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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

ドリブルでひとりでゴールしてしまう小2の子、アシスタントコーチができる声がけは?

公開:2019年4月19日 更新:2019年5月24日

キーワード:コーチングチームスポーツドリブルパス周りを見る池上正顔を上げてドリブル

上手い子とそうでない子が混在しているサッカースクール。それぞれに楽しんでほしいけど、上手い子はパスを出さずにドリブルで一人でゴールしてしまう。

両方を上手くしたいけどまだ新人なのでメニューに口出しできないし、どうすればいい?とお悩みのコーチからのご相談です。みなさんならどんなトレーニングをしますか。

今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送ります。(取材・文:島沢優子)

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上手い子とそうでない子の差があるスクールで、両方を伸ばすための指導とは(写真はイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

<<北の国から~ サッカーメインのチームでフットサルの戦術、教える必要ある?

<お父さんコーチからの質問>

幼稚園~小学生のスクールコーチをやっているものです。まだ入社して3か月ほどで、アシスタントコーチとして子どもたちと接しています。

小学2年生のスクールで声かけに悩んだので教えてください。スクールなので上手い子とまだまだな子の差が激しいです。

両方の子に楽しんでほしいのですが、上手い子は全部できてしまうためひとりでドリブルしてゴールに向かうことが多くなってしまいます。

その子にもどんどん技術を上げてほしいので、パス出せ! とは言えませんし、他の子にもボールを触らせてあげて技術を伸ばしたいです。

まだメニューを決められる立場ではないので、声かけやちょっとした対応だけで何か工夫が出来ないかなと思い質問させていただきました。
どうぞよろしくお願いします!

<池上さんのアドバイス>    

ご相談いただき、ありがとうございます。

入社3カ月。コーチになりたてということですね。
ご相談の文章を読んで、メインのコーチときちんとコミュニケーションがとれているのかどうかが、まず気になりました。

メニューを決められない立場ということは、アシスタントコーチという立場ですね。であれば、メニュー立てをして、年間の指導計画や基準となる指導方法やビジョンを決めるメインコーチがいらっしゃるはずです。

そのコーチにその日の練習の狙いを聞いたり、方針を尋ねたりしているでしょうか?
また、今回相談されたことについて、意見を求めましたか?

まずは、メインでやっているコーチとの役割分担を明確にする必要があります。練習の目的、その日の練習で何がしたいのか? それを理解し合ってからでないと指導は始まらないと思います。

■ひとつひとつの局面の良し悪しを指摘するのがコーチングではない

気にとめておられる声がけについては、できない子にはもちろんですが、出来る子も声をかけないといけません。

上手な子にもどんどん技術を上げてほしいので、パス出せ! とは言えない、と書かれていますが、ひとつひとつの場面の良し悪しを指摘するのがコーチングではありません。

この年代で、サッカーの本質を理解させることに重心を置いてほしいと考えます。
「サッカーの本質」とは何か。

ここでいえば、サッカーはチームスポーツだということです。

「ひとりでどんどんドリブルでもっていってしまうのは、サッカーではないよ」ということを頭でも体でも伝えなくてはいけません。

そのためには、コーチ自身が勉強しておく必要があります。サッカーの原理原則を勉強することです。

ドリブルばかりして周りにボールを渡さない子には「ひとりでサッカーして本当に楽しいか? みんなで攻撃してゴールしたほうが楽しくないか?」ということを問いかけ続けます。

全員が楽しいほうが、自分の楽しさが増すことを理解させてください。そのことがチーム(その学年)全体に浸透すると、子どもたちのなかから「サッカーはひとりでするものじゃないよ」という声が自然に出てきたりします。

同時に、技術が劣る子どもには、ポジショニングを教えてあげましょう。止める蹴るや、ボールを運ぶことは上手でなくても、いいポジションに動くことはどんな子にもできます。

チームみんなで攻撃して一点をとりに行く。そのためには、誰かがボールを持ったときにどこに行ったら得点できるか体得してもらいましょう。

コーチ自身がサッカーの原理原則を勉強すれば、言葉はたくさん出てくるはずです。

■サッカーは失敗しなくては上手くならない。ミスも認め、何度もトライできる空気を

しかしながら、何をどの場面で伝えるかは、その日の練習の狙いにもよります。メインのコーチが「今日の練習ではドリブルの技術を上げたい」と言うのであれば、ドリブルの上手い子はチャレンジすればいいわけです。

他の子では止められないほどうまいのであれば、コーチ自身が相手になればいいでしょう。その子のターンのときは、ディフェンスになってあげるのです。そうやってより成長できるよう、コーチが高めのハードルになってあげるのもひとつの方法です。

一方で、技術が未熟な子たちに対しては、ミニゲームなどで同じチームに入ってあげるのもひとつのやり方です。彼らができるスピードで対応し、パスを出したり、ポジションを教えてあげるのです。上手い子とそうでない子を組ませてあげてもいいでしょう。

声がけとしては、以下の言葉を増やしてください。
「うまくいかなくても大丈夫」
「チャレンジしてみよう」
「ナイスチャレンジ」

今の子どもたちは、ミスすることにおびえています。学校でも家庭でも評価されることが多いので、どんなことも自分の力量の範囲で無難にやることに慣れてしまっています。が、サッカーは、失敗しなくてはうまくなりません。

「ナイストライ」とミスさえも認めてあげて、子どもたちがストレスゼロで何度でもトライできる空気をつくることを心がけてください。そうするとチームの中に、ミスした仲間をけなす声ではなく「ナイストライ」と仲間を認める声が生まれます。

次ページ:コーチ自身がこれから指導力を上げるために必要なこと

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文:島沢優子

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