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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

上手い子に強くあたられる息子を救いたいのよ問題

公開:2019年5月29日

キーワード:3年生コーチサッカークラブ共感しても同化しない子ども成長体験早期特化

3年生からサッカーを始めた息子。最近は幼少期から始める子が多いのでみんなより下手。だいぶチームにも馴染んできたけど、最初の頃から変わらずきつい言葉で接してくる子も。コーチも知っているし他の保護者にも相談したけど、改善の兆しなく。

子どもより自分の方がモヤモヤして、相手の親と対峙したほうが良いかなと思っているけど、意地悪な子たちの親は、自分の子がそんなことをしているのを知らないようだし......、どうしたらいい? とお悩みのサッカーママからのご相談です。

今回も、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、ご相談者さまにアドバイスを授けます。参考になさってください。(文:島沢優子)

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(写真はサカイクキャンプ。ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<出しゃばって指導するお父さんにオー!マイ!ゴッド問題

<サッカーママからのご相談>

こんにちは。

息子は3年生から、サッカークラブに入りました。

既に入部している子どもたちばかりの中に、知り合いがいない状態でスタートし、この春から4年生になりました。

最初は、口の悪い子、優しい子、色々とアドバイスをくれる子、息子に対して自分より下手だとバカにする子。色々いました。

息子には悔しかったらいっぱい練習して見返そう、と1年間励ましてきました。

そして一年、だいぶチームにも馴染んできたように見えますが、一向に変わらない子が2人いて、いつまでも息子にきつい言葉で接してきます。その度に悔しくて泣いてしまうこともあるようですが、辞めたいとは言わず頑張っています。

その子はチームの中でも一番最初に入部し、プレーも確かに上手です。

この二人の事はコーチも知っています。私も何人かの他の保護者の人に相談したこともありますが、なかなか改善せずもどかしくて。

息子自身はそれでも様子見てもうちょっと頑張ってみる。と言っていますが、当の息子より私の方がモヤモヤしています。

こんなことで良いチームと言えるのだろうか? 直接、向こうの親御さんと話した方が良いのかもしれない、と思い始めています。

チームの保護者同士はみんな割りと仲良くしている方だと思いますが、その子の親は自分の子がうちの息子にきつく当たっていることを知らないようです。

わが子が傷つけられているのを何とかしたいのですが、どう対処したらいいかアドバイスよろしくお願いします。

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

「わが子が傷つけられているのを何とかしたい」

これはお母さんの正直なお気持ちでしょう。

息子さんにきつい言葉で接してくるとあり、どんな場面でどんなふうに言われたのか具体的には書かれていませんが、十分想像できます。ミスをすると例えば「へたくそ」となじられたり、「ちゃんとやれ」というような上から目線の言葉を投げられたのかもしれません。

子どもはストレートで正直。思ったことを口にしてしまうので、相手は未熟な子どもだとわかっていても、傷つけられたわが子が不憫で仕方がないことでしょう。

私もお母さんの気持ちに十分共感できます。

■スタートが遅く手も大丈夫。今お子さんは学校だけではできない貴重な体験をしている

ここからが本題です。


「息子自身はそれでも様子見てもうちょっと頑張ってみる。と言っています」とあるので、おそらくお母さんは息子さんに対して何らかの提案をされているようです。
「お母さんがコーチとか、あの子たちの親に言ってあげようか?」
「大丈夫?一緒に言いに行く?」

言葉は違うかもしれませんが、お子さんに状況を確認しています。

彼のつらい気持ちに共感するこのような行動は悪いことではなく、息子さんは「ひとりじゃないんだ」と心強いでしょう。

ただし、人は他者の気持ちに共感しすぎて感情的になると、その人と同化してしまいます。「当の息子より私の方がモヤモヤしています」と明かされているように、「息子がつらいと、私もつらい」という状態ですね。

そうなると、自分のモヤモヤを晴らすためにどうしたらよいか、という思考になってしまい、一番大切にしなくてはいけない視点を忘れてしまいます。

それは、ここで言えば「サッカーをすることで息子がどうやって成長できるか」という見方です。ここを忘れてはいけません。

低学年から始める子が多いサッカーを、息子さんは3年生からスタートさせました。足を使うスポーツなので、2年間ほど余計にやっている仲間のほうが上手なのは当然です。

実は彼のように少し遅く始めた子はどこのチームにもいます。同じように最初はついていけなかったり、「みんなの足を引っ張っている」と落ち込んだりしますが、だんだんと技術は向上していきます。

特にそういう子は「追いつきたい」と練習を頑張るので、体の大きさや足の速さがそろってくる高学年になると、周囲との差はほとんどなくなります。そのプロセスで、子どもは「こつこつやれば追いつける」という学校だけではできないような貴重な成長体験を積むわけです。

したがって、お母さんもこの機会にぜひ「なぜ息子にサッカーをやらせているのか」「サッカーから何を学ばせたいのか」を考えてみてください。

それを考えたとき、いまお母さんが考え始めているアイデアが、適切かどうかがきっとわかるはずです。

■親が出ることが子どもにとってプラスとは限らない。まずはコーチに相談を

おっしゃるように、お母さんが直接向こうの親御さんと話せば、きっと彼らからのきつい言葉はなくなるでしょう。

でも、そこから、お母さんたち親子は「子どものことに親が乗り出してくるご家庭」というレッテルが張られます。それは息子さんの成長にとって果たしてプラスになるでしょうか。

もちろん、子育てに100%の正解はありません。親同士の話し合いが必要な場合もあるでしょう。

が、今回は違うような気がします。

なぜならば、サッカーの時間に、サッカーという場所で起きていることは、チームの問題だからです。チームは、子どものもの。そして、コーチと子どもが心や言葉を通わせる時間と場所。親はサポーターですから、遠くから温かく見守るのが一番の役目です。

その点からいうと、私はお母さんがコーチに息子さんのことを相談した形跡がないことが気になります。

「この二人の事はコーチも知っています」とありますが、コーチに理解してもらわなくてはいけないのは、息子さんの気持ちです。

そこで、お母さんはぜひサポーターの役目を果たすことを考えてください。

まずは、コーチに家でのお子さんの様子を伝える。サッカーの時間と場所ではコーチは見ているわけですから、彼らにももう少し様子を見るとか、個人的に話をするといったことを考えているかもしれません。

よって、お母さんは「家ではやはりつらそうで、こんなふうに言っています」と、家での様子を伝えてほしいと思います。

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文:島沢優子

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