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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

ボールを持てるのは数人、他はパスも上手くできない。レベル差のあるメンバーが楽しく基礎技術を身につけられるメニューを教えて

公開:2022年9月30日 更新:2022年10月17日

キーワード:U-10年代ドリブルパスボールを持てない基礎技術池上正練習メニュー

基礎的な技術がなかなか伸びない。チームの中でボールを保持できるのは数名、他の子はパスが上手くできなかったりとレベル差がある。

楽しく積極的に取り組みながら基礎技術が身につく練習メニューはある? とご相談をいただきました。

ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、「ひとりでできる練習」に時間をかけすぎな日本の現状と、考えてサッカーをするためにおすすめの練習メニューについてアドバイスを送ります。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

<<話を聞かない、落ち着きがないU-10年代の指導、チームをまとめる方法はある?

 

<お父さんコーチからの質問>

池上さんこんにちは。

地元の小学校でサッカーのコーチをしています。コーチ歴は3年で担当はU-10 年代です。

メンバーは3、4年合わせて11人です。選手のレベルは3~4人ボールを保持できる選手がいますが、その他はパスがうまくできなかったりで、基礎的な技術が中々伸びない子が多いです。

基本的な技術をもっとつけていかないと思っていますが、子どもたちが楽しく積極的に取り組めるようなパス、ドリブルのメニューあれば教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

まず、ここでご相談者様がおっしゃった「基本的な技術をもっとつけていかなくては」という主旨の話についてお伝えします。

 

■日本は「ひとりで行う練習」に時間をかけすぎている

日本では、基本技術というと対面パスやコーンドリブルなど、ひとりで行う反復練習、つまりクローズドスキルのトレーニングが多いです。それもやっていいのですが、全体に対し比重が高い。少し時間をかけ過ぎるようです。

実は、同じことを3回繰り返すと、その後同じことをやっても人間の脳はもう働かなくなるそうです。例えば、子どもの頃にやった漢字の書き取りやドリルを思い出してください。手本を見ながら、上から三つめまではきれいに書きます。ところが4つめ以下は乱れます。

このことを小学校の先生に話したら「今の子どもたちもその通りです。4つめから雑になります」と納得していました。

なぜそうなるかは、脳科学でもわかっていることだそうです。サッカーの反復練習も同じです。必要以上にやることはありません。子どもに「キックは、足のここに当てるよ」と指さしてみせて、それを感じさせたらほかのことに移って構いません。

 

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■楽しめてスキルアップできる練習形式は「ゲーム」

そういったことから、子どもが楽しめて、なおかつスキルアップできるのは、やはりゲーム形式の練習だと思います。

例えば、パスにフォーカスした試合をするとします。その際に「全員にパスがつながらないとシュートにはいけない」というルールにします。そうすると、子どもたちはパスをつなぎ始めます。ドリブルに焦点を当てる場合は「ハーフウエイラインを超えるときはドリブル」というきまりにします。ほかにも、ボールコントロールに注目したいときは、2タッチにしてください。

このように、練習のなかでルールを少しずつ変えてあげること。子どもたちのできること、できないことを見定めながら、ひとつのメニューを簡単にしたり、難しくするなどして調整してあげましょう。そしてそれは、ミニゲームだけでなく、3対3、4対4などの練習でも活用します。

 

■トレセンでも「仲間を感じながらプレーする」ができず個人技に走りがちな現状

先日、千葉県のある自治体で、12歳以下のトレセンのトレーニングを指導しました。仲間を感じられるようにするため、試合の中でさまざまルールを変えていきました。が、それを意識してプレーすることが、なかなかできません。

例えば、最初はフリーで試合をします。次に2タッチでやります。すると、ワンタッチした際に相手ディフェンスがくると、かわすために切り返す。その切り返しは、パスするために、ではありません。思わずドリブルします。ほとんどの選手がそんな様子でした。

2タッチだからこそ、最初にボールをさわった瞬間、つまりファーストタッチでいいところに置かなくてはいけません。それができないのは、それまで、まずはドリブルして相手を抜くといったプレーしか選択できなかったからでしょう。トレーニングの終了後、子どもたちは「考えることがいっぱいあって大変だった」と口を揃えていました。

 

■止まったボールを蹴るメニューではなく、頭も体も動かしながらサッカーをすること

頭も体も動かしながらサッカーをする習慣をつけてください。それには、子どもたちが楽しく、積極的にプレーができるよう、勝ち負けのある練習を行うことです。例えば、2人一組で行うシュートゲーム。足の股の間にボールを通すゲームです。

最初は止まったボールを蹴ります。そこで子どもたちに「試合中はそんな状況はないよね。だったら、どうしたらいい?」と問いかけます。そこで「ドリブルで行ってからシュートする」という声が出ます。「パス交換をしてから(股の間をめがけて)シュートする」というものもありました。

その次に、ボールが動き始めると,一回ずつ状況は違ってくることに気づいてもらいます。そうやって考えるたびに試合に近づくわけです。勝ち負けがあって、止まったボールを蹴るメニューではないもの。そうなると、次はディフェンスをつけるという発想になります。さらにゲームに近くなります。こうやって、1対1ではなく、味方も相手もつけてプレーするかたちを目指すと、2対1、2対2、3対2、3対3といったものになります。一見遊びのように見え股の間を通すというゲームから、サッカーの成り立ちを学ぶことができます。

 

 

次ページ:全員にボールを回してシュートするにはどうすればいいか考えるメニューを

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コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
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