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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

サッカースクール新米コーチの悩み。最適な練習メニューってどんなもの?

公開:2018年12月14日 更新:2019年3月18日

キーワード:コーチングサッカースクールトレーニング内容主体性小学生指導池上正試合

今回はなんと、とあるプロクラブが運営するサッカースクールのコーチからのご相談です。子どもたちのためになるメニューを、と真剣にお悩みのコーチですが...。

プレーヤーとしてサッカー経験があっても、教える側に回ると難しさを実感するものです。まして、サッカー人生のスタート地点に立ったばかりの小学生。ここでサッカーに対して嫌な思いを抱えてほしくないですよね。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、たくさんのアドバイスをくれたので参考にしてみてください。(取材・文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプでのトレーニングです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

<<ダラダラ練習、やる気もなさそう。全力でやらず負けても悔しくない子どもたちをサッカー好きにするにはどうすればいい?

<お父さんコーチからの質問>

とあるプロクラブが運営しているサッカースクールでアシスタントコーチをしています。指導年齢はU-8、U-10、U-12です。

まだ経験が浅いので、勉強しながら指導していますが、今のところ練習のメニューを考えるのに苦戦しておりご相談いたしました。

自分自身サッカーをしてきたものの、教えるとなると、この年代に何をどんなふうに教えるのが良いのか、どんなメニューが最適なのか分からなくて悩んでしまっています...。

どのようにしたら、子どもたちのためになる練習メニューが考えられるようになるのか、教えていただけませんか。

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。
第一に、練習メニューの考え方(コンセプト)は、どんなものをお考えですか?

私は、「楽しくなる練習ってなんだろう」というところを入り口に考えます。少年サッカーは子どものスポーツですから、とにかくそのスポーツを「好きになる」ことが重要です。

ご相談者様はまだ経験が浅いということですので、最初は本やネットに出ているさまざまな練習メニューを試してみることをお勧めします。

■これなら外さない! 自分の「鉄板メニュー」を持つ

とにかく、まずやってみる。

そのときに、そのメニューで果たして子どもたちが楽しそうにやっているかどうかを確認します。もし、子どもたちが楽しそうでなければ、「どこが楽しくないの?」と尋ねてください。

子どもたちの意見を聞いて、コーチ自身も「なるほど、そうかもしれないな」と感じたら、楽しくなるよう工夫して変化させればいい。つまり、楽しくなるよう改良をします。やっていることに競争の要素を加えてみたり、いろいろ考えてください。

それでも楽しそうでなければ、サッと違う練習に切り替えます。コーチのなかで経験を積み上げていけば、オリジナルのものが生まれてきます。

よく見ていると、どの指導者も、自分の得意な練習「鉄板メニュー」をもっています。このメニューなら必ず子どもたちが喜ぶ。絶対外さない。そんな練習です。それがひとつでも見つけられれば、うまくいかないときに「コーチ、ほら、いつものあれやりたい!」と子どもたちから言ってきます。

■「うまくやろう」としなくて大丈夫。子どもが伸びる状況を作ってあげよう

私の鉄板メニューは「ドリブル競争」です。

「ふたりでドリブル競争するよ~」と言って、よーいドンでドリブルしながらマーカーを回ってくる速さを競わせます。そこで勝ち負けが決まるので、子どもたちは集中します。
さらにいえば、勝った者同士がやったり、負けた者同士でやってみたりと、次々と一緒にやる相手を替えられます。それは子どもたちがその都度、選べます

「負けた人~?」
「あ、僕も負けた」
「じゃあ、やろう」
と、なるので、コーチに指示された相手とやるわけではありません。より自由度が高まります。

そのなかで、マーカーを回る前の途中でドリブルしながら相手と交差するなど、メニューの中身を発展させます。その際に「マーカーやコーンなど何を使ってもいいから、メニューを考えてごらんよ」と選手にアイデアを求めます。

そうすると、ジグザグでドリブルするとか、途中でジャンケンするといったことを、自分たちで考え始めます。自分たちで考えたメニューなので「うまくいくかな」と子どもたちも真剣度が増します。大人から一方的に命じられたものより力がつくはずです。


そんなふうに、任せることで子どもたちはさらに成長します。

とはいえ、子どもたちが自分たちで考えたものに、問題が生じることは多々あります。効率が悪い。同じ人としかできない。ちょっと単調。そんなときは「あれあれ、同じ人としかできないけど、いいのかな?」と問いかけます。問題解決を少しだけ手伝います。


そうすると、子どもたちはまた考え始めます。

そんなふうに試行錯誤を重ねることが、まずは重要です。決して最初から「うまくやろう」「常にいいメニューをやろう」と肩に力を入れる必要はありません。周りにいる保護者や他コーチの眼など気にせずに、どんどんトライ&エラーを積み上げてください。

■トレーニング方法の正解は一つではない

実は、このような相談は非常に多いです。自分で調べられないし、何を見たらいいかわからないと言います。「本も、メニューも、たくさんあり過ぎてどれを選べればいいかわからない」という声も聞きます。

「どれを見れば?」と聞かれたら「どれでもいいです」と答えます。「どれがいいか」なんて最初からわかりません。同じメニューでも、ある集団は楽しめたけど、違う集団は楽しめなかった。そんなことは私にもあります。

よって、「どれがいいか」ではなく、「どれでもいい」と考えてください。


目の前の子どもたちにどれが合うかどうかは、わかりません。どんなメニューでも、サッカーはサッカーなので、とりあえずやってみる。そこで指導者が注目すべきは、最初に伝えたように「どんどん楽しくやるか」。コーチが「集中しろ!」「頑張れ」などと応援しなければやらないメニューであれば「楽しめていない」ということです。

もうひとつの観点は「みんながうまくできなければダメ」ではないということ。うまくいかないからやる。それが練習です。

すぐにできてしまうのであれば、そのメニューは「難易度が足らない」わけです。なので、やっても無駄なのでやめます。うまくいかないことをまずはやる。それをうまくやるにはどうするか。そこを子どもたちと一緒に考える。それも練習です。

この「難易度」は、子どもたちそれぞれで少しずつ異なります。だからこそ、勝ったり負けたりする競争の要素は重要なのです。負けるのは、相手よりうまくできなかったということ。「じゃあ、どうしたらうまくできるのかな?」と考えられます。

さらにいえば、「勝った子同士でやる」「負けた子同士でやる」とやれば、それぞれの難易度を調整できます。すごくうまい子に負けたとしても、負けた者同士でやれば力が拮抗するので集中できます。

一方で、みんなに勝ってしまう子は、楽しくなくなります。そんな子はよく私のところに挑戦しに来ます。そういう子こそ飛び級で上の学年の子と練習させてあげましょう。


人間はちょっと上の者にチャレンジしたいという挑戦心があります。ただし、全然太刀打ちできないのでは、気持ちがしぼんでしまいます。少し頑張れば倒せそうな相手。そういったちょうどよい壁が必要になります。

次ページ:大人の学びの機会が少なくアップロードできない?

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文:島沢優子

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