードした状況でも、逃げ切るのではなく、向ける矢印は自分たち。らしさが発揮できていないと三木さんが感じれば、「本当にそれで良いの?自分のやりたい事がやれているの?」と指示が飛びました。

全国大会でも、スタンスは変わりません。目指すのは、日本一でなければ、全国初勝利でもなく、グローリアらしさを発揮すること。選手の多くが、「他のチームとの違いを見せたい」と口にするグローリアガールズの活躍に、ぜひ注目してみてください。

ACグローリアガールズU15も使っている「テクダマ(TEKUDAMA)」の詳細はこちら>>

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取材・文 森田将義

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