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  4. 夢中になるからこそ身にけられる能力。子どもたちに必要なのは「行動力」ではなく「考動力」

年中夢求 「夢を叶える力」「よりよく生きる力」の育て方

夢中になるからこそ身にけられる能力。子どもたちに必要なのは「行動力」ではなく「考動力」

公開:2019年7月30日 更新:2019年8月 5日

キーワード:1日100分24時間をデザイン凡事徹底大津高校川崎フロンターレ巻誠一郎平岡和徳年中夢求植田直通、谷口彰悟車屋紳太郎部活動鹿島アントラーズ

誰にとっても1日は24時間。時間は有限で、使い方は無限だから、24時間をデザインして勉強も日常生活もサッカーのために還元する。練習時間は1日100分。当たり前のことを人並み以上に徹底してやり抜く「凡事徹底」を理念に掲げる大津高校。

九州の小さな公立高校のサッカー部を全国の常連に育て上げ、これまで巻誠一郎、植田直通、谷口彰悟、車屋紳太郎など約50名のJリーガーを輩出した名指導者・平岡和徳さん(大津高校サッカー部総監督/宇城市教育長)の新著「年中夢求」は、家庭教育、学校教育、地域教育を通して子どもたちの「夢を叶える力」「よりよく生きる力」の育て方についてつづった1冊です。

今回はその中から子どもたちの夢中を育てる、これからの学校教育について内容を少しだけお送りします。第三回目は、授業、部活動を通じて身につける、自分で考えて決断できる力「考動力」について。中学生はまだ子どもだから無理、なんて思っている親御さんはいませんか? 大人に「やらされている」のではなく自分で主体的に考えることが身についている子は、自分の人生の選択を自分でできるのです。

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教え子の植田直通選手、車屋紳太郎選手と

 

■自分で考えるから、進路も自分で選択できる

――部活動を通して、また授業を通して考えることが習慣化できるようになると、自分の進路も主体的に選択できるようになりますか。

平岡 義務教育の9年間では、自分の将来に向けた選択をする準備をして、高校に進む15歳で判断し、決断する。そして高校生活を経て、「より自分を生かせる環境はどこか」「もっと専門的に学びたいものは何か」ということを主体的に考えれば、そこでも自分で判断して、卒業後に進む大学やクラブを選べます。

逆に、やらされている子どもは、それを判断できないと思いますね。自分から興味を持って、夢中になって取り組んでいるからこそ、「次はこうなりたい」と考えることができて、進むべき道が見えてくる。

一生懸命頑張った人間にしか、主体的に選択する能力は生まれないと思います。何でもかんでも強制されるのではなく、自発的に、主体的にやるという環境が小さい頃から習慣としてあれば、目の前の相手が何を考えているのか考え、そして自分が取るべき行動を考えることができます。

「行動力」ではなく、「考動力」になるんです。失敗したり判断を間違ったりしたとしても、それが自分が考えて行動した結果であれば、「完成度を上げて成熟させていけば大丈夫だよ」と助言してあげることで課題発見能力問題解決能力は磨かれますし、安心感を作ってあげることに繋がっていくと思います。

 

――しかし実際には、行きたいところよりも現実的に行けるところを選ばざるを得ない場合もありますし、その場合は本当に興味のあることが学べないというケース、あるいは、その時点で何を深く学びたいのか、まだ定まっていないケースもあるかと思います。

平岡 ですから、高校3年生になってから「どの大学にしようか」と考えるのではなくて、例えば、「行きたい高校に入る」という夢を15歳で実現できたら、「ここに入った理由は、その次にあそこへ向かうためだ」、というように、日常から目標やゴールをどんどん積み上げていくこともポイントです。

24時間をデザインするにも、「自分はこの夢を実現するんだ」、「だからそのために24時間をデザインしよう」ということになります。なぜ今日の反省をするかというと、「もう少しこういうふうにしないと、目標の場所には行けないな」と確認し、1日を振り返るためです。そういうことを日々ノートに書く人間と、そうでない人間とでは、自ずと変わってくるでしょう。ですから子ども達には、「若い時には休む時間はないぞ」と言いますし、「常にひたすら前に――"move forward"――という意識を持ちなさい」と話すんです。

 

■大津高校から多くのJリーガーが生まれた理由

――イメージできる範囲で、次はどこに向かって進んでいくか、どこを通っていくかが定まっていればいいわけですね。

平岡 「あの場所に行けば自分が変化して、成長できる」という大前提を持つことです。「あの先輩みたいになりたい」「あの人みたいになりたい」といった憧れの在存を見つけて、その目標に近づける努力をする中で、課題をクリアしていく。大津高校サッカー部の例で言えば、車屋紳太郎(川崎フロンターレ)は谷口彰悟(同)を見て育ちましたし、植田直通(セルクル・ブルージュ/ベルギー)は車屋を見て、野田裕喜(ガンバ大阪→2019年5月モンテディオ山形へ期限付き移籍)は植田を見て育つというサイクルがありました。

大津高校から、なぜ多くのJリーガーが出ているのかというと、私が教える100分の練習に魔法があるからではなくて、24時間をデザインする上でお手本になる先輩たちの存在、進んできた道が、子ども達の見えるところにあるからだと思います。子どもたちが変われる可能性やチャンスは、地域の中、学校の中、家庭の中に、日常的に転がっているんです。それを大人がコントロールしてあげることが大切でしょうね。

 

――一方で、子どもが大きな夢を語るときに、大人は「そんなこと言っても、無理だろう」と言ってしまいがちです。

平岡 子どものタイプによっては、意図的に厳しい言い方をすることでハッパをかけることもありますね。わざと「お前にできるわけがない」と言う方が、いい場合もある。負けず嫌いの子なら、そう言われれば「ちくしょう、見ておけよ」と奮起するでしょう。

誰にも同じように接するのではなく、そうした個性を見極めて対応しなくてはなりません。あえてみんなの前で厳しい指摘をする子と、1人だけ呼んで言い聞かせる子、子どもの個性に合わせて、細かく使い分けるべきでしょう。ともあれ、そういった具体的夢の実現に向けた取り組みの中で、子ども達が「諦めない心の才能」を磨こうとチャレンジしているわけですから、大人がネガティブな言葉をかけて、それを潰す権利はないのです。

 

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取材・文・写真:井芹貴志

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