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「おれが○○を育てた」なんてふざけるな! "育てる"ではなく子どもが"自然に育つ"環境をつくるコツ

公開:2016年5月 9日 更新:2021年1月27日

キーワード:オシムジェフユナイテッド市原・千葉ドイツ京都サンガ環境祖母井秀隆考える

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■休みが、子どもに自分で考える環境を与える

つづいて祖母井さんが行なった改革は“休みを与えること”でした。
 
「佐藤兄弟、阿部より上には、山口、酒井といったいい選手もいて、将来有望なユース選手はトップチームで練習するチャンスも与えるようにしました。一方で私は、欧州のプロクラブでU-8からトップチームまでエリート街道まっしぐらに上がっていった選手がほとんどいないことも知っていました。なぜなら、ストレスやプレッシャーに負けてしまうからです。特にプレッシャーは、保護者、指導者、今であれば代理人などからかかってきます。だから私はジェフで子どもたちにプレッシャーを与えないようにしました。具体的には休みを与えることで、試合前日を休みにして、夏休みもたくさん与えました。リスクはありましたけれど、ある意味で“ゆるゆる”の環境を作りました」
 
ただし、祖母井さんは単に休みを多く設定したのではなく、プロクラブの責任者としてアカデミーの選手たちが将来プロで活躍できる自律の力を持っているかどうかを測ることもしていました。「試合前日に『次の日は試合だ』と感じることのできる選手は阿部のように今でも残っています。逆に、夏の試合前日に海水浴に行って真っ赤に日焼けをして試合に来るような選手はやはり生き残っていません」と祖母井さんは話します。
 
ジェフの育成部長時代から祖母井さんの頭には、「10年以上プロでプレーできる選手の育成」という目標がありました。プロで10年以上活躍すれば「引退後のセカンドキャリアも上手くいきやすい」と祖母井さんは言います。そういった選手が育つためには、「自分で考える時間がないと難しい」と祖母井さんは説明します。アカデミーの選手に対して積極的な休みを与えた改革の背後にはそうした緻密な狙いもあったのでした。
 
また、ジェフの育成部長から京都サンガF.C.のGMの時代まで祖母井さんは一貫して選手の保護者と常に円滑なコミュニケーションを取っていたと言います。
 
「クラブのことを考えての線引はした上で、保護者と本音で話せる機会は作っていました。個別に食事は行きませんが、保護者の皆さんと飲みに行くことはしていました。その方が物事は複雑になりますし、面倒臭いことも起こりますが、選手が育つためにはいろいろな人との関わりが必要で保護者は絶対に無視できない存在です。親の関与をすべて排除してクラブだけで選手が育つということはありません」 
 
育てるのではなく育つ環境を作る。
 
祖母井さんがジェフのみならず、フランス代表FWジルー(アーセナル)、アルジェリア代表MFフェグリ(バレンシア)を輩出したグルノーブル、U-23日本代表FWの久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)を筆頭に毎年数多くのプロ選手が育つ京都サンガF.C.でトップチームの強化のみならず、アカデミー、育成の充実という成果を出してきた手腕の裏には自律と自律を共に育み、生きる力を伸ばす環境作りの哲学があったのです。
 

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取材・文 小澤一郎

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