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考える力

「教科教育をせずに学力を上げ、スポーツ指導をせずに技能を高める」文武両道支援特化型アカデミーの "社会人基礎力"を養うユニークな取り組み

2017年9月 4日

キーワード:アクティブラーニングアンビスタ勉強國學院久我山文武両道

NPO法人スポーツカントリーアンビスタ(以下、アンビスタ)は「文武両道」を掲げるクラブで、男女サッカーのほかにヨガ、チアダンスに加え、『Academia Ambista(アカデミア アンビスタ)』という文武両道支援特化型アカデミーも運営しています。アンビスタの代表を務める石尾潤さんは中学時代からプロサッカー選手を目指していましたが、高校入学と同時に周りの選手とのレベル差を知り、夢を断念。
 
その後、「プロになれなかったけど、それを本気で目指していたプロセスにある人生で本当に大切な宝物を手に入れることができた。それをスポーツに励む次世代の子どもたちに伝えていく仕事がしたい」という想いで、NPO法人スポーツアンビスタを立ち上げました。
 
前回は、中学時代は無名のクラブに所属していた石尾さんが一般受験で國學院久我山へ入学し、サッカーと勉強両方で挫折を感じながらも大変な努力を積み重ね、高いレベルで文武両道を追い求めたお話を伺いました。今回は文武両道を支援する塾『アカデミア アンビスタ』のユニークな取り組みについてお話を伺いました。(取材・文:鈴木智之)
 
Ambista2_01.JPG
(アカデミア アンビスタの授業風景)
 

■「教科書の勉強を教えない塾」で教えている事

石尾さんは大学卒業後、学校法人に就職し、私立大学の教員兼職員として社会人生活をスタートさせます。そこでは大学の経営陣として入試広報・教務・就職の職務を幅広く担い、教員としては大学生にプレゼンテーションやレポートの書き方、キャリアデザインなどを教えていました。
 
「ファーストキャリアでは大学という教育機関を経営する仕組みを学びながら、高校生に大学の魅力を伝え、入学した学生にキャリア教育を施し、社会に送り出すところまでをフォローするという稀有な経験をさせていただきました」
 
石尾さんは当時の経験を活かし、NPO設立と同時にアカデミア・アンビスタを立ち上げ、文武両道に挑戦する中学生の指導、支援事業を開始します。そこでは『タイム・マネジメント(PDCS サイクルの実践)』や『モチベーション・マネジメント(目標設定及びチームビルディング)』の手法などグループワークを中心に学び、『社会人基礎力』を身につけていきます。
 
アカデミア・アンビスタでは、教科教育の勉強は教えません。近年、サッカークラブの活動の一環として勉強の時間を設け、学校の宿題や教科勉強をするところが増えてきました。しかし、アカデミア・アンビスタはそれをしません。石尾さんは理由を次のように説明します。
 
「2020年に行われる教育改革を見ても、いままでのように偏差値をベースに評価する時代から、何を学んだかといった学習歴や思考力、判断力が問われる時代になります。これまでは答えが用意されたものに対して、早く解くことが求められましたが、これからの時代は自分なりの答えを作り出し、行動を起こしていく力が求められます。どんな目的意識を持って取り組むか。自ら意味を作り出す力が大切なんです」
 

成長に必要な「PDCS」とは!? 能動的・主体的な参加が考える力とコミュニケーション能力を養う

石尾さんは自身の学生時代を振り返り、文武両道のために必要なものは2つあると言います。それが『適切な目標』と『モチベーション』です。
 
「適切な目標を掲げ、計画立てる。 モチベーションを維持し、実践する。振り返り、フィードバックを受ける。それぞれの取り組みを共有する。これらを素早く回すこと、つまりPDCS(Plan:企画、Do:実行、Check:チェック、Share:共有)サイクルを回すことで、人は成長していきます」
 
アカデミア・アンビスタでは、グループディスカッションやプレゼンテーションを通じて、子どもたちが能動的・主体的に講義に参加しています。そこでは「思考力・判断力・表現力・主体性・多様性・協働性を身につけ、自分の考えを言語化し、新しい価値を想像する」という考えのもと、授業が進められています。
 
取材日のテーマは「これまでの自分と、これからの自分についてプレゼンをする」というものでした。授業では前回までに学んだ「聞き方の3つの種類」「超社会人級ノートテイク術」「プレゼンに必要な三大要素」などを振り返り、石尾さんが質問をするたびに、中1から中3までの女の子15名が積極的に手を上げて回答し、教室は熱気に包まれていました。
 
ある女の子は「(アカデミア・アンビスタで授業を受けることで)性格が大きく変わった。相手としっかりコミュニケーションがとれるようになった」と成長を口にします。
 
一見、授業の内容はむずかしく、大学生が受けるような内容にも見えますが、石尾さんは「私が大学教員時代、就活生にキャリア教育として教えていたものを、少しかみ砕いて中学生に伝えています。でも、ご覧の通り、やれちゃうんです。中学生って驚くほど素直で、真っすぐなので、与えたものをこちらの期待以上に吸収してくれるんですよね」と笑顔を見せます。
 
次ページ:成長サイクルはサッカーも勉強も同じ!だから両立が可能

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文:鈴木智之

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