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考える力

足元の技術があるだけじゃダメ、サッカーにおいて不可欠な「対話力」を育てるために大人が気を付けること

公開:2020年4月20日

キーワード:4ゴールいいとこメガネコミュニケーションフニーニョ伊勢原FCフォレスト作戦会議対話

サッカーは双方向のコミュニケーションが必要なスポーツです。自分はこのプレーがしたい。味方にこういうプレーをしてほしい。チームの戦術や作戦のもと、互いに要求しながらベストなプレーを繰り出して行きます。

サカイクではライフスキルとして『感謝の心』『コミュニケーション』『考える力』『リーダーシップ』『チャレンジ』と5つのテーマを大切にしています。これらは子どもから大人になり、社会に出て行く上でも重要なスキルです。

神奈川県伊勢原市で活動する『伊勢原FCフォレスト』は「子どもが自分で考えて行動できるようになること」をテーマに掲げているサッカークラブです。このクラブでは自分の意見を言うことだけでなく、チームメイトとの対立も大事にしています。

そこにはどういう意図があるのか、チームの代表を務める一場哲宏監督にお話を伺いました。

一場監督は日本だけでなく、ドイツやイングランドといった外国でも指導をした経験があるので、日本の子どもとの違いなども教えてくれました。
(取材・文:鈴木智之)

 

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子どもたちが発言しやすい環境づくりをしていると一場監督は言います

 

 

■サッカーにおいて不可欠な「対話力」を育てるために大人が気を付けること

サッカーはチームスポーツであり、コミュニケーションスポーツである以上、「対話」は必要不可欠です。一場監督は「積極的に意見を言える人になってほしい」という想いから、チームの中で発言しやすい雰囲気を作るよう、心がけているそうです。

「私は4年ほど、ドイツで指導をしていたのですが、ドイツの子達は小さい頃から、自分の意見をしっかりと言うような教育を受けています。親も子どもの意見を頭から否定せず、まずは聞き入れます。そのような環境だからこそ、自分の意見をしっかりと伝えられる、自己主張できるのだと思います」

一方の日本の子どもたちは、自分の意見を言うのが、それほど得意ではありません。「何か質問がある人?」と尋ねると、周りの顔色をうかがって何も言わない......という場面は、子どもに限らず大人でもよくあります。

そこで伊勢原FCフォレストでは『作戦会議』『いいとこメガネ』などの仕掛けをすることで、子どもたちが発言しやすい環境づくりをしているそうです。

「フォレストではキャプテンを日替わりにしているのですが、ウォーミングアップでは『どんな鬼ごっこをしたいか』をチームで話しあってもらい、最終的にはキャプテンが決めるようにしています。それは自分の意見を主張することや、リーダーシップとフォロワーシップを体験することにもつながります。練習ではゴールを4つ置いた『4ゴールゲーム』(=フニーニョのこと ※過去に配信したフニーニョの記事にリンクします)をよくするのですが、ゲームの合間に必ず『作戦会議』をしますし、練習や試合が終わった後には『いいとこメガネ』をして、自分や仲間のどこが良かったかをそれぞれ発表しています

『いいとこメガネ』では「相手からボールを奪えた」「最後まで諦めずにシュートを打てた」「スローインが飛ぶようになった」など、様々な意見が出てくるそうです。小学校1、2年生の中には、何を言えばいいかがわからない子もいます。そういうときは、周りの子たちが「○○くんのいいところは、相手からボールを奪ったこと」などとフォローしていきます。

「小学校1、2年生の頃は、まずは『今日の練習や試合で、自分の良かったところ』を発表していきます。自分のいいところを見つけて、人に言うことで自己肯定感のアップにつながり、みんなの前で意見を言いやすくなる。それから、仲間の良かったところをお互いに伝え合っていきます」

 

■何を言っても怒られないという心理的安心感が必要

伊勢原FCフォレストの子どもたちは、一場監督のことを「てっちゃんコーチ」と呼び、年上のお兄さんと接するようなフランクさで声をかけてきます。それも一場監督の狙いのようで、「僕らコーチは、選手より偉い立場にいるわけではありません」と言います。

「自分の意見を言うためには、何を言ってもいいんだ、コーチから怒られないんだという心理的な安全性が必要です。『そんな考え方もあるんだ。いいね』などと言って、まずは認めてあげることで、子どもたちから意見や発想がどんどん出てきますし、チャレンジしようとしてくれます。そのような環境を作ることは、意識していますね」

一場監督はそう言うと、子どもたちの発想に驚いたエピソードを教えてくれました。ある日の練習で、サッカーボールを使ったカーリングをしたときのことです。

「フラットマーカーをゴールに見立て、そこをめがけてボールを蹴り、どのチームがもっとも近くに寄せられるかを競い合いました。そうしたら、土のグラウンドに足で溝を作って、その上にボールを転がしたり、ボールが遠くに行かないように、ゴールの後ろに砂で防壁を作るチームも出てきました。それを見て、そんなやり方があったのか! と驚きましたね(笑)」

このときも、1ゲームを終えるごとに『作戦会議』の時間を作り、どうすればいいかを子どもたちで話し合ったそうです。そこで出てきた、裏技とも言えるアイデアを頭ごなしに否定するのではなく、認めて一緒におもしろがるのも、一場監督らしいと言えます。

「それを見ていた保護者も、『あんなやり方があるんですね』と驚くとともに感心していました。カーリングをしたときは1年生から4年生まで、縦割りでチームを作ったのですが、上の学年の子は、下の学年の子が意見を言いやすいように聞いてあげたりと、優しいんですよね」

 

■相手の良いところを見つける習慣がコミュニケーション力を高めることにも繋がる

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「いいことメガネ」では自分の良かったところを言います。言えない子がいたら上の学年の子がその子の良いところをフォローすることも

伊勢原FCフォレストでは、日頃から『作戦会議』を通じて、自分の意見を言うことや相手の意見を聞くこと。『いいとこメガネ』などの仕掛けを通じて、相手の良いところを見つけることや、考える力、コミュニケーション能力などを養っています。その結果として、年上の子が年下の子の面倒を見たり、意見を言いやすいようにしてあげるといった接し方ができるようになったのではないでしょうか。

次回の記事では、「ケンカなどの対立があった場合はどうするか」「その際の親やコーチの適切な接し方」について、一場監督の考えを紹介します。

 

 

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一場哲宏(いちば・てつひろ)
伊勢原FCフォレスト代表。
日本体育大学に進学後、ドイツ・ケルン体育大学にて交換留学生として4年間サッカーの指導法を学ぶ。ケルンの街クラブで5・6才カテゴリーの監督の他、イギリスや湘南ベルマーレなど国内外で指導に携わる。 2019年4月から一般社団法人伊勢原FCフォレスト代表理事と保育専門学校講師として活動中。独・英・Jクラブで確立したサッカーを通して『人間力』も養う【4ステップ理論】を提供。

保有資格は、日本サッカー協会公認指導者ライセンスB級、日本サッカー協会公認キッズリーダーインストラクター、日本キッズコーチング協会公認エキスパート、幼稚園教諭一種保育士

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取材・文:鈴木智之

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