テクニック

2021年5月20日

技術に自信がない子も上手くなる!ドイツ人コーチに聞く「ドリブル指導」で最も大事なポイント

ブンデスリーガの名門1.FCケルンでU8-U14統括部長を務め、ケルン体育大学やドイツサッカー協会で指導者養成をしてきたクラウス・パプストさんに、U10年代で身に付けておくべき技術と、その指導法について話を聞きました。今回のテーマは「ドリブル」です。(取材・文:中野吉之伴、協力:ファンルーツ)

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■ドリブルする時、ボールはどこに置く?

ドリブルで大事なポイントはなんでしょう?ボールタッチの柔らかさ?ボールに触れる回数?幾多のフェイント?

クラウスさんは次の2点をポイントとして挙げていました。

「ドリブルに関して指導者が気をつけてみるべき点はボールを体の前に置くということ、そしてファーストタッチ。ドリブルというと自分の足の間にボールを置く選手も多いけど、ただそれだと次の動きに移行しづらいし、いい守備をする相手には通用しない。

体の前に置くことで前に運びやすくなるし、積極的にドリブルへと入っていくことができる。そうした向かってくるドリブルに対して相手選手は『突破されるかも』というプレッシャーを抱くんだ。

そしてドリブルにおいてものすごく大事なのはファーストタッチだ。ドリブルに入る最初のタッチがうまくいかなかったら難しくなる。ターンなどの方向転換もそうだ。ファーストタッチをどこに置くかが決定打になる。

■フェイントより大事なファーストタッチ

よくあるミスはそのファーストタッチを横に出してしまうというものだ。横に出たボールに対して相手選手はスライドすればいいだけだから対応しやすい。だから相手選手を突破するためには相手の斜め前にボールを運んでいくことが大事だし、そうした状況を作るためにどうしたらいいかを考えるのがドリブルでは大切だ」

フェイントとの関連性で考えても、この点は気をつけなければならないでしょう。フェイントそのものはうまい子どもはたくさんいます。でもフェイントそのものより大事なのはフェイント後のファーストタッチなんですね。

シザースでどれだけ早くボールをまたぐことができても、ダブルタッチで素早くボールを動かしても、そのあとのファーストタッチが下手だったら、簡単にボールを奪われてしまう。

相手をずらした後にボールをどこに置くかで突破できるか、交わしきれるかの分かれ目になるわけです。つまりどこのスペースにボールをおいて、どのように体を運んで、そしてそこから次のアクションにどうつなげて、というのがないとフェイントというのは意味をなさないんです。

■ドリブルは対人トレーニングで上手くする

では、ドリブルはどのようにトレーニングしたらいいのでしょうか。大事なのはやはり対人形式のようです。いろんな形で1対1の練習を取り入れてチャレンジしていきましょう。コーチングポイントとしては、例えば相手選手が寄せてきたらすぐに背中を向けてしまう選手がいますよね。パプストさんはそうした時にストップをかけるといいます。

「もちろんそうやってボールをキープすべき状況は試合の中にある。でもオープンな1対1の状況では勇敢にプレーしてほしいというのを伝える。そこでチャレンジできなかったら、どこでチャレンジができるんだ?ミスをするのは構わない。サッカーだからね。でもそこから逃げるようなことはあってほしくない。

1対1のほかにオフェンス1人対ディフェンス2人というトレーニングもよくやるんだ。ドリブルには確かな勇敢さが必要だからだ。でも1対2だとすぐにボールを取られて終わりになってしまうから、2対2とセットでやるのがいいと思う。1対2でチャレンジして時間制限かボールロストをしたらもう一人のオフェンスがボールと一緒にピッチに入って2対2。2度目のチャレンジがあるとわかっていたら、ボールロストを怖がらずにチャレンジしようという気持ちになるよ」

確かにドリブルで勇敢にチャレンジというのは大切ですよね。でもまだ経験が乏しかったり、ボールコントロールがおぼつかなかったり、自分に自信がなかったりする子もいます。そうしたときにはどうしたらいいのでしょうか?

■まだ技術に自信がない子どもの指導法とは?

「個々のレベルをチェックして考慮していくことが大切だ。1対1でトレーニングをするなら同じくらいのレベルで調整することが望ましい。明らかにうまい子と明らかにまだの子がやっても、やる前から結果は見えてしまうよね。子どもたちにとって大事なのは勝てる経験と負ける経験だ。どちらかだけではダメなんだ。

そして攻撃が優位になるようなルールやオーガナイズを考えることも必要だ。例えばオフェンスは2つのゴールを狙えるようにする。

というふうにしたり、DFはライン上しか動けないというふうにしたり、あるいはセカンドチャンスを与えたり。ディフェンス側はどちらも守らなきゃいけないから難しい。方向変換やフェイントを決めやすいし、シンプルな形で状況判断を伴うトレーニングにもなる。

あと、本当に始めたばかりの子だとしたら、私が一緒にプレーする。後ろについていて彼がとられたら私が取り返して彼にパスをする。周りの子は文句を言うよ。『ずるい!フェアじゃない!』って。ずるいはずるい。でも明らかに実力差がある中で何の助けもないことのほうがずるいことじゃないかという話をするんだ」

できないからやらないではなくて、できない中でできるやり方を模索するというのが求められるというわけですね。前述の練習例でいえば、足でボールを扱うのが難しい子ならまずは手でボールをもって二つあるコーンゴールのうちどちらかにトライするという形で入っていくのもあり。

ドリブルはボールを扱う技術というだけではなく、いつどのタイミングでどこからどこへなぜ運ぶのかという認知とゲーム理解がセットされた形で、それぞれの成長段階に合わせてトレーニングすることが、試合に生きるスキルとなるために欠かせない視点なのです。

COACH UNITED ACADEMYでは、ここで紹介したクラウスさんの指導法を動画で詳しく配信中です。ぜひそちらも参考にしてみてください。

この指導法を動画で詳しく見る

●U10年代のサッカーで身に付けておきたいのは「ゲームにおける振る舞い方」>>

【講師】クラウス・パブスト/
ドイツの名門「1.FCケルン」でユースコーチや育成部長を務め、ポドルスキなど多くのブンデスリーガを輩出。ケルンで最初となるサッカースクール「1.Jugend-Fusball-Schule Koln」を創設し、サッカー指導者養成機関としても知られる国立ドイツ体育大学ケルンで講師を務めるなどドイツサッカー育成の第一人者である。 日本へは何度も訪れており、指導者講習会や選手へのクリニックを開催。日本サッカーの育成にも造詣が深い。

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