考える力

2015年2月24日

恥ずかしがらず挑戦することで身に付く、自ら考え体現する力

「なにか質問がある人はいますか?」
 
その先生の言葉に返答が返ってこない。質問することを恥ずかしがる子どもたち。日本の小学校でよく見る状況です。気になったことがあって答えを知りたい衝動にかられるも、それを聞くことができずに時間が過ぎてしまう。あなたにも、そんな記憶があるのではないでしょうか? 
 
そういった場面で、躊躇なく質問できるのがスペイン人です。 今回は、スペイン人の子どもたちの姿勢から、日本の子どもたちに足りない、自ら考えて『体現する力』の育て方を教わりましょう。(取材・文 一色伸裕 写真 田川秀之)
 
 
 

■質問できない日本人、人の話を聞けないスペイン人

「どこから来たの? 日本人? なんでスペインにいるの?」
 
筆者が5年ほどスペインに住んでいたとき、小学生の子どもからよくこのような質問を投げかけられました。もちろん子どもたちが好奇心旺盛なのは、スペインに限られたことではありません。フランス、イタリア、英国、ドイツ、さらにはオランダ、北欧、東欧諸国と、取材に行く先々で同様の質問をたびたび受けてきました。子どもたちが好奇心旺盛なのは万国共通であり、日本の子どもも例外なくそれにあてはまると言えるでしょう。
 
では、日本の子どもたちと欧米の子どもたちとでは何が違うのでしょうか。スペイン・バルセロナ近郊の街サバデルで、7才~11才の子どもにサッカーを教えている小堺めぐみさんは、聞く力、発言する力、体現する力に違いがあると言います。
 
「スペインやそのほかの欧州の国の子どもたちは、分からないときははっきりと『分からない』と言い、質問をしてきます。日本の子どもにありがちな質問することを『恥ずかしがる』ということはありません」と説明。気になったことは自分が理解するまで何度でも質問してくるので、「聞きたい」「知りたい」のに、質問することを躊躇(ちゅうちょ)してしまって、そのまま聞けずに終わってしまうことはないと言います。
 
スペインの子どものように、気になることをしっかりと質問するという姿勢は日本の子どもたちに見習ってほしい点ですが、一方で「日本人の聞く姿勢は、スペインの子に見習ってほしい」と強調します。「スペインの子どもの多くは、自分の興味のあることへの探究心は旺盛ですが、興味のないこととなると話を聞こうとせず、同じミスを繰り返してしまうから」というのが理由のようです。「ボールを受けてのターンの練習をしたときの話ですが、やり方を説明したのに全然人の話を聞かず、『できない』と言って不満顔を見せた子がいました。『なぜ、この練習が必要なのか』を説明しないとやりたがらないし、すぐに諦めてしまうんです」。これに対して日本の子どもは監督やコーチの話をしっかりと聞き、ミスをしないように言われたとおりにプレーします。言われたことだけをやるというところでは想像力は育まれませんが、聞く姿勢に限って言えば、日本の子どもたちのそれは素晴らしいものがあるようです。
 

■言い訳しながらも挑戦する姿勢が大切

2011年にスペインへと渡った小堺さんは、最初は選手としてプレーし、2013年から子どもたちを教えるようになりました。現在は7才~11才を指導していますが、子どもたちと接していて、「なぜスペインがサッカー強国なのか」、その理由を毎日の練習で感じていると言います。
 
「こっちの子どもはいい意味で『我』が強いんです。練習でも『自分で、自分で』というようにプレーします。ミスを恐れずに、ミスしても『なんでカバーしない』とか『なんで走らない、こっちだろ』などと、言い訳をしながらも何度も挑戦するのです。その姿勢が大事だと思うんです」。
 
日本ではチームプレー、協調性を大事にする傾向があり、それを逸脱する行為は敬遠されがちです。ただ、過度のエゴイスティックなプレーは肯定できるものではありませんが、自分の考えを積極的に表現することは体現する力として身に付いていきますし、ミスを恐れないで挑戦し続ける精神も育むことになります。「日本サッカーは組織的」と評価される一方で、「ゴールへのイマジネーションが足りない」と指摘されることが多々ありますが、その要因として、この『体現する力の欠如』が挙げられるのではないでしょうか。
 
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