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キックの指導で一番始めに教えるべき蹴り方とは?/旧ユーゴスラビアの技術指導による強く正確なキックの習得方法

公開:2020年6月19日 更新:2021年4月26日

キーワード:アウトフロントインサイドキックインステップキックインフロントキック

正しいキックを身につけるためには、どのような指導が有効なのだろうか?今回、その疑問に答えてくれるのが『UEFA PRO Coaching Diploma(ヨーロッパサッカー連盟公認プロコーチライセンス)』保持者の濵吉正則氏だ。

スロヴェニアで指導者ライセンスを取得後、SVホルンではトップチームの監督を務めるなど、欧州での指導経験が豊富な濵吉氏。COACH UNITED ACADEMY動画では「旧ユーゴスラビアの技術指導に基づいた、強くて正確なキックの習得方法」と題し、論理とトレーニング実演の両方を余すことなく教えてもらった。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年11月11日掲載記事より転載)

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<目次>

1.一番始めに指導するべきキックの種類は「インステップキック」
2.軸足を「ボールの後ろ」に置くとボールの中心を捉えることができる【動画】

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一番始めに指導するべきキックの種類は「インステップキック」

多くの人にとって、キック練習の最初の一歩は「インサイドキック」になるだろう。濱吉氏も「私が子どもの頃はインサイドキックからインステップキック、アウトフロントキック、インフロントキックという順番で学びました」と語り、こう続ける。

「しかし今回提唱するのは、インステップキック、アウトフロントキック、インフロントキック、そして最後にインサイドキックの順にトレーニングをすることです」

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旧ユーゴスラビアのキック練習のメソッドは、インサイドキックからではなく、インステップキックから始まるという。理由は「足を外側に開いて蹴るインサイドキックの動作は、サッカーを始めたばかりの7、8歳には難しい動き」(濵吉氏)だからである。

「インステップキックは、走るときの足の運びに近い動作なので、7、8歳の子どもたちでも、違和感なく足を動かすことができます」

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たしかに、言われてみればそのとおりである。インサイドキックの正しい蹴り方とされている「股関節を開いて、足の面を作って押し出す」という動きは、日常生活ではほとんどしない。体のバランスも崩れやすく、スムーズに足を振るのは難しい。

一方で、インステップキックと走る動きは似ており、サッカーボールを初めて蹴る小さな子どもを見ていると、走る動作の延長線上であるトーキック(つま先)かインステップキックで蹴っている場合が大半だ。

「旧ユーゴスラビアのキック練習はインステップ、アウトフロント、インフロント、インサイドキックという順番で進めていきます。なぜ2つ目がアウトフロントなのかというと、インステップキックの変形だからです。インステップの足の振りで、親指を内側に向けると、アウトフロントの動作になります」

3つ目のインフロントは、インステップの足の振りに近い動作で、蹴り足のつま先を少し外側に向けてスイングし、ボールを足の親指の付け根あたりに当てる蹴り方だ。

「インフロントキックは、インステップの蹴り方で足の内側に当てます。そこから足を外側に開くと、インサイドキックになります。このように、スムーズにできる動作から入り、段階的に指導することで、正しいキック動作を身につけやすく、ケガをしにくくなるメリットもあります」

軸足を「ボールの後ろ」に置くとボールの中心を捉えることができる

キック練習の順番を紹介したところで、具体的な蹴り方、ボールへの足の当て方の実演を行っていく。まずはインステップキックから。

「日本ではすべてのキック動作の場合、『ボールの真横に立ち足を踏み込む』という指導をしていますが、インステップキックでボールの真横に踏み込むと、振り下ろした足がボールの中心に当たりづらくなります。そうではなく、立ち足をボールのやや後ろに置くことによって、足を振った時にボールの中心を叩くことができます」

ボールのどこに立ち足を置くか。キックではこれが非常に重要だ。

「アウトサイドやインフロントで蹴る時も、ボールの後ろまたはやや後ろに立ち足を置くことで、無駄な力を入れなくてもミートすることができます。人によって足の長さやサイズが違うので、ボールと立ち足の位置が離れている方が、蹴りやすい選手もいると思います。そこは個人差なので、練習で繰り返して、自分にとって一番良い蹴り方を身につけましょう」

インサイドキックについては「立ち足がボールの真横にあっても良いかもしれませんが、少し後ろに踏み込んだ方が、足の内側の正面で当てやすいと思います」と補足する。

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さらに動画では、ボールを蹴る際に、「踏み込むのではなく、かかとを浮かす」ことの重要性を解説。走るスピードを落とさず、スムーズにキックするための「かかと浮かし」やグラウンダーのボールを蹴るときの、膝下の振りを使った蹴り方。腕を振り上げてバランスを取ること。強いボールの蹴り方など、キック動作を分解して詳しく説明している。

「キックの動作が無意識に出来るようになるまでに、約1万回繰り返す必要があると言われます。その為様々な形で何度も繰り返しトレーニングすることが大切になります」

「サッカーボールは32個の面でできています。旧ユーゴスラビアの格言に『サッカー選手は、32面をすべて知らなければいけない』というものがあります。32面のどこをどのように蹴ればカーブがかかるのか、まっすぐ飛ぶのか、浮き球を蹴ることができるのかという違いを知らなければいけません」

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動画ではボールのどこを蹴れば、どのような質のボールが飛んでいくかを解説するとともに、練習メニューも実演している。キックの基礎からトレーニング方法までを網羅的に理解できる内容になっているので、ぜひ動画で確認して練習に取り入れてほしい。これまで感覚で指導していたものから、論理的にキックを指導することができるようになるはずだ。

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【講師】濵吉正則/
九州産業大学サッカー部監督。UEFA PRO Coaching Diploma(ヨーロッパサッカー連盟公認プロコーチライセンス)。スロベニアサッカー協会公認 プロコーチライセンス。中学・高等学校1種 保健体育教諭免許。スロベニアでコーチングライセンスを取得し、柏レイソルU18監督、名古屋グランパストップチームコーチ、U15監督、徳島ヴォルティスユース監督、トップチームコーチ、ギラヴァンツ北九州コーチ、大宮アルディージャテクニカルアシスタント、監督通訳などを経て、2016年にSVホルン(オーストリア・ブンデンスリーグ2部)の監督に就任。その後、ホルンの育成センター・アカデミーアドバイザーを経て、2018年より現職。

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文/鈴木智之

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