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練習後、子どもがチームメイトに責められてしょんぼりして帰ってきた。その時あなたは?

公開:2012年7月12日 更新:2012年7月13日

キーワード:コミュニケーションメンタル悩み

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皆さん、元気にサッカーしていますか!夏も目前、暑さを吹き飛ばす元気なプレーを僕らも期待しています。ただ、そのためにはチームのみんなで体だけでなく心の健康を保つことも大切です。では、こんなケースはどうしたらいいのでしょうか?「スカパー!Jリーグ中継」でもおなじみの大西貴さんと一緒にみんなで考えてみましょう!

<<ご相談内容 ※原文のまま掲載しています>>
 
息子は小4で、地元サッカーチームに入って3年です。サッカーが好きで入団し、毎日リフティングの練習をして、練習も楽しく行っています。
 
しかし、もともと運動が得意ではない方で、試合ではなかなか積極的に動けず、結果、ボールを持つ選手の背中をいつも見ている状態です。(ポジションはディフェンスです。練習でFWにもなった事はあったようですが結局は本人の希望とコーチの判断でディフェンスに収まったようです)
 
そんな中、ある練習後、息子がいつもと少し違いしょんぼりしていました。そこで訳を聞いてみると、練習の試合で、息子のチームが負けた際に、FWの一人のチームメートに、息子と数名の動きが悪いことから、
「●●(動きのいい子数名)以外いらない、うざい、死ね、お前らのせいで負けた」など息子の目の前でいわれ、●●の子達とバカにしたように笑われたと言うのです。
 
それを聞いてすぐにはなんて言ってやればいいのか思いつかず、あとで、「悔しい思いをプレーで返せばいい」と息子に話しました。
 
でも、じゃあ、どんな練習をすればいいのか、試合でどうすればいいのか本人自体もわからないのだと思います。親の私もサッカーの事ではいいアドバイスができません。
 
前記しましたように、息子は本当に試合ではディフェンスとしてのプレーはできていませんし、気迫も私から見ていてかんじられません。勝っても負けてもあまり関係ないようにも思えます。(本人も試合より、いろんな練習の方が好きだし楽しいと言っています。)
 
確かにFWの子は活躍し、勝利を喜び、負けは本当に悔しそうです。練習でも試合でもです。
 
このままでは、サッカーに行くのが嫌になってくるのではと心配しています。なにかアドバイスいただければと思い、メールさせていただきました。楽しくサッカーを続けさせてやりたいし、勝ち負けの喜び、悔しさも教えてやりたいと。
 
どうかよろしくお願いします。
 
 

■子供たちで解決すべきか、まずは指導者と話をしてみよう!

――この問題は、サッカーのテクニックというよりも人間の心の部分だと感じます。
 
大西「そうですね。ただ、この質問は親の側から見た視点ですし、指導者や息子さんに声をかけたチームメイトの話が読み取りきれないので、わからない部分が大きいですね」
 
――息子さんがチームメイトに指導者の見ている前で言われたのか、見ていないところで言われたのかもポイントになってきますね?
 
大西「そこは大きいですね。もし指導者の見ていない前で言われたのであれば、指導者はチームメイトに対してしっかりとアドバイスを与えるべきだと思います。確かに勝ち負けは大事な要素ですが、同時にサッカーが楽しい気持ちを持ち続けることも大事。そこは指導者と親御さんがお話をして、子供たちの世界の中で解決できる問題なのか、そうではないかを判断した方がいいですね。
 
お子さんのことで言えば、DFに転向した経緯を見ると内向的な雰囲気がありますね。その中でも『勝ちたい』とか、『負けたくない』という気持ちを徐々に植えつけていくことがこの年代では必要になってくると思います。
 
たとえばこの子がリフティングを一生懸命やっているのであれば、指導者はチーム内でトレーニングの一環として競争をさせればいいでしょうし、そこで息子さんをチームメイトに認めてもらうようにすればいいと思います。そして親としては、これは以前から繰り返し言っていることですが、まずは子どもの成長を見守る。その上でメンタリティを養うのであれば、指導者とコミュニケーションを取ることも1つの方法だと思います」
 
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■自分が得意なプレーを作ろう!

――前半の話は今、大西さんが言われた通りだと思います。では、後半部分はどうでしょう?「悔しい思いをプレーで返せ」と親御さんはおっしゃってますが、子供さんはその方法を具体的に知りたいと思うんですよ。
 
大西「まず、この子供さんに必要なのは『自分に自信を持つこと』です。なんでもいいんです。DFであれば1対1で負けないようにするとか、自分がマークする相手に一生懸命ついていくとか、自分ができる特長を使って自分のプレースタイルを身に付けてほしいですね」
 
――DFを長らく務めた大西さんならわかると思いますが、内向的であることが長所になる場合もありますよね?
 
大西「寡黙にやれていれば、うまくいかなかった場合でもその問題を冷静に分析できます。そして、まず自分を戒めることができる。自分自身が責任を感じる「責任感」というものはサッカーをする上で大事な要素です。謙虚に受け入れれば、次にどんな練習をすればいいかもわかってきます。
 
その中で自分が得意な分野を作ること。なにもチームで1番じゃなくていい。2番でも3番でも4番でもいいから、得意なプレーを作るんです。全部がダメなんてことはないはずです。スピードがなくても最後まで走りきる。これも長所。粘り強くついていく。これも長所。スキルじゃなくてもいいんですよ、得意なプレーを磨こうとすれば、自分で練習も考えるようになります」
 
――毎朝自宅の回りを走ってみるのも練習ですよね?
 
大西「そうですよね。それが本人の得意な部分であれば、それもありです。サッカーの技術がうまくなくてもできることはありますし、その中でサッカーを通じて自分に自信がつけばいいんです。もし、そこがわからないようであれば、指導者の方からアドバイスを受けるのもいいと思いますよ」
 
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■「悪口」でなく「激励」。言葉をポジティブに捉えよう!

――この質問を読んでいると、子供さんはチームメイトから叱責を受けてしょんぼりしている。ということは「責任感」は十分持っていると思うんです。その責任感を個人からチーム内に広げていくことも1つの課題ですよね。最終的には社会で生きるための術でもあると思います。
 
大西「そこはクラブの環境によりけりの部分もあるとは思いますが、確かに大事な部分ですね。となると、このチームメイトから言われた言葉をどのように本人が受け止めるか、親御さんがその意味を伝えるかも大事になると思います。ただ単に悪口と取るか、叱咤激励と捉えるか。
 
『こんな事を言うは君に期待しているからじゃないか』。そんな伝え方をするのも1つの方法です。『できると思っていたから怒っているんじゃない?本当に一生懸命やれたのかな?』このような問いかけ方もありますね。『悔しい思いをプレーで返せ』といわれると、チームメイトの言葉をネガティブに考えがちになってしまう。 このチームメイトがお子さんへの期待をうまく伝えられているかといえば、そうじゃないんですが、受け止め方を変えるのも1つですね」
 
――チームメイトにしても本当にダメと思ったら何も言いませんからね
 
大西「そうだと思います。お子さんが頑張ったらもっとうまくいくと思ってそのチームメイトがお子さんに声を掛けたとすれば、これは大事な言葉なのかもしれないです。ネガティブに受け止めるのは簡単ですし、その思考でいくと今回受けた言葉は非常に厳しいものですが、そこでポジティブに考えを変えられれば、今回の言葉も前向きな発奮材料になりうると思います」
 
――人間、ネガティブに物事を捉え始めると、同じ失敗を何度も繰り返しがちですからね
 
大西「今回、具体的なプレーのことが書いていないので、なんとも言えない部分はあるのですが、失敗をどう受け止めるかという部分は親御さんや指導者に問われているところだと思いますね。「気づかせてくれた」と思えばポジティブになるし、『言われた』と思えばネガティブになるものです。サッカーは勝ち負けのあるスポーツですし、その意味で気持ちの部分は僕も大事だと思いますが、それだけになってしまうとうまくはいかないでしょうね。
 
『FWの子は勝って喜び、負けて悔しがる。息子はそうではない』と書いてありますが、それはそれぞれのメンタリティの違いですから。子供さんは本当は気迫を持ってやっているのかもしれない。ですので今回はまず、親御さんは言葉の受け止め方に気を遣って、少しずつでも具体的なアドバイスをできればいいと思います」
 
――親御さんも素人だと思わずに、実はそれが的を射ていることもありますからね。
 
大西「そうです。親御さんもサッカーを一緒に勉強しながら、サッカーを楽しむために、子供さんに自信を持てるプレーを作ってあげることが大事ですね」
 
――「大西貴の親子でサッカーを楽しもう!」で最初に触れた親御さんの「いいこと探し」も子供さんへのサポート法の1つになりますよね?
 
大西「そうです。親御さんのアプローチの仕方で、子供さんがサッカーへ積極的になればいいと思います。その上で試合に勝った喜びや負けた悔しさも出て、課題にどう取り組むかもわかってくると思います。子供さんがサッカーが好きであれば、そんな考えになってくれると思いますので、ぜひ取り組んでみてください!」
 
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大西 貴(おおにし・たかし)※写真の後列中央//
1971年・愛媛県生まれ。南宇和高では主将として1989年度の第68回全国高校サッカー大会制覇。福岡大を経て1994年に広島へ入団し主にDFとして広島で3年間、京都で1年間プレーしJ1・21試合に出場。広島時代はマンチェスター・ユナイテッドへの短期留学も経験する。そして1998年には当時四国リーグ所属だった愛媛へ里帰り。愛媛FCでサッカースクールコーチを務めつつ2001~2003年には選手兼監督・2004年には監督専任で4年間JFLでも采配を振るった。その後は2年間の愛媛ユース監督経験を経て、現在は愛媛県立松山北高コーチ、スカパー!愛媛中継解説者として活躍中。日本サッカー協会公認A級ライセンス保持。
 
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取材・文/寺下 友徳 写真/サカイク編集部

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