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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2019年6月 5日

わが子が出てない試合は負けちゃえと言う親とお別れしたい問題

キーワード:サッカー観戦体験保護者小学生文句移籍罵声

自分の子が出てないと「負けちゃえばいいのに」とまで言う熱心な保護者がいるチームから息子を移籍させたい。親主導で体験に行ったチームでは楽しそうだったけど、今のチームを離れるのも寂しいと移籍を決断できないみたい。

移籍は本人の気持ちが一番と理解しているけど、子どもの本心が分からなくて......。とご相談をいただきました。

今回も、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、ご相談者さまにアドバイスを授けます。参考になさってください。(文:島沢優子)

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(写真はサカイクキャンプ。ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<上手い子に強くあたられる息子を救いたいのよ問題

<サッカーママからのご相談>

初めまして。
子どものチーム移籍について、ご相談させて下さい。

幼稚園から小学3年まで、少年団でサッカーをしている息子がいます。

息子のチームの保護者は、とにかく熱心な方が多く、自分の子どもが試合に出れないことに不満を言ったり、沢山試合に出てる子の文句を言ったりします。

自分の子どもが試合に出てないと、「負けちゃえばいいのに」と言う保護者までいます。

私は、そんな環境で息子をサッカーさせることがイヤで移籍を提案し、いくつかのクラブチームに体験に行きました。ただ、この移籍の話は、息子本人から言い出したわけではなく、親の私達が言い出したことです。

親から見て、移籍を考えた理由は以下の2点です
・保護者の問題
・もう少しレベルの高いチームでやらせたい

息子は、今のチームの仲間が大好きで、お別れすることを寂しがってますが、サッカーは今のチームでは物足りないというのも本心のようです。体験に行ったチームでは、すごく楽しくできたようで、そのチーム自体は気に入ってるのですが、今のチームの仲間と別れる寂しさが勝っているように思います。

体験では、そのチームの仲間と楽しそうにやっていたので、すぐに慣れて行くとは思うのですが......。

チームの移籍は、子ども本人の意志が1番重要だということもわかっているので、何度も何度も話し合ってきたのですが、息子の本心がわからなくて。

本人も、サッカー自体は今のチームには色々と不満や物足りなさを感じているようで、チーム移りたいとも言うのですが、決断ができないのです。

誰だって何年も一緒にやってきたチームを去ることは、寂しいと思います。ただ、今のチームのサッカーに未練があるわけではなく、友達と遊べなくなるのが寂しいというのが大きいようなので私も悩んでます。

それでも、子どもの意志を尊重し、今のチームに残った方がいいのでしょうか。サッカー自体は新しいチームでやりたいけど、今のチームの友達と別れたくない。と言う場合でも、友達関係を優先させるべきでしょうか。

先輩ママとしてアドバイスをお願いします。

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。
私からのアドバイスは三つです。

ひとつめ。
大変お話しづらいのですが、少年サッカーでチーム移籍が「親きっかけ」の場合、あまりうまくいきません。

■「親きっかけ」の移籍は上手くいかないケースが

ご相談者さまは、負けちゃえばいいなどという保護者がいるチームに対し嫌悪感を抱いて移籍させたいと考えていらっしゃるようですが、実際に親きっかけの移籍で多いのは「もっと強いところに」と親のほうが考えて動くケースです。

私が聞いたなかで、都内の少年団で小学3年生の息子さんを移籍させようとしたお父さんコーチがいました。

チームに内緒で強豪クラブのセレクションを受けさせたのです。息子さんは泣いて抵抗しましたが、「お前のためだって言ってるだろ」と説得され、とりあえずその場に行ったそうです。

が、結果は落選しました。

お父さんは内緒にしていたつもりでしたが、すぐに移籍しようとしたことはバレてしまい、その後少しの間チームはぎくしゃくしたようです。

周囲の親たちは、その子が仲間外れにされたりチームワークが乱れないかと気をもみましたが、幸いそうはならずに済んだようです。ただし、当事者であるお父さんは「息子には力があるんだから移籍させようとして何が悪いんだ」と怒っていた、というお話です。

その方の息子さんは6年生になってジュニアユースのセレクションを受けるのですが、チームメイトが強豪クラブに合格するなか、希望していたところはすべて落ちしてしまったそうです。

お父さんの「息子には力がある」という見立てがそもそも間違っていたのか、その当時は力はあったけれど3年間で逆転してしまったのか。おそらくその両方だと推測します。このような親きっかけの移籍話は少なくないようです。

ご相談者さまは、少し理由は異なりますが「もう少し高いレベルでやらせたい」と親が望んでいる。つまり、親きっかけの移籍であることに違いはありません。

■日本の親が陥りやすい「子どもに○○させる症候群」

ふたつめ。

お母さんの子育てに矛盾はないか、よい機会なので確認しませんか? ご相談文に「チームの移籍は、子ども本人の意志が一番重要だということもわかっている」と書かれています。

ここを読んで、子どもの話を聴こうとしている姿は共感できるなと私は感じました。

それなのに、「サッカー自体は新しいチームでやりたいけど、今のチームの友達と別れたくない。と言う場合でも、友達関係を優先させるべきでしょうか」と、親御さんの介入の是非に対する答えを私に求めています。

これは、私たち日本の親が陥りやすい「子どもに○○させる症候群」だと私は思います。言葉の節々に、という言い方があるように、言葉は何かを伝えると同時に「人」のありようを、語ります。

レベルの高いチームでやらせたい。
優先させるべきでしょうか。

この「○○させる」が、親御さんが移籍を決めることが前提なのかな? と思わせるわけです。

おそらくお母さんは意識していないと思います。こうやって偉そうにアドバイスしている私でも、油断しているとこの病がひょっこり顔を出すことがあります。

もし、お母さんが本当にお子さんを自立させたい、主体性のある、自分で考える子にしたいと考えているのなら、お母さんの脳の中から「○○させる」という言葉を少しずつでいいので削除していってください。

何度も何度も話し合ってきたのですが、息子の本心がわからないと書かれていますが、息子さんもお母さんの本心がわからないのかも知れません。

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あなたが抱えるお悩みに、先輩サッカーママ島沢優子がお答えします! ※記事になります

※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。

文:島沢優子

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