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中村憲剛選手に何も言わず、見守り続けた子育て

公開:2013年8月 7日 更新:2015年5月19日

キーワード:コミュニケーション全日本少年サッカー大会川崎フロンターレ親子

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(C)KAWASAKI FRONTALE
 
昨日に続き、子どもの頃の中村憲剛選手との接し方についてご両親から伺ったお話をお届けします。中村憲剛選手は高校2年になるまで、体が小さく、クラスではいつも一番前。サッカーでも小学生時代に全国大会に出場しているものの、中学では挫折も経験しています。ご両親の憲英さんとタカ子さんは、プロサッカー選手はもとより、日本代表に選ばれるような選手になれるとは思っていなかったそうです。
 
 
<<中村憲剛選手を育んだ「信じて見守る」家族愛とは
 
 

■子どものあらゆる可能性を信じる

サッカーをはじめたのは、小学1年から。「好きなことが見つかるまで、何かができればいいな」と考えたお母様のタカ子さんが、幼稚園のお母さん友達と相談して、一緒に通い始めたのが、府ロクサッカークラブでした。始めてみると、すごく楽しそうだったので続けられそうだなと思っていたそうです。ところが、小学2年の時に一度サッカーを辞めてしまいます。
 
せっかく入ったクラブ。親であれば「続けて欲しい」と思い、辞めないように留意するところですが、中村家では「何も言わずに見守っていた」そうです。ではなぜ、見守ることができたのでしょう。「彼がサッカーを好きなのはわかっていたので、たぶん戻るだろうなと。漠然とですが、そう思っていました」とお母様のタカ子さん。好きだと思えばなおさら「やろう!」「続けよう」と背中を押してあげたくなりますが、ご両親はただ見守っていました。結果、サッカーをしない日々がつまらなくなり、すぐにクラブに復帰しました。日々のこんな積み重ねが自主性を身につける秘訣なのでしょう。
 
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府ロクサッカークラブでは、5年生ながら6年生の試合に出るなど、大活躍。5年生の時には全国大会に出場し“サッカー絶頂期”でした。が、中学に入り、この年に出来た府ロクサッカークラブのジュニアユースに進むと、挫折を味わうことになります。チームは中村選手たちが一期生で、先輩たちがいなかったこともあり、試合に出ても負けてばかり。そんな環境がイヤで、クラブを辞めてサッカーをしない日々を過ごします。
 
この時も「どうするのかなと見ていただけでした」とお母様のタカ子さん。この大らかというか、子どもを尊重する姿に脱帽します。
中村憲剛選手は後に「この時ガミガミ言われていたら、反発していたと思う」と話していたそうです。それがきっかけでサッカーを辞め、別の道に進んでいたら、今の中村憲剛選手はいないと思うと、ご両親の対応に関心するばかりです。
 
「憲剛がサッカーを辞めたいと言ったら、辞めていいよと言っていたし、その後何をするかは自分で探させたでしょうね」とお父様の憲英さん。
子どもの可能性を信じて、子どもが自分の力で進みたい道を見つけられるようにサポートをする。文字にするととても簡単に思えることが、親にとって一番難しい部分であり、やらなければならないことなのだと、痛感します。
 
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■父子のコミュニケーションはお風呂で

仕事が忙しくても、休日には中村選手の試合は極力家族で見に行かれていました。プレイについて厳しく言っていたのは、なんとお姉様方。お二人ともソフトボールとバスケットボールをやっていて、チームプレイにはとにかく厳しかったようです。ご両親に言われたら反発したくなることも、お姉様方が代弁していたことで素直に聞き入れられる。家族間のコミュニケーションとして良かったと思うとお父様の憲英さんも話されます。
 
試合のあった夜はお父様と中村選手は一緒にお風呂に入るのが習慣でした。「お風呂に一緒に入ってプレイについて話をしましたね。あそこが良かった、いいシュートだったとか。で、それと同時に、あのパスじゃあ受ける方も受け取れないよというダメ出しも」。子どもは褒められるとうれしいし、これでいいんだという納得感が得られます。だから、まず褒める。直してほしいことがあれば、そのあとに話すと子どもも受け入れやすくなります。
 
親子二人だけで、ゆっくりと話ができるお風呂タイム。ぜひ、お父様方にはマネして欲しいことですね。子どもたちも年齢が上がるにつれ、親とのコミュニケーションを避けるようになります。お父様の憲英さんも「サッカーという共通語があったのが良かった」と話されていました。母親が一緒にお風呂に入れるのは、低学年までかもしれませんが、食卓でも「良かったね」という楽しい話は盛り上がれます。日々、忙しいとは思いますが、時間を作って子どもの試合の応援に出かけていきたいですよね。
 
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最後にご両親より、中村憲剛選手のようなプロサッカー選手を夢見るお子さんを持つ親御さんへのアドバイスをいただきました。
 
「今の親は子どもにこうなって欲しいという、枠を作っているように思います。親が子どもの将来を決めてどうするのでしょう。憲剛はたまたまサッカーに出会い、大好きになり今に至っていますが、サッカーを辞めたいと言っていたら、辞めさせていました。子どもには360度様々な可能性があります。ぜひ子どもの可能性を信じてあげてほしいと思います。サッカーを続けて欲しいなら、とにかくサッカーを好きにしてあげてください。好きという気持ちが、続ける・努力することに繋がっています」
 
<<中村憲剛選手を育んだ「信じて見守る」家族愛とは
 

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取材・文/kilohana 前田陽子 取材協力・写真提供/ケン・プランニング、川崎フロンターレ

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