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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

日本代表はかなり強くなっているけど、日本のサッカーがもっともっと進化するためには育成年代で何が必要か教えて

公開:2025年12月30日

キーワード:Jリーグブラジル戦ワールドカップ日本代表池上正海外移籍育成年代

年内最後の連載は、編集部からの相談になります。2026年のワールドカップに向けて来年はますますサッカーが盛り上がっていくのは間違いありません。

そこで今回は、日本サッカーがさらに強くなるために、私たちはトップ選手たちから何を学べばいいのか、育成年代でどんなことが必要なのかを池上正さんに伺いました。

(構成・文 島沢優子)

 

(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

<編集部からの質問>

前回W杯前は、ドイツ代表、スペイン代表を破るなど日本中を熱くしたW杯日本代表。そこからさらに成長を続け、今年10月には初めてブラジルに勝利しました。(レギュラークラスが不参加、など色々な意見があるにしても)

若手の台頭も目覚ましいと感じていますし、彼らの多くは現在ではほとんどの代表メンバーが海外でプレーをしています。

必ずしもJリーグより格上のリーグばかりではないと思いますが、日本では体験できないスピードやフィジカル、他言語でのコミュニケーションなどが選手を成長させるのかと思います。そういった環境に飛び込んでいくためには、選手としてどんな力(思考?)が必要でしょうか。または日本国内にいても成長できるには、環境面も含め何が必要でしょうか。

日本サッカーがさらに強くなるために、私たちは代表の姿勢から何を学べばいいのか、育成年代でどんなことが必要なのか(サッカーの理解、判断、技術、メンタルなど)、指導現場へのアドバイスをいただけませんでしょうか。

 

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<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

まずは、海外クラブといった環境に飛び込んでいくには、どんな力が必要なのか、育成年代で育てなくてはいけないか? という質問からお答えします。

 

■成長するためには海外に行くしかないのか

今の日本代表は、まさしく海外に出た選手たちが活躍しています。その点から、成長するためには海外に行くしかないのかと言われれば、今はそうかもしれません。

また質問文に、海外クラブについて「必ずしもJリーグより格上のリーグばかりではない」と書かれていますが、本当にそうでしょうか?

私は一昨年、トルコに行って、国内リーグの試合を一度観戦しました。たまたま下位チーム同士の試合だったのですが、私にはJリーグより面白く感じました。

具体的に言うと、攻撃に入ったときのスピード感でしょうか。守備からアタックへの切り替えが素早く、全員が攻撃参加していく。スタンドから見ていて「あのスペースに誰か入ってボールがつながればいいのに」と思った瞬間、そうなるのです。両チームとも、チャンスを逃さないぞという意識の高さが垣間見えました。

一方のJリーグを見てると、アタックに転じたとき「ああ、あそこに行けばいいのに、どうして行かないのかな?」という場面が結構多くあります。前に運ばず、ボールが何度も後ろに下がってくるのです。チャレンジしないように見えます。そのような違いを強く感じています。 

 

■海外の選手は何手か先の展開が見えている

私が見てきた限りで言うと、海外で育成年代である小学生や中学生たちの試合を見ていると、前に行くチャンスを逃しません。ここ行けるぞ!と思うと、全員が素早く前へと進みます。

このスピード感と、アタックにかける人数が、日本の子どもたちとはまったく違うのです。もちろんフォワードの子どもは前に行きますが、「とにかく前に走れ」と指示されるので走っている印象を受けます。

つまり、状況を見ずに突っ込んでいることが多い。三人も相手がいるところにどうして突っ込むのかな?

と首をかしげたくなります。

欧州など海外の子どもたちはそれを回避して、一番早くゴールに行くための道筋を見つけることができるようです。何手か先の展開が見えているのです。

サッカーのセオリーを知っているので、全員の意統一ができている。ひとり一人の理解がつながっているので、人とボールが連動します。誰を使えばあそこに行けるのか、自分は今どんな役割をしたらいいのかをよくわかっています。

そのようなサッカーに対する理解や判断を育てる指導が、日本ではまだまだ足らないと感じています。 

 

■ブラジル戦の1失点目に見る「プレーの質の差」

例えば、先日のブラジル戦(親善試合)で、日本は最初に一失点しました。あの時のブラジルのつながり方は、日本には見られないものです。見事でした。

あの試合は日本が勝利したことが好意的に報道されましたが、プレーの質は明らかに違いました。その差は何なのか。そこを日本の指導者がしっかり見極められないと、育成年代もよくならないと思います。

その差はどこから生まれるのか? それは、上述したように「理解・判断」だと考えています。さまざまな講習会でも話しているように、サッカーは足元の技術がないとダメだというような見方ではなく、セオリーを理解したうえで攻守ともに仲間とつながることが大事です。

ボールがないところで、どこにポジションを取るか、いいポジションにいつも動いているといった戦術理解を、まずは日本の指導者たちができるようにならないといけません。

例えば、足が速い選手をトップで起用して、その子に長いボールを集めるよう指示する。それを追いかけて点を取るようなことしか考えない指導では、いつまでたっても進化しないと考えています。

他方、そういったサッカーのセオリーや、それを教えるための指導法を積極的に学ぶコーチも増えてきました。

ただし、学んで終わっているケースも少なくないのではないかと危惧しています。ご自分の学びを現場の指導に落とし込んだり、ほかのコーチに伝えて「自分たちのクラブを変えよう」というようなムーブメントを起こすまでには至っていないようです。それらを皆さんが意識してやっていただければ進化するはずです。

 

日本のサッカーが大きく進歩するために育成年代から取り組めること

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コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
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構成・文 島沢優子

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