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GKの1対1における「正しいセービングと飛び出し」 /FC東京U-18のGK実践トレーニング

公開:2019年10月24日

キーワード:1対1GKセービング

GKに対して、どのようなトレーニングをすればいいのか?これは多くの指導者が持つ悩みではないだろうか。COACH UNITED ACADEMYでは、6月の動画講義に続き、FC東京U-18の山下渉太コーチに登場してもらった。今回のテーマは「1対1における、正しいプレー選択と動きの習得」。GKコーチが不在のクラブや、GK指導の知識をお持ちでない方でも、すぐに実践できるトレーニングの様子を紹介したい。(文:鈴木智之)

(※COACH UNITED 2018年10月9日掲載記事より転載)

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■腕に力を入れ、手の平を確実にボールの後ろへ持っていく

試合の中で、「GKと1対1」の状況は幾度となくやってくる。そこでゴールを許すのか、それとも守るのかで、試合の展開や結果は大きく変わる。今回のトレーニングでは、「GKがボール保持者とゴール前で1対1の状況になったとき、どのような体の動かし方で、どうセーブすれば良いのか」を、段階を経て身につけていく練習メニューを実践してもらった。

トレーニングの最初は「手で弾くセービング、ブロックセービングを含めたウォーミングアップ」から。まずGKとコーチが2mほどの距離で向かい合い、GKは膝立ちの状態でスタンバイする。コーチはGKの左右、肩から下をめがけてボールを投げる。

細かな動作の紹介はCOACH UNITED ACADEMYに譲るが、ここでのポイントは、ボールに対して中心をとらえるように手を出し、キャッチすること。そして、手を伸ばす方向と同じ方へ足を伸ばすこと。左右両方の手で同じ回数実施し、慣れてきたらサッカーボールからテニスボールに変えて、より正確な動きにフォーカスしていく。 ウォーミングアップを終えたら、セービングのトレーニングへと移行していく。まずは「片手で弾くセービング」から。GKが膝立ちの状態で構え、コーチが3mほど離れたところからキックをする。このとき、あらかじめ蹴る方向を伝えておき、強いボールを蹴る。

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ここでも山下コーチは「手をボールの後ろに、確実に持っていくこと」を要求。手の出し方が悪いと、せっかく当てたのにゴールに入ってしまったり、中途半端な場所にこぼれて、セカンドボールをシュートされてしまうからだ。

至近距離から速いシュートを打たれるので、ボールに対して最短距離、つまり直線的な手の出し方がポイントになる。そして、手を下に置いた状態で、下から上へと腕を振り上げて、ボールの中心をとらえていく。このとき、腕に力がないと、当たったボールが遠くへ飛んでいかないので、力を入れて硬い状態を作っておくことの重要性が伝えられていた。

■足でのセービングは、骨盤の位置が重要になる

続いては「立って構えた状態で、手で弾くセービング」。コーチとの位置関係は変わらず、GKは立った状態で、腰から上に飛んでくる速いボールをセービングする。山下コーチは「ゴールの外に弾こう。当たる場所をコントロールすれば、弾く場所もコントロールできる」とアドバイス。さらには、サッカーボールからテニスボールに変え、重さやスピードが違うボールに対応することで、反応のスピードを高めていく。

ここからは「足でのセービング、ブロッキング」にもトライ。GKは両膝立ちの状態で、コーチが5m離れたところから、グラウンダーのボールを蹴る。(方向は事前に指定し、同方向のみ)。GKはそのボールに対して、足で止める。

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山下コーチが言及したのが、骨盤の位置だ。足をすばやく前に出す動きが求められるので、骨盤が後傾すると、その分、動きが遅くなってしまう。さらに、すばやく移動するために「体の重心を移動させて足を出す」ことに対してもコーチング。これもすばやく足を出すために必要な動作だ。

足でのセービングについて、山下コーチは「取り入れるのは13歳以降が望ましいですが、12歳以下でも、手でボールを扱うこと、体をしっかりと運ぶこと、ボールを体の中心で処理することの重要性がわかっていれば、導入しても良いと思います」と考えを示す。

■恐怖心を持たず、勇気を出して前に飛び出す

その後のトレーニングでは、シュートに対して全身を使って止める「ブロッキング」、ボールにアタックしながらブロックする「スターセーブ」など、GK特有のダイナミックなプレーの動きに取り組んでいく。

山下コーチは「GKにとって至近距離のシュートは怖いもの。恐怖心を取り除きながら、怪我に注意して進めていきましょう」と説明し、まずは柔らかいカラーボールを使って、痛みを感じない状態で動きを確認していく。

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「恐怖心から、ボールに対して顔を背けたり、体を引いてしまうと失点につながります。ボールが当たると痛いので、体に力を入れて、自分の前でプレーするようにしましょう。顔で守るぐらいの気持ちで、勇気を持ってプレーすることがポイントです」

さらにトレーニングは、足元の速いボールに対して、体を倒してセーブする「コラプシング」や、前方にあるボールに対してすばやく飛びつく「フロントダイビング」へと発展していく。技術の発揮以外にも「キーパー!」と声を出して、周りに意思表示をすることの重要性や、イメージする動きが出るように、トレーニングの設定を微調整して実戦に近づけていくオーガナイズなど、プレーの実行以外の部分も参考になるだろう。

FC東京U-18で実施する、バリエーション豊かなGKトレーニングの全容は、COACH UNITED ACADEMYで配信中。GKコーチだけでなく、フィールドのコーチもぜひご覧いただき、日々のトレーニングに活用していただければと思う。

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【講師】山下渉太/
1987年、千葉県出身。FC東京U-18 GKコーチ。JFA公認B級、JFA公認GK A級ライセンス所持。東京学芸大ではキャプテンを務めた後、早稲田大学でGKコーチとしてのキャリアをスタート。2011年にFC東京U-15GKコーチとして加入。12年からは、U-15深川GKコーチ専任、16年途中からトップチームGKコーチを担当。17年よりU-18GKコーチとして、選手育成に力を注ぐ。

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文:鈴木智之

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