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年中夢求 「夢を叶える力」「よりよく生きる力」の育て方

部活の中心は子どもたち。中学生からの運営のしかたとは... 部活動が果たしてきた役割と、これからのあり方

公開:2019年7月22日 更新:2019年8月 5日

キーワード:1日100分24時間をデザイン凡事徹底大津高校川崎フロンターレ巻誠一郎平岡和徳年中夢求植田直通、谷口彰悟車屋紳太郎部活動鹿島アントラーズ

誰にとっても1日は24時間。時間は有限で、使い方は無限だから、24時間をデザインして勉強も日常生活もサッカーのために還元する。練習時間は1日100分。当たり前のことを人並み以上に徹底してやり抜く「凡事徹底」を理念に掲げる大津高校。

九州の小さな公立高校のサッカー部を全国の常連に育て上げ、これまで巻誠一郎、植田直通、谷口彰悟、車屋紳太郎など約50名のJリーガーを輩出した名指導者・平岡和徳さん(大津高校サッカー部総監督/宇城市教育長)の新著「年中夢求」は、家庭教育、学校教育、地域教育を通して子どもたちの「夢を叶える力」「よりよく生きる力」の育て方についてつづった1冊です。

今回はその中から子どもたちの夢中を育てる、これからの学校教育について内容を少しだけお送りします。第二回目は、教師の長時間労働にもかかわることで、保護者の関心も高い「部活動が果たしてきた役割」と「これからの部活動のあり方」などをご紹介します。

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部活動は子どもたちが主体性をもって運営する活動、それをサポートするために学校、地域、保護者の連携が必要になると平岡氏は言います

 

■学校・地域・保護者の三位一体

――先生方の長時間労働にも関係しますが、部活動については、文部科学省が公表しているガイドラインで、毎日の練習時間にも規定が設けられ、1週間の中でも休養日が必要であると通達されています。

平岡 中学生になれば、「先生、今日は何をやるの?」と聞きにくるのではなくて、自分たちでルールを作って計画を立て、「これでどうですか?」という相談の仕方をするなど、子どもたちが中心になって、主体的に部活動を運営するような方向転換をしなければいけないと思います。

その中でトレーニングの工夫をサポートしたり、練習試合のマッチメークをしたりするのが大人の役目で、あくまでも活動の中心は子ども達だというふうに認識を変えていかなければいけませんし、そういうエネルギーが子ども達から自然に発生する場所にしなければいけないんです。

 

――しかし、顧問の先生の指導や働きかけだけで、子ども達をそこまで成長させるのは、なかなか難しい事のように思います。

平岡 学校総体として取り組む必要性があると思います。部活動の根本には"勝利至上主義"が存在しないことから鑑みると、指導や強化のウエイトはそれほど高くなくていいと考えています。ただ、生徒たちの高いニーズがあれば、今の外部指導者制度を活用すればいいと思います。

そういう状況になったとき、校長は保護者と協力し、指導者を探して、対象者がいなければ、地域の共同体の中で教員OBを頼ったり体育協会を頼ったり、保護者の中に指導できる人がいれば保護者にお願いする。そうした連携がまた、学校と地域、保護者のネットワークになってきます。子ども達の環境を変えるためには、三位一体で動かなければいけないんですよね。

 

■自分の大好きなことを主体的に、夢中になってやる

――一方で体罰やパワハラの問題が取り上げられる機会が増えたことで、部活動の捉え方についても、この数年で変わってきました。

平岡 その理由は、競技結果重視の民間スポーツクラブが増えて、子ども本人がよりハードな環境を選べるようになってきたからだと思います。学校部活動の本質は生涯スポーツにつながることや、そこでコミュニケーションの場を作り、子ども達が主体となってやっていくことです。

社会性を育成し、個性を伸長して、自己肯定感を高めながら主体的にルールを決め、計画を立てて、顧問と協力しながら成長していける。そのプロセスが重要だと思います。チャンピオンシップだったり、プロを目指したい、オリンピックに出たい、ワールドカップに出たいという子どもたちは、学校部活動を選ぶのではなくて、お金を出して民間のクラブに行くというシステムに変わってきています。部活動は、学校の授業が終わってすぐに活動できる場所で、子ども達が主体となってやれる活動であるべきです。

 

――部活があるから学校に行くのが楽しいという生徒は、昔も今も、少なくはありませんね。

平岡 その大きな理由は、自分の大好きなことを主体的に、夢中になってできるからではないかと思います。とても怖い先生がいて、叱られながら「やらされる」環境なら、嫌いになってしまいますよね。子どもたちが部活動が好きな理由は、自分を発揮できる場所だからだと思います。名伯楽と言われる指導者の先生はそのコントロールが巧みで、どんどん子ども達のやる気を起こしていったんですね。教室の授業でも、そういう現象を増やしたいから、アクティブラーニングが始まったんだと思います。

主体的で、対話的で、深い学びが効果的だということが、部活動で実証されてきたわけです。それを教室に下ろしていこうという感覚なのだと思います。

 

■臨機応変に自分で解決する力をつけるのにもサッカーは有効

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これからの予測不能な社会を生きるために必要な臨機応変な対応力、自分で解決する力をつけるためにもサッカーは有効

 

――部活動の目的が、社会性の育成、個性の伸長、自己肯定感の構築といった点にあることを理解できていれば、必要以上に長い練習や活動は、自ずとやらなくなりますね。

平岡 長くやるのは、そういったことを考えずにやるからではないでしょうか。目的意識を持つという意味では、「目指すゴールがないものに、進む道はない」という話をすることがあります。それは、ストーリーを作るうえでの大原則なんですね。「あそこに行くために、こういうふうにやるんだよ」と。そのゴールが、試合での勝利だったり、コンテストでの入賞であったり、夢の実現だったりするわけです。

これから子どもたちが大人になるにつれて、もっともっと何が起きるかわからない社会になっていくでしょう。そんな時も臨機応変に対応しながら、自分の力で解決しなくてはいけません。そういうことを踏まえると、サッカーは一番いいスポーツだなと思います(笑)。足でプレーするから何が起きるかわからないし、起きた現象に沿って、自分の強みやできることを判断して、次のプレーを選択していくわけですから。

そういう人間力がなければ、社会では太刀打ちできません。そういったイレギュラーの事態に対して、その場で反応しなければいけない。その脳のシステムを多様化するには、部活動を通じてスポーツに取り組み、社会性を育み、自己肯定感を高め、個性を伸ばすことは、有効なことだと思いますね。

 

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取材・文・写真:井芹貴志

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