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今年の目標を立てよう!の前に、知っておきたい「成長につながる目標」を立てるために"やるべきこと"

公開:2020年12月26日 更新:2023年12月22日

キーワード:しつもんやる気努力振り返り新年の目標目標設定藤代圭一

一年の計は元旦にあり――。
新年のスタートという節目は、新しい目標や計画を立てるのに最適の機会と言えます。
ただ、単に目標を立てればいいというわけではありません。なかなか目標を立てられない子どもたちもいるのではないでしょうか。

目標を定め、やる気を引き出し、それに向かって努力を続けていくにはどのようにすればいいのでしょうか。しつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんに話を伺いました。

 

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(新年になると「今年の目標を立てよう」と張り切りますが、その前にやるべき重要なことが...)

 

後編:目標=ノルマではない! 自信につながり、最高の結果を生み出す「目標の立て方」>>

 

<目次>

1.速く走るために必要な3つの要素
2.「やらなければ」という発想を手放す
3.成果だけでなく、成長の過程を評価する振り返りを

 

目標を立てる前にやるべきこと

藤代さんは目標を立てる前に、まずは1年を振り返ることが大事だと言います。

「この1年を振り返ってどうだったのか。サッカー以外のことも含めて、印象に残ったことや、感じたことをまずは子どもたちに聞きたいですね。本来は目標設定と振り返りはセットですので、1年に1回ではなく、日常的に振り返るのがベストです。ですが、年末年始のゆっくりできるタイミングで、僕ら大人(保護者や指導者)が子どもたちに、『この1年はどうだった?』と問いかけてみましょう」

振り返りの際に気を付けたいのは、反省会にならないこと。ダメだったことだけではなく、上手くいったことを引き出してあげることが重要になります。

「この1年どうだった? と聞くと、多くの子ども達は条件反射的に反省会をし始めるんです。反省会は「善し悪しを振り返ること」が本来の目的ですが、これができなかったとか、あれができなかったとか、欠点探しがはじまってしまいます。ですので、上手くいってないことばかりを子どもたちが話し始めたら、『なにができた?』とか、『どんな発見があった?』など、ポジティブな要素も振り返りができるような質問をしてみましょう。この1年が自分にとって価値あるものだったと感じ、新しい年も頑張ろうという気持ちになることが、振り返りの最初の一歩と言えますね」

振り返る時に役に立ち、僕も実践しているのは「ToDoリスト」ならぬ「To Feelリスト」です。これは予防医学研究者の石川善樹先生が提唱しているもので、豊かな人間として生きるために、感情の振り返りを行なうというものです。

 

「やらなければ」という発想を手放す

藤代さんは次のように説明します。

「ToDoリストは、これをやらなくてはいけないという発想で書くことが多い。そうすると息苦しさを感じてしまう人もいると思うんです。リストを作ったけど、実際にできていないから、自分を認めてあげられない。そうなると、ストレスがたまりますよね。でも、To Feelリストはポジティブな感情も、ネガティブな感情も含め、自分がどんな感情を味わったかを知ることが大事なこと。それを確認することで、今後に役立てることができるのです」


ハーバード大学の意思決定センター(Harvard Decision Science Lab)の研究によれば、人間にはポジティブ、ネガティブを合わせ、次のような12個の感情があるそうです。

<ポジティブな感情>
「幸せ」「誇り」「安心」「感謝」「希望」「驚き」

<ネガティブな感情>
「怒り」「イライラ」「悲しみ」「恥じ」「罪」「不安(恐怖)」

この12の感情を去年、どれだけ味わったのかを思い返してみましょう。あまり感じたことのない感情があったとすれば、今年はそれを味わうような行動を起こしてみることで人としての幅や深みを広げることができます。

例えば藤代さんの場合は「恥」を感じる機会が少なかったそうです。

「つまり、恥をかくような場所に行っていない。安心できる場所ばかりに身を置いて、チャレンジしていないなと気付かされました。ですので、いつも自分が行かない場所に行って、恥をかきたいなと思いました。人間として豊かになるためには、ポジティブだけでなく、ネガティブな感情も味わったほうがいいと思っているのです。ひとつの感情をシャットダウンすると他の感情も感じづらくなってしまう。怒ることを止めれば、喜ぶことや感謝の想いも減ってくるんです」

そうした感情の振り返りだけではなく、いろんな視点で1年を振り返ることが大事だと藤代さんは言います。

「サッカーのことはもちろん、学校のこと、社会とのつながり、お金の使い方、おじいちゃん、おばあちゃんとの関わり方など、様々なシーンを思い返しながら、自分自身の成長を感じられる振り返りができたらいいかなと思います」

 

成果だけでなく、成長の過程を評価する振り返りを

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(結果だけでなく、努力の内容など過程に目を向けましょう)

その際のポイントとして、親は聞くだけではなく、自分の体験談も話してあげること。

私はこうだったけど、あなたはどうだった? というように、一緒になって話すことで、子どもも積極的に、振り返りたくなるはずです」

もう一つ気を付けたいのは、結果だけを振り返るのではなく、成長の部分にも目を向けることです。

「これは、目標設定の部分にもつながるのですが、多くの人は結果ばかりを目標に設定し、成長の部分をあまり考えない傾向にあります。全国大会に勝ちたい、テストでいい点を取りたい、というのは結果であり、そのための努力や成長の部分を目標にはしませんよね。振り返りもそうで、勝った、負けたという結果にばかり目を向けがち。でも、それだけでは苦しくなってしまうし、欠点探しの反省会につながりやすくなってしまいます。でも、たとえ結果が出なくても、そこへ向けた努力する過程で、できることが増えた上達できた、ということは必ずあるはず。その成長の部分についての振り返りができると、次へのやる気と行動につながると思います」

そうやって1年を振り返ることで、新しい年に向けて、目標を立てやすくなると藤代さんは言います。

次回は、目標を立てる際に引き出したいポイントを、藤代さんに解説していただきます。

後編:目標=ノルマではない! 自信につながり、最高の結果を生み出す「目標の立て方」>>

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藤代圭一/スポーツメンタルコーチ
1984年、名古屋生まれ。東京都町田で育つ。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝を目指す様々な年代のチームから地域で1勝を目指すチームまでスポーツジャンルを問わずメンタルコーチを務める。全国各地でワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちが変わった」と高い評価を得ている。2016年からは「1人でも多くの子どもたち・選手が、その子らしく輝く世の中を目指して」というビジョンを掲げ、全国にインストラクターを養成している。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)などがある。

 

(取材・文:原山裕平)

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文:原山裕平

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