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スポーツの特性やコーチの関わり方が子どもの自己肯定感や幸福度にどの程度影響するのか【サカイク調査結果】

公開:2023年4月11日 更新:2023年4月17日

キーワード:コミュニケーションスポーツ大森FC子どもへの接し方自信自己肯定感

『子ども・若者白書』(平成26年版/内閣府)によると、日本の若者(13歳~29歳)は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、韓国といった諸外国に比べ、自己肯定感が低いというデータがあります。

自分自身に満足していると答えた人の割合は、アメリカ(86.0%)、イギリス(83.1%)、フランス(82.7%)、ドイツ(80.9%)、スウェーデン(74.4%)、韓国(71.5%)に対し、日本はわずか45.8%にとどまりました。

そこでサカイクでは、サッカークラブやコーチの関わりが子どもに与える影響について調査しました。

令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】における設問に対し、東京都大田区で活動する大森FCの選手85名に回答してもらい比較したところ、全国調査に比べ、自己肯定感がとても高いという結果が出ました。

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「自分には、よいところがあると思いますか」への回答 「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」で79.3% 出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】

大森FC.jpg
同じ質問の大森FCの回答 「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」で100%、「どちらかといえば、当てはまらない」「当てはまらない」という回答は無かった

 

なぜ、大森FCの子どもたちは、自己肯定感が高いのでしょうか? クラブの代表を務める小島直人氏と小学4年生のお子さんをお持ちの保護者2名に話を聞きました。
(取材・文:鈴木智之 写真提供:大森FC)

 

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写真提供:大森FC

 

後編:サッカーを楽しみながら上を目指すのにも自己肯定感が重要な理由 クラブやコーチが子どもに与える影響【サカイク調査結果】>>

 

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■大森FCに子どもを通わせることになった理由

本田さん
うちの子は小学2年生の終わりに、大森FCに入りました。入会前に練習参加をしたところ、子どもがすぐに「このクラブに入りたい!」と言ったことがきっかけです。練習参加で緊張していたところ、周りの子が「どこから来たの?」「名前は?」などと聞いてくれて、すぐに仲間の輪に入れてくれたことがうれしかったようです。

 

西川さん
うちの子は小学3年生の4月に入りました。いくつかのクラブに練習参加したのですが、子どもが「このクラブがいい!」と即答でした。練習参加の後に、みんなで鬼ごっこをしたのが楽しかったそうです。私としても、子どもがすぐに打ち解けて、コーチもすごく良い雰囲気で鬼ごっこを見守っていたので、良さそうなクラブだなと思いました。

 

小島代表
大森FCは、以前からたくさんの子が練習参加に来てくれるクラブです。そのため、新しい子が来たときに「名前、なんて言うの?」といったように、話しかけることが伝統になっています。みんな、その経験を経てクラブに入っているので、自然とそうなっていくんですよね。

コーチがそうしろと言っているわけではなく、みんなが仲間として受け入れる空間があります。それが自己肯定感の高さにつながるところはあるのかもしれません。

練習参加した子が「練習後の鬼ごっこが楽しかった」と言ってくれていましたが、それも自然に発生するもので、サッカーのときもあればバスケットをすることもあります。練習が終わった後に、みんなで楽しく遊ぶのは、友達になれる時間なので、コーチは口を出さずに見守っています。

 

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■大森FCに入って、子どもが変わった、成長したところは?

本田さん
試合中に声を出すことと、自分のことは自分でするようになってきました。うちの子の学区では、小学4年生から宿泊学習をするのですが、大森FCでは頻繁に合宿があるので、荷物の準備を自分でしたり、わからないことがあれば先生やコーチに聞くことが、自分からできるようになってきました。

大森FCに入るまでは、困ったことがあっても恥ずかしくて大人に聞くことができなくて、気づいてもらうのを待つことが多かったのですが、困ったことがあったら、自分から主張して、コーチなり誰かに助けてもらうことができるようになりました。

 

西川さん
大森FCのコーチは、子どもを子ども扱いしないところがあります。当初、うちの子はそれを怖いと感じていました。保育園や学校の先生は、子どもを子ども扱いして、優しく接してくれることが多かったんです。

大森FCに入って、子どもを子ども扱いせず、対等に扱ってくれることに、最初は戸惑っていました。「コーチが怖い」って。私としては、「どこが怖いの?」みたいな感じだったのですが(笑)。

それが、徐々に「コーチは面白い」に変わってきました。いままでは優しい先生と接することが多くて、大森のコーチに対して身構えてしまったところがあったのですが、いまはどの学年のコーチとも楽しそうに接しています。

トップチームの選手たちとも絡むことがあり、あるとき「トップチームの選手にジュースをおごってもらっちゃった」と、うれしそうに話していました。同世代だけでなく、幅広い世代の人たちと接する機会が多いことで、コミュニケーション能力が上がってきたと感じます。

 

小島代表
色々な大人と接することで、感性が磨かれることはあると思います。なので、なるべく同じコーチが連続して指導をしないようにしていて、いろんなコーチのいろんなアプローチの仕方を知ってほしいです。

たとえば一人のコーチと合わないときは、私にでもいいし、他のコーチでも、ユースの監督でもいいので、誰かに相談できる環境があることが大事だと思っています。海外のビッグクラブには、食堂のおじさんや掃除のおばさんなど、気軽に相談できる人が身近にいます。大森FCでも、相談しやすい人をみつけてほしいと思っています。

 

■自己肯定感の重要性について感じること

西川さん
自己肯定感とは、自分を自分で受けられることだと思います。自分のことを自分で認めることができないと、自分と違う人に対してアレルギーを持ってしまいますよね。自分を理解していると、自分と違いがある人に対しても、受け入れられるようになるのかなと思います。

 

本田さん
自己肯定感が強くないと、心の悩みが増えてくるのではないかと感じます。否定されることが多い環境だと、私なんてどうせ......、という考え方になってしまいがちです。自己肯定感があると、困難にぶつかったときのベースになるというか、自分を支えてくれる根本の自信になると思います。

 

小島代表
大森FCはサッカークラブですが、売り物にしているのは、生きがいや成長です。それは全スタッフと共有していて、子どもたちはサッカーが好きで上手くなりたいと思っています。サッカーはミスのスポーツなので、失敗するのは当たり前。大事なのは、その失敗を受け入れて、どう成長していくかです。そのプロセスがサッカーには詰まっていて、コーチたちもチャレンジを奨励するような接し方をしています。その繰り返しが、自己肯定感につながっていくのではないでしょうか。

 

■生きがいと自己肯定感 

大森FC4.JPG
写真提供:大森FC

 

大森FCの小島代表、保護者のみなさんに話をうかがっていると、「子どもを一人の人間として認め」「チャレンジをうながして、失敗しても良い」という雰囲気を作ることで、伸び伸びとサッカーに取り組み、その結果、成長していくというプロセスを感じました。

小島代表は「サッカーを通じて、生きがいを与えたい」と言っていましたが、生きがいを感じることと自己肯定感を高めることは、とても密接な関係にあるのではないでしょうか。

次回の記事では、自己肯定感をなくさないために、子どもたちと接する上で心がけていることについて紹介します。

 

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