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インタビュー

Jクラブで長年コーチをしていた2人が語る「やった感のあるトレーニングは危険」

公開:2020年10月21日 更新:2020年10月23日

キーワード:ゴールキーパータニラダー澤村公康谷真一郎

2020年12月末、サカイクは「タニラダーキャンプ」と「澤村公康GKスペシャルキャンプ」を大阪のJ GREEN堺で開催します。そこで今回は、両キャンプのメインコーチを務める、谷真一郎氏(現・ヴァンフォーレ甲府フィットネスダイレクター)と澤村公康氏(元サンフレッチェ広島GKコーチ)の特別対談を実施。Jクラブでトップ選手への指導経験を持ち、ジュニアを始めとする育成年代の指導にも力を入れているおふたりによる、トレーニングの本質を追求する対談を、2回に分けてお届けします!(取材・文:鈴木智之)

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■GKのプレーにおける「止まる」ことの重要性

谷:年末のサカイクキャンプでコラボさせていただくことになりまして、よろしくお願い致します。

澤村:こちらこそ、よろしくお願いします。

谷:GKのプレーに必要な動きを、タニラダーでトレーニングできたらと思っています。GKはフィールドプレーヤーに比べて、ひとつのプレー、ひとつのステップの重みが違いますよね。

澤村:GKのプレーには、自分から動くアクションと、相手に対応して動くリアクションがあります。そして、両方を瞬時に切り替えることが求められます。そのためにもスムーズなステップ、移動はすごく大切です。

谷:GKにとって大切なステップは何だと考えますか?

澤村:前に出るフロントステップ、後ろに下がるバックペダル、サイドステップ、クロスステップ、バッククロスがあります。なかでも重要なのがブレーキ、つまり「止まる」ことです。

谷:その理由を聞かせてください。

澤村:GKは足を動かして移動し、最後は手を使ってボールに対応します。動き出して止まって、ボールに対する良い準備をして、技術を発揮するというプロセスの中で、しっかり止まることができないと、その後のプレーがブレてしまいます。ボールに対する良い準備をするためにも、止まることはとても大切だと思っています。


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谷:タニラダートレーニングでは、止まること、動き出すことは重点的にトレーニングします。GKは前方に飛び出ていったり、後方に下がったりと、前後のアクションが多いですよね。前後の動きのポイントは、ひざを曲げすぎないこと、顔を下げないこと、足を踏み変えるときに、足裏のアーチを感じて前に出るなどのポイントがあります。地面からもっともエネルギーを受け取ることができる足幅(パワーポジション)なども、ドリルで身につけることができます。

澤村:谷さんもよく言われていますが、試合で使える身体の使い方や技術を身につけることが大切ですよね。GKは静止した状態でボールに対応するときもあれば、動きながら相手の足元に飛び込むこともあります。ハイボールへの対応は、ランニングしながらジャンプする動きなので、肩や腕の振り上げもポイントになります。ステップと上半身の動きがともなっていないと、良いプレーにはつながりません。

谷:私も常に伝えていることの1つに「全身を使ってプレーをする」ことによって安定性やスピードが生まれてくるというメッセージがあります。「ステップ=足の動き」と捉えがちですが身体全身を使うことによってパフォーマンスが向上するという身体感覚を伝えていきたいですね。

澤村:僕のトレーニングは、最初に基礎技術をやって、シチュエーショントレーニングをして、そのシチュエーションが出るゲーム形式の練習をします。谷さんには、シチュエーショントレーニングで必要な動きのトレーニングを準備してもらって、そこにGKたちが参加してステップワークに取り組み、その動きがゲーム形式の練習でどう出るかという流れでできたらいいですね。

谷:試合で必要なGKの技術は澤村コーチが子どもたちに伝えているので、私はそれを動きの面からサポートできればと思っています。

澤村:ぜひお願いします。

■「やった感」ではなく、試合で生きる「トレーニング」を考える

澤村:昨今のGKトレーニングを見ていて思うのが、苦しんで、歯を食いしばってトレーニングするのが、GK練習だと思っている人が多いことです。たとえば「シュートを10本連続で止める」という練習がありますが、実際の試合では10本連続でシュートが飛んでくる場面はないわけです。あっても、2、3本です。

谷:その通りだと思います。

澤村:例えば、シュートが自分の右側に飛んできたとして、ボールを弾いて倒れました。そうしたら、実際の試合では必ず右方向に起き上がります。なぜなら、ボールは右側にあるから。でも、「10本連続シュートセーブ」という設定でトレーニングをしていると、止めたボールに対して、起き上がる方向はコーチ(キッカー)のいる方向です。その時点で、実際の試合に役立つ起き上がり方のトレーニングにはなっていないわけです。

谷:実際の試合ではひとつアクションを起こして、すぐに立て直して次にプレーをするぐらいで、GKが3回も4回も連続してプレーすることは稀ですよね。いかにして、ワンプレーで大きな力を出せるかが重要なわけで。

澤村:しかも実際の試合では、ボールをキャッチしたら攻撃に転じます。でも10本連続で止める練習は、つかんだボールを捨てて、また受ける。ボールをロストするトレーニングをしているようなものです。もちろん、連続してシュートを受けるドリルには良い面もありますが、3回ぐらいでいいのではないかなと思います。

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谷:連続してシュートを受ける練習をすると、選手にもコーチにも「練習をやった感」があります。私はその「練習をやった感」はすごく危険だと思っていて、激しい練習をした、やりきった感覚はある。でも、その練習が果たして試合に活きるような、意味のある練習なのか? という部分が見過ごされているよう思えてならないです。「やった感」でごまかされて、満足してしまってはいないか。それは常に自問自答しています。「このトレーニングは、試合のどの局面に活きるものなのか?」って。

澤村:まさに、僕たち指導者が突き詰めなければいけないのは、そこだと思います。最近、GKコーチになりたいという若い子が多く、それは素晴らしいことなのですが、一方で「GKのことは知っているけど、サッカーというスポーツに対する理解に意識が向いていないな」と感じることがあります。GKはサッカーというスポーツをする選手であって、GKというスポーツをしているわけではありませんから。

谷:フィールドプレーヤー10人+GK1人と考えている人が多いですよね。 その考えだと、GKの分析をするときに、GKだけを画面に入れ込んで撮影するんです。でも、実際は周りの状況があって、そこでGKがどう動くかが大切なわけです。10+1ではなく、11人でゴールを守る。そう考えるコーチが増えると、トレーニングも変わってくるのではないかと思います。

澤村:近年はGKに対する情報が増えていて、とても良いことだと思います。我々としては、その中で本質を伝えていきたいですよね。

谷:試合で必要なプレーをトレーニングして上達する。リアリティのあるものにしたいですね。
>>後編はこちら


■谷コーチ、澤村コーチのキャンプのご案内

>>対談をした澤村コーチ、谷コーチの冬キャンプはこちら

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【GKがうまくなりたい子向け】サカイクGKスペシャルキャンプ
12月27日~29日@J-GREEN堺で開催!

【試合中のスピードが変わる】タニラダーキャンプ
12月28日~29日@J-GREEN堺で開催!

■対談したコーチのプロフィール

谷真一郎コーチ(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)

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愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』
【取得資格】
筑波大学大学院コーチ学修士
日本サッカー協会認定A級ライセンス
AFCフィットネスコーチ レベル2
日本サッカー協会認定キッズリーダー
澤村公康コーチ

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ゴーリースキーム 代表
青山学院大学 GKアドバイザー、専修大学 GKアドバイザー
【指導歴】
1995年 - 1997年 鳥栖フューチャーズ 育成GKコーチ
1997年 ブレイズ熊本 育成GKコーチ
1998年 - 2003年3月 大津高校 GKコーチ/JFAナショナルトレセンコーチ
2003年4月 - 2008年1月 浦和レッドダイヤモンズ育成 GKコーチ/女子日本代表 GKコーチ/JFAナショナルコーチングスタッフ
2008年2月 - 2011年 川崎フロンターレ育成 GKコーチ/青山学院大学 GKコーチ
2012年 - 2014年 浜松開誠館中学校・高等学校 GKコーチ
2003年,2013年 日本高校選抜 GKコーチ
2015年 - 2018年 ロアッソ熊本 GKコーチ
2019年 サンフレッチェ広島 GKコーチ

【公式Instagram】
ゴーリースキーム goaliescheme

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鈴木智之

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