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サッカー豆知識

【第5回】「知ってます?世界のサッカー常識」- 国によって異なる「ダービー」の意味

2010年12月11日

キーワード:イングランドスペイン海外サッカー

■盛り上がる世界の名勝負「ダービー」という常識

このコーナーでは毎回、知っていそうでいなかった世界のサッカー事情について、ランダムにとりあげます。世界各国で様々に楽しまれているサッカーというスポーツの奥深さを感じるような話題、子どもとの会話のネタになるような話題を数多くセレクトして紹介します。

今回は同じ都市のチーム同士が戦う「ダービー」についてです。もともとダービーマッチの発祥はイングランドとされ、同じ都市に本拠地を置くチーム同士が戦う時はお互いライバル心をむき出しにし、選手、観客ともに、通常とは異なるテンションで幾多の名勝負が繰り広げられてきました。

ところが他の国では、同じ都市のチーム同士だけではなく、宗教の違いや、歴史的な都市間の因縁など、様々な理由によって対抗意識を持つチーム同士の戦いも「ダービー」と呼ばれるようになってきました。そしてその「対抗意識」が、国の事情によって微妙に異なるのもダービーの面白い理由です。

例えばイングランドでは、リヴァプールとエヴァートンの「マージーサイド・ダービー」、アーセナルとトッテナムの「ノースロンドン・ダービー」など、同じ街に本拠地を置くチーム同士のダービーが有名です。これらの試合は、言い換えれば地域的な要因を根拠に盛り上がることから「ローカルダービー」と呼ばれます。

一方、スペインでは、同じ街の中での戦いももちろん熱い「ダービー」となりますが、最も有名な「エル・クラシコ」は、レアル・マドリーとバルセロナという異なる地域のクラブ同士が戦う試合。この戦いがいわゆる「ダービー」と呼ばれる理由は、スペインという国の成立過程に根拠があるのです。長きに渡り、異民族間で内戦が絶えなかったスペイン。スペインという国家を統一する過程で、首都マドリーを拠点とする独裁政権は、バスクやカタルーニャといった地域の人々に、その地域独自の言語使用を禁じるなど、様々な圧政を行ってきました。

バルセロナはカタルーニャ地域のチームであり、こうした歴史的背景をベースに、独裁政権と抑圧された地方都市という構図が、レアル・マドリーとの関係に重ねられていったのです。加えてこの2チームはスペインを代表する強いチームでもあり、「ナショナルダービー」(国内の名誉ある戦い)としての側面も強く持っています。こうした理由で、毎年2試合のダービーは世界中を熱くさせる戦いとなっているのです。

同じような理由で熱く盛り上がるダービーはロシアなどにも見られます。ロシアのように、長きに渡って共産主義国家として成立してきた国には、政府が公然とバックアップしてきたサッカーチームが存在します。こうしたいわゆる政府系のチームと、民衆の代表的チームの間には、政治を背景として熱いダービーマッチが繰り広げられるのです。

宗教の対立を背景としたダービーで有名なのはスコットランドの「オールドファーム」。グラスゴーを本拠地とする、セルティックとグラスゴー・レンジャースの因縁の対決です。この試合はローカルダービーという側面を持ちながら、カトリックとプロテスタントという宗教的な対立を背景に、サポーター同士が激しく対立。まさに代理戦争のような盛り上がりでダービーマッチが展開されているのです。

日本では政治的背景や、宗教的理由によって、対立するダービーは存在しません。プロリーグとしての歴史の浅さもこれに影響しているでしょう。でも、大阪ダービー(セレッソ大阪とガンバ大阪)、多摩川クラシコ(FC東京と川崎フロンターレ)など盛り上がるローカルダービーは人気を呼んでいます。たまに観戦に行くなら、こうしたダービーマッチを狙ってみるのも面白いかもしれません。

 
 
『知ってます?世界のサッカー常識』全12回
 
【第1回】広島観音高校の育成方法
【第2回】世界のトレーニング事情
【第3回】世界4大リーグの基礎知識
【第4回】サッカーは監督次第!?
【第5回】国によって異なる「ダービー」の意味
【第6回】イエローカードって万国共通じゃないの?
【第7回】育成王国オランダの常識
【第8回】極める道はサッカーひとつにあらず
【第9回】知られざる背番号ストーリー Part1
【第10回】知られざる背番号ストーリー Part2
【第11回】代表選手は、どこの国で生まれた選手!?
【第12回】試合の結果を左右するアウェイの洗礼
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