1. サカイク
  2. コラム
  3. テクニック
  4. サッカーの試合中の9割はボールに触っていない/U-12年代までに理解しておくべきポジショニングの概念

テクニック

サッカーの試合中の9割はボールに触っていない/U-12年代までに理解しておくべきポジショニングの概念

公開:2020年7月31日 更新:2021年7月 9日

キーワード:ジュニアスペインポジショニング立ち位置

昨今「ポジショナルプレー」という概念が広く認知されているが、ジュニア年代では、その前提となる「ポジショニングの概念」を理解しておきたいところである。そこで今回は、サッカーコーチのコーチとして活動中の倉本和昌氏に「12歳までに理解すべき、ポジショニングの概念」というテーマで講演してもらった。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年10月15日掲載記事より転載)

この内容を動画で詳しく見るには
こちらから会員登録!

kuramoto01_01.png

次回の記事を読む >>

技術を発揮するために必要なのは「どこに立つか」を理解しておくこと

前編のテーマは「ポジショニングの重要性と定義の理解」。高校卒業後にスペインに渡り、アスレチック・ビルバオで育成の仕組みについて学ぶとともに、スペイン公認上級ライセンスを取得した倉本氏。帰国後は湘南ベルマーレ南足柄、大宮アルディージャのアカデミーでコーチを務めるなど、日本の指導現場、子どもたちの特性をよく知る人物でもある。

倉本氏は今回のテーマ設定について、次のように語る。

「スペインと日本で指導をする中で、日本とヨーロッパのトップレベルとの違いは何かと考えた時に、ポジショニングの概念の理解と実践だと気づきました。日本サッカーもこの意識を持つことで、もっと発展すると思います」

kuramoto01_02.png

ジュニアの指導でよく聞かれるのが「小学生のうちは、ポジショニングを学ぶことよりも、技術を身につけることの方が大事なのではないか?」という意見だ。これについて倉本氏は「サッカーの試合中、9割はボールに触っていない時間です。この時間に何を考えて、どの位置に立てばいいのかを知っておくことは、技術をより良く発揮することにつながります。ポジショニングを知っておくことで、ボールを持ったときに得するんです」と語る。

「技術を発揮するためには『どこに立つか』『どのタイミングで動くか』『どの方向に動くか』『どのスピードで動くか』という、技術以外の部分も重要です。この部分が高いレベルにある選手は、スピードや身体能力がそこまでなくても、自分が優位な状況でプレーすることができます。なぜならば、サッカーは全員が同じ位置からヨーイドンでプレーするスポーツではなく、フライングすることができるからです」

kuramoto01_03.png

さらに、こう続ける。

「FCバルセロナでフィジカルコーチとして長く活動したパコ・セイルーロが、2000年頃の講習会で『バルサで一番速い選手は誰ですか?』と受講者に聞いたことがありました。そこではセルジやフィーゴなどの答えが返ってきたのですが、セイルーロはこう答えました。グアルディオラだよと。『彼は状況を予測し、判断し、決断するスピードが速く、物理的なスピードをはるかに凌ぐ頭の良さとポジショニングを備えていた』と。つまり、単純なプレーのスピードは、身体的な速さだけでは決まらないのです」

試合でのスタートの立ち位置はコーチが教えてあげなければいけない

ここからは、ポジションの概念について話が進んでいく。倉本氏は「ポジションとは、選手の判断を縛るものではなく、ここにいてほしいという基準、目安になるもの」と定義する。

「日本の子たちは、野球でバッターが打った場合、右方向に進みます。それはイメージとして知っているからです。しかし、スペインの子は知らないので、左方向に進む子が出てきます。これは日本とスペインの野球文化の積み重ねの違いです。スペインの子に、『シャビのようにプレーしてね』と言うと、人と人の間に入って、首を振りながら、相手の背中を取ろうとするプレーをするでしょう。しかし、日本の子に『シャビのようにプレーしてね』と言っても、よくわからない子が多いと思います。それはイメージとしての積み重ねが少ないからです」

kuramoto01_04.png

一方で、日本の子どもたちに「イチローのようなバッティングをしてみて」というと、なんとなくそれっぽい動作をするだろう。それが、歴史や文化の積み重ねから来る、「イメージの土台の違い」だ。

「どこに立てばいいか、というポジショニングのイメージが沸かない子どもたちには、大人(コーチ)の協力が必要です。『自由な発想でプレーしなさい』というだけでは、限界があります。立つ場所については『ここから出てはいけない』ではなく、『まず自分が守る、攻撃する位置に行ってね』と、スタートの場所は教えてあげる必要があります。スタート位置からどんなプレーをするかは、選手の自由なのです。その位置から何をしなければいけないのかは選手が決めることであって、コーチが決めることではありません。ただしチームの一員として、どの位置からスタートとするのかは、コーチが教えてあげなければいけないのです」

spot_shiuya-thumb-600xauto-23951.jpg

動画では、日本になじみのある野球とサッカーの考え方の違いから来るポジショニングの考え方や、育成年代で教えるべきポジショニングの概念。偽サイドバックや5レーン理論へつなげていく上での、育成年代の考え方。具体的なポジショニングの定義。どうして団子サッカーになってしまうのか? DF、MF、FWのポジションごとの動きの基準。指導者が理解すべきポジショニングのアプローチなどが、論理建てて伝えられている。

指導に悩む人や、選手をレベルアップさせるヒントがほしいコーチにとって、非常に有意義な情報が詰まっているので、ぜひ動画で全容を確認してほしい。

次回の記事を読む >>

この内容を動画で詳しく見るには
こちらから会員登録!

【講師】倉本和昌/
サッカーコーチ専門コーチ。高校卒業後、スペインのバルセロナに留学。アスレチック・ビルバオにて育成の仕組みについて学び、スペイン公認上級ライセンスを日本人最年少で取得。帰国後は湘南ベルマーレ南足柄、大宮アルディージャのアカデミーでコーチを務め、2018年よりサッカー専門コーチとして独立。Jクラブ、大学、高校、町クラブ、幼児など様々なカテゴリーのコーチをサポートしている。

倉本氏の詳しいプロフィールはこちら >>

1

サカイク公式LINE
\\友だち募集中//

子どもを伸ばす親の心得を配信中!
大事な情報を見逃さずにチェック!

友だち追加
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガ
文/鈴木智之

募集中サカイクイベント

サカイクイベント一覧

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ

テクニックコンテンツ一覧へ(452件)

コメント

  1. サカイク
  2. コラム
  3. テクニック
  4. サッカーの試合中の9割はボールに触っていない/U-12年代までに理解しておくべきポジショニングの概念