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次々と若きタレントを排出。W杯優勝候補のスペインが育成年代から取り組むトレーニングやサッカーの考え方

公開:2022年11月30日

FIFAワールドカップカタール2022、日本代表はグループEの2試合を終え、1勝1敗の2位。残すはスペイン戦のみとなった。日本代表とスペイン代表の因縁は浅からず、昨夏に行われた東京五輪では、準決勝で激突し、延長戦の末に敗戦。

女子は今年10月に行われた、U-17女子ワールドカップ準々決勝で、U-20女子ワールドカップでは決勝で敗れている。

国際大会で日本の壁となるスペインだが、育成年代から質の高い指導を行い、男女問わず、次々にタレントを生み出している。

今回のワールドカップのスター候補に挙げられるのが、FCバルセロナに所属するペドリ(19歳)とガビ(18歳)だ。ともに高い技術とインテリジェンスを武器に、新世代を牽引するタレントとして注目を集めている。

スペインにはほかにも、FCバルセロナ時代に久保建英とチームメイトだった、アンス・ファティやエリック・ガルシアなど、20代前半のタレントがひしめいている。

「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」では、スペイン人指導者やスペインでの指導経験を持つ日本人指導者など、多くの方に登場いただいている。今回はスペインの育成を通じ、スペインサッカーの源に触れることのできる、3人の指導者の動画を紹介したい。(文・鈴木智之)

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多数のプロ選手を指導したコーチが伝授するGKの育成理論

まずはGKのトレーニングから。FC東京や浦和レッズでGKコーチを歴任した、ジョアン・ミレッ氏は、30年を越えるGK指導の経験を持ち、多数のプロ選手を指導してきた。

そんなジョアン氏に「GK指導におけるトレーニング計画の立て方」を座学形式でレクチャーしてもらった。ジョアン氏は言う。

「"GKコーチ"と"GKを育成するコーチ"の違いについて、話をさせてください。私は自分のことを"GKを育成するコーチ"だと自負しています。ですが、昔は"GKコーチ"でした。"GKコーチ"はトレーニングメニューを遂行する人。"GKを育成するコーチ"はGKに『教える』ことができる人を指しています。そこが大きな違いです」

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ジョアン氏はトレーニング後、GKにする3つの質問があるという。それが「疲れた?」「怪我は?」そして「考えた?」である。

「もしトレーニング後にGKが『考えています』と言えば、それは素晴らしいトレーニングだったと言えるでしょう。指導者は、GK自身の考えを発展させ、何をトレーニングし、何をしたか、何が良くなったか、何のためになるかを促す必要があるからです」

豊富な経験に裏打ちされたジョアン氏の言葉には説得力がある。このシリーズは動画3本の大作になっており、世界トップレベルのGK指導者の考えを知ることのできる、貴重なコンテンツだ。

ジョアン・ミレッ氏の
GKの指導理論の詳細はこちら

スペインで実践されるパスワークとポジショニングを高めるトレーニング

続いては、スペインのマリアナオ・ポブレアカデミーで指導をしていた、吉田和史氏による「スペインで実践されているパスワークとポジショニングを高めるトレーニング」を紹介したい。

動画のテーマは方向づけのコントロールとマークを外す動き。スペイン語で「コントロール・オリエンタード」と「デスマルケ」と呼ばれる動きを身につけるため、止まった状態での対面パスから、前後の移動を加え、動きの中で正確にパス&コントロールができるようにしていく。

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動画後編では、実戦に近づけた「3対3+6フリーマン」を実施。グリッド内の選手は「デスマルケ」をしてパスを受け、フリーマンはコントロール・オリエンタードでプレスを受けないようにボールを運び、ポゼッションを継続する。

吉田氏のコーチングは「判断を伴ってプレーすること」にフォーカスしており、「なぜその動きをするのか」を問いかけ、選手たちを導いていく。動画には丁寧な説明が収録されているので、参考にしてほしい。

吉田和史氏の
トレーニングの詳細はこちら

日本とスペインの差はポジショニングの概念の違い

最後は「サッカーコーチのコーチ」として活動する、倉本和昌氏のセミナーをピックアップ。高校卒業後にスペインに渡り、アスレチック・ビルバオで育成の仕組みについて学ぶとともに、スペイン公認上級ライセンスを取得した倉本氏。

帰国後は湘南ベルマーレ南足柄、大宮アルディージャのアカデミーでコーチを務めるなど、日本の指導現場、子どもたちの特性をよく知る人物だ。

倉本氏によるセミナーのテーマは「12歳までに理解すべき、ポジショニングの概念」。同氏は「スペインと日本で指導をする中で、日本とヨーロッパのトップレベルとの違いは何かと考えた時に、ポジショニングの概念の理解と実践だと気づきました。日本サッカーもこの意識を持つことで、もっと発展すると思います」と提案する。

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「技術を発揮するためには『どこに立つか』『どのタイミングで動くか』『どの方向に動くか』『どのスピードで動くか』という、技術以外の部分も重要」と話し、どうして団子サッカーになってしまうのか? DF、MF、FWのポジションごとの動きの基準、指導者が理解すべきポジショニングのアプローチなどを論理的に伝えている。

ほかにも、ジュニア年代における「4ゴールゲーム」を導入するメリットなど、具体的なトレーニングについても解説。動画後編は50分に及ぶ大作となっており、U-9、U-12の指導における大切なことを、数多く学ぶことができる。

倉本和昌氏の
ポジショニングの概念の詳細はこちら

ジュニア年代のみならず、ポジショニングの基準や原則、サッカーの原理原則を知りたい指導者にとって、必見の映像と言えるだろう。ぜひ、ワールドカップで高まったサッカー熱を活かし、新たな知識の習得につなげていただければと思う。

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