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10代無名の選手が20代でプロになる「逆転現象」はなぜ起こる?早熟のエリートが伸び悩む理由【エコロジカル・アプローチ育成対談:第2回】

公開:2023年11月30日 更新:2023年12月12日

キーワード:エコロジカル・アプローチテクダマテクニックディファレンシャル・ラーニングドリブルリフティング

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大阪府で活動する「AC.gloria girls U15(グローリアガールズ)」の監督を務める三木利章さんは、リフティングやコーンドリブルを指導に取り入れることで個の力を高め、平日練習2回、フットサルコートという環境にも関わらず、クラブ創設6年で3度、チームを全国大会に導いています。

また、多数のOGが1年時から全国上位の強豪校で試合に出場するなど、上のカテゴリーで通用する選手を輩出。ほかにも、永長鷹虎選手(川崎→水戸)を長きに渡って指導し、プロ入りを後押しするなど、育成のスペシャリストとして知られています。

三木さんは自身のトレーニングを「せざるを得ないトレーニング」と称し、様々な制約を設けることで狙いとする現象を導き出し、個の育成へと繋げています。

昨今、指導界で話題になっている「エコロジカル・アプローチ」は「制約を操作することで、突如として現れる相転移現象こそが、運動学習である」と述べていますが、日本にエコロジカル・アプローチを紹介し、著書を出版した植田文也さんは、その三木さんが監修し、サカイクで販売するトレーニングボール「テクダマ」の愛用者。

そこで今回、「育成のスペシャリスト」三木利章さんと、「エコロジカル・アプローチ」の植田さんによる対談が実現しました

はたして、二人のスペシャリストが考える「選手育成」「技術習得に適したトレーニング」とは?  全3回の2回目をお届けします。(取材・構成 鈴木智之)

【1回目から読む】できない子に簡単なトレーニングは逆効果。運動経験が乏しい現代の子ども達に必要な育成>>

■ジュニア時代は無名だった選手がプロになる逆転現象

植田:僕は三木さんが監修した「テクダマ」を、チームや選手の個人トレーニングで使わせてもらっています。

三木:ありがとうございます。テクダマは「自主練で使えるボールを作りたい」という観点で監修しました。自主練というとドリブルやキック、リフティングになると思いますが、繰り返していると、できるようになってしまうんですね。

植田:まさに、そうですね。

三木:できることを繰り返しても、神経系に刺激がいきません。ならば、不規則に変化するものがあればいいんじゃないかと思い、重心が変わるボールを思いつきました。

植田:僕はテクダマをチームトレーニングのほかに、Jリーガーの個人トレーニングに使っているのですが、フィジカルに長けた選手、いわゆるフィジカルエリートで、技術練習をそれほどやってこなかった選手ほど苦戦していますね。

三木:そうでしょうね。

植田:ジュニア年代で高い評価を受けていた選手が、10代後半で伸び悩むというか、大成しないケースはたくさんあります。一方で、ジュニアのときは無名でトレセンにも選ばれていない選手が、20歳前後でググっと伸びてプロになるといったように、評価が逆転する現象はよく起こります。

三木:そのようなケースは、山ほどありますよね。

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■フィジカルに優れた早熟な選手ほど多様な運動経験が必要

植田:その要因のひとつに、前回もお話した「遠い転移」が関係しているのではないかと思っています。子どもの頃からサッカーばかりしてきたエリートと比べて、サッカー以外のスポーツや運動体験を積んできた選手は、10代後半から20歳前後になったときに、多様な運動経験がサッカーのスキルと相まって、サッカー選手としての能力がググっと伸びるのではないかと。日本代表で大卒選手が活躍していますが、遠回りして、様々な運動経験を積んだ後、それが大人になって花開いて伸びるイメージです。

三木:それはあるかもしれないですね。

植田:とくに子どもの頃、背が高い、足が速いといった特徴を持つ子は、能力だけでできてしまいます。一方で、ジュニア年代で多様な運動経験を積んでおかないと、将来的に体格が同じぐらいになったときに、逆転されてしまうことが起きかねません。だからこそ、フィジカルに優れているジュニアユース、ジュニア年代の子ほど、多様な運動経験をさせなければいけないと考えていて、その一環として、テクダマを使ってトレーニングをしています。

三木:それはうれしいですね。テクダマはミートする場所によって、不規則に変化します。普通のボールではできない動作や反応、反射にアプローチしたいと思って作りました。色は派手(蛍光イエロー)なので、暗いところでの自主練にも使えます。

植田:10代で将来を嘱望されるような、早熟ロードを歩んでいる選手には、新しい運動経験やボールタッチを仕込むためにテクダマでトレーニングをさせて、関節の可動域を出すためにストレッチをさせてと、とにかく運動の開発をしています。

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■道具による「制約主導アプローチ」でトレーニング効果を高める

三木:多様な運動経験でいうと、テクダマは反射能力を高めるにはいいと思います。不規則な動きをするので、頭で考えるより先に体が動くんです。たとえば試合中、シュートを打たれて、DFに当たって方向が変わった瞬間、ゴールキーパーは瞬時に反対方向へ飛ばなければいけない場面があります。それは技術というより、反応や反射ですよね。

植田:それこそ、エコロジカル・アプローチでいう「制約主導アプローチ」の道具バージョンです。不規則に動くボールが、制約のある環境を作り出しているわけで。反応や反射を経験させるためのツールとして、テクダマは使えるんじゃないかと思います。
僕が知っているGKコーチは、変化に対してとっさに反応するトレーニングがしやすいという理由で、テクダマをすごく気に入っています。

三木:フィールドプレーヤーだけでなく、GKのトレーニングにも取り入れてくれているんですね。

植田:エコロジカル・アプローチ界隈の指導者は「身体はコーチの言うことに関心を示さない」と、よく言います。身体はコーチが言ってることには関心がないけど、使っている用具にはめちゃくちゃ反応するわけです。トレーニング効果を高める上で、用具がもたらす影響はすごく大きいと思います。

■エリートプレーヤーとは「動作にバリエーションがある人」

三木:僕自身、指導の中であまり「こうやってプレーしろ」とは言いません。それよりも、コーンドリブルやリフティングのお題をクリアするために、そうせざるを得ない動作が入っているというか。テクダマも不規則に動くので、そうせざるを得ない状況を勝手に作り出しているんですよ。

植田:球技において、もっとも大事な用具はボールです。様々なボールを使うことで、学習速度は上がると思います。いまおっしゃったように、ランダムに跳ねるボールは反応も学べますし、ミクロな、やったことのないボールタッチや足首の動かし方、膝の動かし方も学ぶことができるので、動作のバリエーションが増えます。

三木:僕が感覚的に、これが大事やな、きっとこうなんやろうと思うことが、植田さんのような、勉強されてきた方に裏付けしてもらえて嬉しいです(笑)

植田:それを三木さんは、実体験の中からつかみとってきたのだと思います。エリートプレーヤーとは「動作にバリエーションがある人」と言うこともできるので、ボールを変えるアプローチであったり、ランダムに動くボールを使うことは、理論的にも正しいアプローチだと思います。

【3回目に続く】スーパーな選手はどうやって生まれるか?才能ある選手を埋もれさせない育成とエリート教育の課題>>

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<<エコロジカル・アプローチ育成対談>>
【第1回】できない子に簡単なトレーニングは逆効果。運動経験が乏しい現代の子ども達に必要な育成>>
【第2回】10代無名の選手が20代でプロになる「逆転現象」はなぜ起こる?早熟のエリートが伸び悩む理由>>
【第3回】スーパーな選手はどうやって生まれるか?才能ある選手を埋もれさせない育成とエリート教育の課題>>

<<植田文也さんによるエコロジカル・アプローチ解説記事>>
●ボールを変えればサッカーが上手くなる? 指導者に話題の学習理論「エコロジカル・アプローチ」>>
●単調なサッカーの自主練をもっと効果的にする方法とは?【エコロジカル・アプローチ:個人トレーニング編】>>
●「正しい技術、動作には個人差がある」 正解のない答えに指導者は選手をどう導く?【エコロジカル・アプローチ:チームトレーニング編】>>

三木 利章/
プロサッカーコーチ。AC.gloria girls U15(大阪)で監督をつとめ、創部6年で3度の全国出場に導く。スクール主催や全国の強豪チーム、高校などでも外部コーチとして精力的に活動。 「動きづくり」をテーマに育成年代で一番大切な『個』の技術・戦術の向上を目指し、実践で生かせる個人スキルを身につける指導を行っている。


植田 文也/
サッカーコーチ(FCガレオ玉島)、スキル習得アドバイザー(南葛SCアカデミー)、スポーツ科学博士。早稲田大学スポーツ科学研究科博士課程、ポルト大学スポーツ科学部修士課程にてエコロジカル・ダイナミクス・アプローチ、制約主導アプローチ、非線形ペダゴジー、ディファレンシャル・ラーニングなどの運動学習理論を学ぶ。
初の著書

エコロジカル・アプローチ 「教える」と「学ぶ」の価値観が劇的に変わる新しい運動学習の理論と実践』(ソル・メディア)は、サッカーに限らず、様々な競技の指導者から大きな話題となっている。

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取材・文 鈴木智之

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