考える力

2014年7月29日

日本サッカーの育成に必要なのは「ゲームを観て議論する文化」

※COACH UNITEDより転載(2014年7月15日掲載記事)※
 
前回は、イングランド、オランダ、ドイツなど様々な国で指導者として活躍し、国内でも横浜F・マリノスやFC東京など豊富な指導経験を持つ平野淳さん(ファンルーツアカデミー代表)に「日本の育成現場で見失われがちな『サッカーの本質』」をテーマにお話していただきました。
 
今回のテーマは「指導の質を上げるための第一歩とは何か」です。
 
Photo:U15-IMG_1015 / Schwarz Johann
 

■指導者に求められる「ゲームを観る力」

平野さんは指導者のコーチングの力を底上げするには「サッカーの本質の部分、つまり、『ゴールを奪う』、『ゴールを守る』、ということ念頭に置きながらトレーニングを構成すること」が全ての土台になると指摘した上で、さらに、その大前提として「指導者にはゲームを観る力がないといけません」と強調します。
 
「指導者がいかにゲームを観る力があるか。ジュニア年代の指導者でしたら、4対4や5対5というシンプルなミニゲームのなかから、いかにエラーを見つけ出し、課題をトレーニングに落とし込めるかが重要になります。逆にいえば、そこをしっかり抑えないとどんなに工夫したメニューを組んでも軸がぶれてしまうと思います」
 
 MTM=マッチ・トレーニング・マッチ。まずゲームをよく観て、そこから出た課題をトレーニングで改善して、またゲームを観る、というサイクルが大切だと平野さんはいいます。
 
「小学生のうちはフットサルコート(18m×36m、20m×40m)のピッチを見渡す能力があれば十分だと思います。もちろん、それ以上の広範囲にピッチを見渡せる能力を身に付けるに越したことはないのですが、そのピッチサイズのなかで、ボールの受け方やサポートの仕方、カバーの仕方などといったグループ戦術をどう身に付けられているのかをよく見ると良いでしょう。
 
そして、ミニゲームのなかから、ゴールへの意識だったり、球際の厳しさだったり、5メートルのパスは通っていても、10メートルを超えるとパスが通らなかったり、そういういくつかのエラーをを取り出し、トレーニングに落とし込んでいく。
 
そのトレーニングはシンプルなものから始めて、だんだんと相手を入れたり、ゴールをつけたりしながら最終的には再びゲーム形式で確認するという流れをつくるのが理想でしょう」
 
ここで重要なのは、実戦に適した形でトレーニングを行っていくことです。
 
 

■短い練習時間でも常に心拍数の高いドイツ

「トレーニングのなかでゲームのエラーを解決していけば、サッカーの多様な局面を打開できるようになり、試合中、無意識にプレーすることができるようになるでしょう。もちろん、トレーニングで求めることは、チームの技術、年齢(プレー経験)によって変わってきます。年齢が下がればシンプルなもの。年齢が上がれば複雑なものとなります。だからこそ、欧州などでは各協会が指標を出しているように、年齢が下がるにつれて少人数制の試合形式となるのです。
 
そして、もうひとつ大切なことは、全力で行うということ。過去にドイツの選手と日本の選手のトレーニング中の心拍数を計測したというデータを見たのですが、日本人選手は、トレーニングをしている時間こそ長いものの、心拍数は低い数字で推移していました。逆にドイツ人選手は、トレーニング時間は短いものの心拍数は常に高い数字を維持している。つまり、トレーニング時間よりも、いかにトレーニングに集中しているか、全力で取り組んでいるかという部分が大切になっているのでしょう。やる時はやる。休む時は休むというオンとオフの切り替えは本当に見習う部分かもしれません。
 
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