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使い方次第で練習の濃度がぐっと上がる! JACPAのコーチとしつもんメンタルの藤代さんが語る「選手を伸ばすサッカーノート」活用法

公開:2023年10月31日 更新:2023年11月 2日

キーワード:JACPAサカイクサッカーノートサッカーノート考える力藤代圭一記憶

今や、サッカープレイヤーの必須アイテムの1つとされる「サッカーノート」。多くの子どもたちが上達のためのツールとして日々記入していることでしょう。

せっかく書くなら本当にサッカーが上手くなるように活用してもらいたいものですが、それを叶えるためにはどうしたらいいのでしょうか。

今回はサッカーノートを子どもたちのために自作しているというJACPA東京FCの鈴木宏輝コーチと、サカイクサッカーノートの監修者である藤代圭一さんの対談をお届けします。
(構成・文:小林博子)

 

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JACPA東京FC

  

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■独自のサッカーノートを自作して選手に使わせている理由 

鈴木さんのサッカーノートの歴史は、自身が選手時代から今も継続中です。今は選手としてではなく「指導者ノート」に変わり、子どもたちへの日々の指導に役立てています。指導者ノートは現在17冊目。ノートを大切そうに手にとり、ページをめくりながら鈴木さんはこう話します。

「選手時代のサッカーノートも、今の指導者ノートも、後から見返して気づきがたくさんある"財産"になっています。書かなかったら忘れて流してしまったかもしれないことがしっかり残っていますし、何気なく書いたことが後から重要な発見につながることも多々あります。また、これまでのノートを見返すと、"指導者として成長している"と感じることもでき、自信にもつながっています」

指導する選手に配っているサッカーノートは、鈴木さんが自作した独自のノート。子どもたちに問いかける形で、練習前や練習後のその日の目標や反省が記入できたり、サッカーだけでなくメンタルや生活習慣面の記入ができたりする箇所も。どの項目も質問形式になっていて、文章を書くことが苦手な子どもでも無理なく書ける工夫が施されています。

「一般的なノートをサッカーノートにしても、真っ白なページには何も書けない子がたくさんいます。何かを書かなくちゃと頑張ってくれても『今日の天気は晴れでした』など意味のないものになりがちです。うちのチームはノートの提出を義務づけていないのですが、そうはいっても何か書いて出さなくてはと思って頑張ってくれるんです。意味のない内容のものだと書く方も見る方も無駄な時間になってしまい、お互いのストレスになります。子どもたちのためにもそれではいけないという思いから自作のノートをつくるようになりました」

実は鈴木さんの自作サッカーノートは、サカイクサッカーノートの監修もしてくださっている藤代圭一さんのメソッドが取り込まれたものなのだとか。というのも、鈴木さんは藤代圭一さんの著書を読み込み、そのメソッドに強く共感しているためです。

そんな鈴木さんと藤代さんにサッカーノートを書くことや、サッカーにおける「質問」の大切さについて語り合っていただきました。

 

■自分自身と向き合うこと、習慣づけの大切さ、自信など子どもたちに伝えたいことを盛り込んだ

藤代さん(以下、藤代) 鈴木さんのサッカーノート、拝見させていただきました。「すごい」のひとことです。僕が作ったノートよりいいのではないかと思ったほどです(笑)

鈴木さん(以下、鈴木) 藤代さんの書籍を何冊も読んで、しつもんメンタルトレーニングを勉強して作らせていただきました。

藤代 僕が伝えたいことが伝わっていてむしろ嬉しくなりました。現場で日々子どもたちと向き合っている方が作ったノートだからこその魅力もありますよね。僕が監修したサカイクサッカーノートは、レベルや環境に関わらず多くの子どもに使ってもらいたいので、ベーシックな項目が中心です。鈴木さんのノートは、チームの方針がノートで体現されているところがさすがだと思うんです。

鈴木 ありがとうございます。自分自身と向き合う選手に成長してほしい思いや、習慣の大切さ、そして何かで1番になることで育まれる自信など、僕が子どもたちに伝えたいことをたっぷり盛り込んでみました。

 

■サッカーノートを作ったきっかけ

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藤代さんとサカイクが開発したサカイクサッカーノート

 

鈴木 ところで、藤代さんがサッカーノートを作ったきっかけを教えていただけますか?

藤代 サッカーの指導者だった頃、僕も子どもたちにサッカーノートを書くように指導していたんです。でも鈴木さんもおっしゃっていたように、白いノートに何かを書くのは子どもたちにはハードルが少し高いんですよね。やっとの思いで一生懸命書いても、「こんなことを書くな」「誤字脱字が多い」などの理由で親御さんに叱られてしまったりする子も......。それを見ていて、かわいそうだぞと思いました。鈴木さんがサッカーノートを自作した理由と全く同じです。

鈴木 わかります。本当にそうなんですよね。

 

■しつもん形式にすることで自分と向き合う時間に! 自分で決めると意志を強く持って行動できるようになる

藤代 人は質問されると答えを探したくなるという性質をもっているから、しつもん形式にすることで、子どもはその答えを無理なく紡ぎ出してくれるんです。ナチュラルに「自分の言葉で書く」ことができる。ノートを書く時間が、自分と向き合う時間になります。

鈴木 「自分としっかり向き合うことができる」は、僕が子どもたちになってほしい姿そのものです。

藤代さん
そういった「考えるきっかけ」を自然に与えられるのはしつもん形式のノートの良いところです。しっかり自分と向き合って思いや考えを整理してアウトプットすることができます。人から言われたことではなく、自分で決めたことになるので、さらに意志を強くもてるのも大きなメリットです。ちょっと難しい表現にはなりますが、思考を整理して言語化することで自分自身を認知し、行動につながるわけです。

  

サッカーする子どもを伸ばす親の心得
「サカイク10か条」とは

 

■サッカーノートは記憶の外部メモリ。先週の内容をノートで思い出すだけで練習の濃度がぐっと上がる

鈴木 ちなみに藤代さんの影響で僕の自作ノートにも「練習前」の項目ができました。練習は土日しかないこともあり、この1ステップがとても効果的です。先週のことを練習前に思い出してもらって、その日の課題を意識して練習に来てくれるようになりました。それだけで練習の濃度はぐっと上がりますから。

藤代 それがノートのもう1つの魅力である「記憶の外部デバイス」なんですよ。人間は2日で60%は忘れる生き物と言われています。(※エビングハウスの忘却曲線 下記イラスト参照)先週末のことを翌週まで全て覚えているのは誰にもできないことだからこそ、サッカーノートに記憶してもらうことは有効な手段です。

 

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エビングハウスの忘却曲線 復習しないとどんどん忘れる

 

■会話だけでは知れない相手の心を知る、他者とのコミュニケーションツールでもある

鈴木 僕は藤代さんの本を読んで、子どもへの質問の仕方にも変化がありました。昔はつい、期待する答えを求めるための質問になってしまっていたと思うのですが、今は答えを誘導しないようにしています。そして答えが出るまで黙って待てるようになりましたし、どんな答えがきても正解にしています。

藤代 素敵ですね!

鈴木 サッカーノートに関しても、子どもがどんなことを書いてもネガティブな言葉がけをしないことを僕は意識していますし、保護者のみなさんにもそうしていただけるようにお便りなどで伝えています。それを続けるうちに子どもは自由に書くようになり、指導やコミュニケーションもしやすくなりました。

藤代 サッカーノートは「自分と向き合う(=自分とのコミュニケーション)」のほかに、コーチや保護者にコメントを返してもらうなど、「ノートを通してお互いのことを知り合える(=他者とのコミュニケーション)」ツールにもなっています。

子どもの頭の中にあることが明確になるほど寄り添った会話ができますし『こうしなさい』ではないアプローチが可能になり子どもの主体性や自主性も伸ばしてあげられます。子どもは『わかってくれる大人がいる』と感じ、コーチや親との信頼関係が強固なものになります。

鈴木 本当にそうだと思います。ノートをみていると「この子はこんなところまで気づけているんだ」と驚くことも。会話だけではそこまでの発見は難しいでしょうね。

藤代 どんなことを書いても一方的な評価されることのないノートだという安心感があればこそです。そこがうまくできているのはジャクパさんはさすがだと思います。

 

■サカイクサッカーノートをチームに導入

藤代さんのメソッドを取り入れたサッカーノートの手応えが上々なこともあり、JACPA東京FCではこの秋から2、3年生にサカイクサッカーノートの導入を開始しました。それによる子どもたちの成長や、まわりの大人たちの関わり方の変化について1年間の成長を追っていきます。お楽しみに。

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鈴木宏輝(すずき・ひろき) 
昨年、全国大会に出場した「JACPA東京FC」U-11コーチ。
株式会社ジャクパスポーツクラブ東京第一支部 支部長。幼稚園・保育園・こども園において体育指導を行っている幼児体育のプロ。アンブロの「はじめてシューズ」を開発したり、幅広く活躍している。
自身による自作サッカーノートを選手たちに配り、指導ツールとして活用している。

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藤代圭一(ふじしろ・けいいち)
一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。サカイクサッカーノート監修者。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝チーム、日本代表チームなどさまざまなジャンルのメンタルコーチをつとめる。子どもや選手に「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意とし、全国各地の指導者のコーチとしても活躍。2023年からはオンラインのメンタルトレーニングスクールを開校。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)、「教えない指導―子どもの主体的な学びを引き出すしつもんメンタルトレーニング」(東洋館出版社)など。

 

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構成・文:小林博子 写真提供:JACPA東京FC、しつもんメンタルトレーニング事務局

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