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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
負けそうになると走らない、ボールを取られると暴力、つまらないと座り込む低学年への接し方を教えて
公開:2026年2月26日
低学年世代の指導、楽しく取り組ませたいのに、サッカーの場面では負けそうになるとは知らないとか、とにかく相手を煽る、ボールを取られると暴力をふるってしまう。
相手にケガや精神的な攻撃をするので、いつか大きな事故が起きそうで心配。この年代の子どもたちへの接し方を教えて。というお父さんコーチからのご相談。
ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、おすすめの方法を伝授します。
(構成・文 島沢優子)
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
<お父さんコーチからの質問>
はじめまして。小学校の少年団でコーチをしています。
U-8、9の低学年世代のメンタル面でどのように接してよいかめ悩んでおります。
サッカーの指導と、取り組みに対するメンタル面のすり合わせが難しく、練習自体は楽しく取り組めるようとしつつも、サッカーは勝負の場面がつきものなので以下のようなことが起きます。
例えば
・負けそうになると走らない
・ボールを取られると暴力をふるってしまう
・誰かがミスするとインプレーもお構いなして文句を言い寄る
・とにかく煽る
・最終的にはサッカーなんてつまらないから辞めるとピッチに座り込んでしまう
これらについて、頭ごなしに怒ったりはせず、「自分が本気で挑んでいるのに適当なことされたら嫌じゃない?」 といった感じで「自分だとどうなの?」というような聞き方をしていたのですが、返事は以下の通り天邪鬼のような回答です。
自分は本気なのに適当なことされたら嫌じゃない?
⇒そんなの知らない。(実際は相手のミスには人一倍敏感)
蹴ったり殴ったら痛いしケガしちゃうよ?
⇒自分なら大丈夫。(実際は転んだら泣いてしまう)
自分が煽られたら嫌な気持ちにならない?
⇒無視する。(実際に煽り返されると泣いてしまう)
諦めずに深掘りするも、最終的にサッカーが嫌になってしまう気持ちにさせてしまい、どのように声かけていればよかったのか自己嫌悪してしまっています。
サッカーをしていたらいつの間にか社会性が身につくということを期待しているのですが、いかんせん相手にケガを負わせたり精神的に攻撃してしまう場面があり、見守るにしても仲介に入らないといつか大きな事故がおきてしまいそうで心配です。
この年代の子どもたちへのメンタル面での接しかたをアドバイスいただけると助かります。
<池上さんからのアドバイス>
ご相談ありがとうございます。
大変お困りのようです。
子どもたちが負けそうになると走らない、誰かがミスすると文句を言い寄るといった子どもたちの姿は、恐らくご相談者様のチームだけの問題ではないでしょう。
ご相談者様が教えてくれた子どもたちの困りごとは、今の日本の子どもたちを物語っているように感じます。
■差をつけられないように...... 親も子も「負けること」「我慢すること」が減っているのですぐキレてしまう
以前も「相手をつかんでまで止めようとする、足を蹴られたら暴言を吐く」といったすぐキレる子どもの指導についてご相談いただいたことがあります。サッカーをしているときに「キレてしまった」状態になる子どもは増えている気がします。
すぐキレる子どもの生態を調べている心理学者によると、今の子どもたちは小さいころから勝ち負けが決まる遊びをたくさんしていないからだそうです。つまり、「負けること」にタフではない。これは大人のほうもタフではないことも影響しているかもしれません。
加えて、生活の中で何かを諦めたり、我慢する場面も減っています。例えば、すべていろんなものが個人にいきわたっています。サッカーボール、外国クラブのユニホーム。欲しいものはある程度買ってもらえるような世の中です。
親のほうも、子どもに買ってあげられる状態でなければ、幸せではないと感じています。昭和のある年代までは、他人の境遇をうらやましがると「うちはうち」と親に諭されたり、兄弟みんなで使いなさいと言われたりして育ったものです。
しかし格差社会と言われる今、差をつけられないよう、親御さんたちも一所懸命なのかもしれません。
■スポーツやチームとはどんなものか、サッカーを通じてわかってもらう必要がある
このような状況になっている背景には、核家族になって、子どもたちが言いたいことを言えば、その望み通りに親御さんが動いてくれることがあります。あるいは一人でゲームに興じる時間が長く、誰かと競い合って互いに切磋琢磨するような機会がなくなっています。
このことは、スポーツだけで変えられないかもしれませんが、それでもスポーツはそういったことを解決する際に重要になるでしょう。
その点から言うと、スポーツやチームとはどんなものなのかを子どもにわかってもらう必要があります。そしてそれは言葉で言い聞かせるのではなく、サッカーの練習で感じてもらってください。つまり、それを狙った練習をするのです。
例えば、ひとりでやるドリブル練習やリフティングなどに多くの時間を割かず、2人組になって何かをする、もしくは勝ち負けのある競争のようなものを練習に取り入れてください。
特に低学年ですから、2人で組んで協力するってどういうことなのか。サッカーのなかでたくさん経験させてください。勝ち負けが決まったとしても、「じゃあ、次は2人でどうしますか? 相談してね」と声をかけてください。そういうことの繰り返しが必要です。
■お薦めの練習メニューは「手つなぎサッカー」など その理由は......
メニューは例えば、手つなぎサッカーなどです。手をつないだ2人組同士が、小さなコートでミニゲームをします。2人で息を合わせなくてはいけないので、声を出したりして意思疎通を図ります。手が離れたら相手ボールになるといったルールを自分たちで考えて行います。
練習メニューのなかに誰かと協力し合ってやるものを取り入れてください。 片方が困っていれば助けるのが当たり前。自分も助けられた経験をします。
そういったことが積み重なると、少々ミスが出てもそれをカバーすればいいという感覚になってきます。
また、コーチも「2人で協力してまた取り返せばいいんだよ」とか、カバーできたら「ナイスカバー」と言って褒めたり、認めてあげましょう。
ミニゲームをすれば、負けそうになったときにもうひとりの子が「頑張ろうぜ」と言ってくれたら、一緒に「もうちょっと頑張ろう」と思えたりしますね。仲間の力を借りる経験をたくさんできるような「仕組み」を用意してあげてください。
技術の向上は大切ですが、それだけに注目するのではなく、上述したような狙いを持ってやっていくことを意識しましょう。
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