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テクニック

ハードなプレッシングを繰り返しても、疲れない方法があった!

2014年6月18日

キーワード:守備日本代表

ブラジルW杯グループG、ドイツ対ポルトガルの前半37分、ポルトガル代表のCBぺぺが相手フォワードのミュラーに対して、苛立ちを抑えきれずに頭突きを食らわせて退場したシーンは今大会の一つのハイライトといっていいでしょう。
 
このシーンをよくよく振り返ってみると、最終ラインでボールを保持するぺぺに対して、ミュラーが実にスムーズなまでの前線からのプレッシングを敢行。これがぺぺの苛立ちとそれに伴うレッドカードを誘発したのがよくわかります。
 
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(取材・文/杜乃伍真 写真/田川秀之)
 
 

■疲れないプレッシングは重心移動がカギ

ミュラーは、ボールを保持するペペを同サイドへ追い込むべく忍び寄りながらも、ぺぺがその逆をとろうとドリブルで切り返した瞬間、プレッシングを剥がされることなく、スムーズな身のこなしでぺぺに身体をすり寄せることができていました。
 
このミュラーの一連の身のこなしに、「重心移動」を見てとるのがフットボールスタイリストの鬼木祐輔さんです。鬼木さんは以前掲載した記事(「ディフェンダーは腰を落とせ!」は間違いだった)中でも、1対1の守備時における重心移動の重要性を指摘しています。
 
曰く、重心移動でのプレッシングだったからこそ剥がされなかった、あるいは、たとえ剥がされそうになっても続けて2回3回と連続でプレッシングにいくことができる、という主張です。
 
「このシーンの映像を数秒間だけ巻き戻して見てみると、ミュラーはぺぺにボールが入った瞬間、数メートル離れた位置から、身体の中心(お腹)から動きだす重心移動によって、すばやくスタートが切れていました。さらにミュラーは、(ミュラーからみて左方向へ追い込もうとしながらも)ぺぺが逆サイドへ切り返した瞬間、すばやく身体の中心(お腹)を右方向へと傾けているので、スムーズな方向転換ができているんです。方向転換のときに、右脚や左脚で体重全体を支えて踏ん張るのではなく、右方向へと先行した身体の中心(お腹)のあとを追うように、右脚や左脚は軽快なステップを踏めている。だからぺぺに自分の身体をすばやく擦り寄せることができて、ぺぺを慌てさせることができたのです」
 
この一連の身体の運びが、まさに重心移動で運動をしている証拠。お腹を中心に動いているからこそ、右脚や左脚の筋力に過度な負担がかからず、筋肉への疲労の蓄積を最小限に抑えながら何度でもプレッシングにいけるのだと鬼木さんはいいます。 
 
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Photo by woodleywonderworks contested soccer ball
 
 

■日本代表が後半になるとバテてしまう理由

逆に、相手センターバックの切り返しに対して、外側の脚で踏ん張って方向転換しようとしていれば、それは体重移動で身体を運んでいる証拠。方向転換のときに、外側になる脚で全体重を支えて踏ん張り、脚の筋力に相当な負担をかける運動なので、試合を通じたコンスタントなプレッシングが発動しにくくなるのです。
 
「その運動は、言ってみれば反復横跳びを繰り返しているようなもの。日本の育成年代でも前線からのプレッシングは非常によく見られるようになった昨今ですが、体重移動である反復横跳びを繰り返していれば、いくら身体を鍛えようとも、身体への負担はとても大きく、エネルギー消費の観点でもとても非効率。たとえ前半は威勢がよくとも、後半には相手CBにプレッシングをいなされて剥がされる機会も多くなってしまうでしょう」
 
連続で前線からプレッシングをかける「ゲーゲンプレッシング」を90分間繰り返すことで欧州戦線を席巻したのはブンデスリーグのボルシア・ドルトムントであり、同じくドイツ勢のバイエルン・ミュンヘンも積極的でハードな前線からのプレッシングをベースにした戦いによって世界王者に上り詰めました。
 
このドイツ勢の強みは今大会のドイツ代表にもしっかり浸透しているようで、このポルトガル代表戦を通じても、非常にスムーズな前線からのプレッシングを“省エネだからこそ”何度もローテーションしながら繰り返し、それを引き締まった守備網の構築につなげていました。
 
重心移動をするためのポイントは“骨盤が立っていること”ですが、鬼木さんの言葉を借りれば、運動をするときに「お腹から動きだすこと」「背中がシュッとしていること」などを意識することが重要なポイントになります。
 
体重移動ならぬ重心移動での運動が可能になれば、「試合を通じて疲れにくく、たとえ一度は剥がされそうになっても2回3回と連続的にプレッシングを仕掛けることも可能」(鬼木さん)。
 
この試合のドイツ代表が、ポルトガル代表の最終ラインから試合を決定付ける大きなミスを誘ったのは、決して偶然ではありません。
 

鬼木祐輔
サッカーがうまくなるために「身体を上手に動かす」という観点からサッカーを捉え、その方法を一緒に考えいていきます。しなやかで、シュッとしていて、立ち姿が美しく。 頑張らない、息まない、力まない。サッカー選手をスタイリングして行きます。現在は幼稚園児から高校生までのスクールやチームでサポートを行っております。また、ケガをしないための身体作りやケガから競技復帰までのお手伝い。自分で自分の身体の状態を知るためのお手伝いもしています。ケガでお悩みの方もご相談ください。
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取材・文/杜乃伍真 キャプチャー提供:LEGENDS STADIUM

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