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テクニック

自陣中央にボールを入れさせないためのポジショニング/富山第一高校のバイタルエリアを攻略するトレーニング

公開:2020年12月29日

キーワード:バイタルエリア富山第一高校

COACH UNITED ACADEMYでは、全国大会の常連校・富山第一高校の大塚一朗監督が重要視する14ゾーンの考えを下にした「バイタルエリアを攻略するトレーニング」の指導を公開中だ。後編では「バイタルエリアを守るブロック守備」を身につけるトレーニングを紹介する。(文・森田将義)

(※COACH UNITED 2020年3月16日掲載記事より転載)

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常に相手のパスコースを消し続けながらプレッシャーをかける

まずウォーミングアップとして行うのが、「横パス→1対1」。前編で紹介した1対1ではDF役からボールがスタートするルールだったが、今回はグリッドの横に位置するフリーマン役の選手からスタートする形に変わる。

パスを受けた攻撃の選手が守備の選手をドリブルでかわすか、パスを出した選手に戻せば勝利。守備の選手は、ボールを奪えば勝利というルールで行う。守備の選手はパスコースを切りながら、攻撃の選手に素早く寄せてプレッシャーをかけるのが原則だ。

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ボールを奪取することに気を取られ過ぎるとパスでかわされるリスクが出てくるため、常に相手のパスコースを消し続けながらプレーするのを忘れてはいけない。同時に相手が後ろ向きになったら、ボールを奪うチャンスであるためプレッシャーを強めるのも重要になる。

FW1人とボランチの3人で14ゾーンの前に三角形のブロックを作る

続いて行うのはブロック守備を身につけるための「ハーフコートゲーム(ブロック)」。グループ戦術を身に付けるには「場面を切り取った練習ではなく、ゲーム形式でなければ選手がどんな場面か理解できず、意味がない。なるべく試合に近い状況でトレーニングをして、落とし込むのがベスト」と大塚監督は口にする。ピッチ全体を見渡して、与えられたテーマの中で自分が何をすべきか理解できるのが理想と言えるだろう。

「ハーフコートゲーム(ブロック)」で守備を行うチームは、富山第一が採用する5-3-2のシステムでプレーし、GKとゴールを配置。4-4-2のシステムでプレーする攻撃のチームに14ゾーンにボールを入れさせない守備を続け、ボールを奪ったら攻撃側のチームの背後にあるライン突破を目指す。

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練習を参考にする際は、マーカーで14ゾーンを示しながら行うと選手のイメージが湧きやすいかもしれない。

ポイントになるのは、14ゾーンの前にFWとボランチの3人で三角形を作り、相手FWやボランチにボール入れさせないことだ。ファーストディフェンス役を担うもう一人のFWは、ボールを奪いとるのではなく、コースを限定してブロックの外側でボールを回させるのが第一目標。相手にボールを持たせている間も、三角形を常に保ち、14ゾーンにボールが入った瞬間にインターセプトを狙う。そのためには、ボールの動きを追うのではなく、14ゾーンにいる選手をチェックし続けなければいけない。

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ボールが移動している間は、パスを受けそうな選手がいるか確認しながらポジションを微調整。相手がパスを受けたタイミングでは、むやみに動かず一旦停止してボールを奪う準備をする。相手が受けた瞬間に守備の選手が動いていれば、パスを出しやすいため、一度止まるのが重要で、ボールを奪う際は足元から離れた瞬間を狙うのがコツだ。

CBの3人は、相手の2トップに自由を与えないためにも、選手同士で声を掛けながら常に状況を把握し続ける。WBは相手のサイドハーフへの対応が与えられた役割で、縦に突破をさせないポジションをとりながら、中央への侵入も警戒し続ける。

ボールを奪ってから攻撃に切り替わる時のことも意識しておく

ただ守備をして終わりではなく、ラインゴールを狙うためにはボールを奪ってからのイメージも持たなければいけない。ボランチが14ゾーンの前でボールを奪うと、2トップの1人はCBの間に素早く飛び出し、クサビを入れられるパスコースを作る。もう1人のFWはサイドに開いて、スペースでボールを受ける準備をする。

パスの出し手であるボランチの1人を含めた3人でカウンターを狙う意識が重要だが、左右両方のウイングバックも素早く攻撃に切り替え、サポート体制を作ることも忘れてはいけない。相手DFを寄せてパスコースを作るために、ボランチが自由に持てるスペースがあれば、ドリブルで中央を仕掛けるのも有効だ。

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カウンターが失敗した場合は、守備への素早い切り替えが重要になる。逆襲を受けないためには、相手の攻撃を遅らせる必要があるが、これまで同様にブロックを敷いていては自由を与えてしまうため、ベストなプレーとは言えない。

ボールの近くにいる選手が素早くボールホルダーの前に立つことで前方向へのパスコースとドリブルのスペースを消し、横パスをさせて、周りの選手が守備に戻る時間を作るのが理想的な守備だ。

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大塚監督のコーチングなど詳しいトレーニングの様子は、ぜひ動画でチェックして欲しい。守備の強度アップに役立つためのヒントがあるはずだ。

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【講師】大塚一朗/
現役引退後、1989年に渡英し、イングランドのインターナショナルライセンス(18歳以下のチームの指揮が可能)を取得し、帰国後はアローズ北陸の監督を務め、2004年にUEFA公認A級コーチライセンスを取得。2005年には、アルビレックス新潟シンガポール監督に就任、2年間チームを率いる。2008年に富山第一高校サッカー部コーチに就任すると、2012年より監督を務める。2014年には、第92回全国高等学校サッカー選手権大会にて同校および富山県勢初の優勝を果たした。また、2018年にはAFC proライセンスを取得している。

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