1. サカイク
  2. コラム
  3. 考える力
  4. なぜドイツでは、7歳の子どもの試合を"審判なし"で行うのか

考える力

なぜドイツでは、7歳の子どもの試合を"審判なし"で行うのか

2016年1月 4日

キーワード:ドイツ子育て審判小学生

「明日の試合の審判、いつもやってくれる○○くんのお父さんが来れないみたい。困ったなぁ。だれか代わりにやってくれる人はいないかな?」
 
あなたは、お子さんが所属しているチームでこのような会話を耳にしたことはありませんか?
 
日本の小学生年代のサッカーの試合は11人制ではなく8人制で行われます。公式戦ではJFAが定めた規則によって主審と補助審判の2名が必要です。タッチラインを割ったボールがどちらのチームのスローインか、シュートが入ったのか入らなかったのか、そういった第三者の判定が必要な場面では審判のジャッジが試合をうまく進めてくれます。また、公式戦ではない練習試合などにも審判を最低ひとりは出しているケースが多いのではないでしょうか? 子どもたちのサッカーは、審判をしてくれるコーチやお父さんお母さんの協力があって成り立っているといえるでしょう。
 
今回は、ドイツでサッカーコーチとして活動するかたわらサカイクにも寄稿する中野吉之伴さんが、息子さんの所属するチームで体験したお話をご紹介します。サッカー少年団のお父さんお母さんは、ぜひご覧ください。(取材・文 中野吉之伴)
 
6259573702_82a445e367_z.jpg
Photo by Steven Depolo
 

■子どもたちが真剣なまなざしでプレーできる環境とは

「あれ? 今のゴールだった?」
 
相手チームの選手が蹴ったシュートはゴール横に外れて、後ろのバーにあたってピッチに戻ってきたように見えたのです。ピッチ脇で交代選手に指示を出していたコーチに聞いてみると、「いや、入ってないだろ?」というものの、ピッチ内の子どもたちはボールを抱えてセンタースポットまでボールを運び、キックオフをしようとしていました。すかさず、そのコーチは相手チームのコーチを呼んで「いまのは外れてたんじゃないの?」と聞くと、向こうは「いや、入っていたよ」という答えが返ってきます。ゴールかどうかはサッカーの試合における最重要項目のはず。でもそんな大人のやり取りを気にもせずに、うちのチームの子どもたちはさっさとキックオフをして、試合を進めていました。両チームのコーチもさっきのゴールのことをそれ以上言及せずに、試合に気持ちを切り替え、子どもたちのプレーを真剣な眼差しで追っていました。
 
これは先日観戦してきた僕の長男が出場した試合での出来事です。長男は7歳。ドイツのフライブルクにあるクラブに今年の9月に入団し、その日が初めての試合でした。試合会場へはクラブのグラウンドで集合して、みんなで車に分乗して向かいます。その日は天候にも恵まれ、朝から透き通るような青空。この日は3学年同時開催で、天然芝2面にそれぞれのピッチが準備されていました。どの学年も6チーム参加の総当り形式。1試合15分でGKを含めて5対5で行われます。もちろん交代は自由。
 

■審判がいなくても、息子の試合はうまくいった

わたしの興味を強く引いたのは、どのピッチにも審判の姿がなかったこと。「審判の格好をした人がいない」のではなく、“審判なし”という規則で行われているのです。ファールはすべて自己申告。後ろからのチャージや明らかに危ないプレーが合った時にだけそれぞれのコーチが仲介で入ります。冒頭の疑惑のゴール(?)もそうした流れで起こったものでした。
 
白黒つける審判なしでうまくいくのかという疑念を完全にふっ飛ばしてくれる光景がそこには広がっていました。子どもたちはみないいプレーをしよう、チームが勝つためにがんばろうとそれぞれが全力でプレー。審判がいない戸惑いやためらいなんて一切なし。ファールっぽい激しい身体のぶつけあいもそこらじゅうで見られますが、倒されてもみんなまったく意に関さずそのままプレーを続行します。夢中でボールを追いかけ、体を張ってボールを奪い合い、ゴールを狙い、ゴールを守る。自陣ではシンプルに、敵陣では思い切りの良いチャレンジをする。サッカーにおけるすべての根源的なものが詰まっていると感銘を受けたものです。
 
次ページ:なぜ、子ども目線で話をする必要があるかを見失わないで
 

サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!

※メールアドレスを入力して「登録」ボタンをクリックしてください。

メールアドレス

1  2
取材・文 中野吉之伴

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ

考える力コンテンツ一覧へ(245件)

コメント

  1. サカイク
  2. コラム
  3. 考える力
  4. なぜドイツでは、7歳の子どもの試合を"審判なし"で行うのか

Pickup

サッカースクール検索サイト ケリなび

週間記事ランキング

  1. 「厳しいサッカーよりも楽しいサッカーをしてもらいたい」徳永悠平のサッカー少年の育て方
    2017年1月10日
  2. ジャージorピステ 寒い日に用意したいのはどっち!?
    2011年10月16日
  3. 本来の力が発揮できなくなるかも?"ポジティブシンキングの罠"に注意
    2017年1月12日
  4. ウチの中でも簡単にできる!こっそりサッカー自主トレーニング
    2012年6月26日
  5. 「自分の内側からやりたいと思えることを続けてほしい」FC東京・徳永悠平の父親論
    2017年1月11日
  6. 1対1に自信がつく! ディフェンスで大事な3つの姿勢
    2012年4月27日
  7. 父は思春期とどう向き合えばよろしいか問題
    2017年1月16日
  8. 今年の卒団式どうする!?いろんなチームの実例を集めてみました!
    2012年2月14日
  9. プレイヤーズファーストって知ってる?ただ褒めるだけではなく、然るべきタイミングに褒める親になろう
    2017年1月 6日
  10. 「緊張しても失敗しない!」子どもの自信を育てるメンタル・トレーニング
    2017年1月 5日

一覧へ