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考える力

ゴールを奪う、守る。日本の育成現場で見失われがちな『サッカーの本質』

公開:2014年7月28日 更新:2014年7月29日

キーワード:指導育成

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Photo:ING Ballenjongens en -meiden Selectiedag met Bondscoach Louis van Gaal / ING Nederland
 
 

■選手の集中を削がない"一貫したオーガナイズ"

また、平野さんは「欧州ではトレーニングのオーガナイズの一貫性もしっかり意識されている」と指摘します。
 
「これが日本の場合、もちろん指導者にもよりますが、たとえば、ウォーミングアップのオーガナイズが終わったら、次は、オーガナイズを変えて別のトレーニングに移行する、といった指導風景がしばしば見受けられることがあります。が、この点について欧州はといえば、先ほどのクラウスなどは、はじめは単純なターンのドリルワークから始まっても、ターンに徐々に様々なバリエーションをつけて、さらにはターンをする時間制限を設けてリレー形式にしたりします。
 
そして対人の要素を入れて、さらにゴールをつけて実践を意識させて、最後に4対4や5対5のミニゲーム。そのようにトレーニングを一貫した流れの中で行います。
 
欧州の指導風景では、単純なトレーニングから始まって、練習が終わる頃には複雑なものになっていることがほとんど。その単純なトレーニングであっても、徐々に相手がいて、ゴールがある、という状況に発展していくのです。だからこそ子どもたちは、つねにボールの置き方を意識しないといけないし、ゴールへの意識を持たなくてはならない状況に身を置く必要があるのです」
 
すべてはサッカーの本質の部分を捉えてトレーニングを構成しているからこそでしょう。平野さんはさらにこう続けます。
 
「欧州でも育成年代のエキスパートであるクラウスはこう強調しています。『子どもは負けず嫌い。だから、必ず人やゴールをつけて、子どもたちに競わせる要素を入れてあげると、どんなトレーニングでも飽きずに90分間、集中してやってくれる』と。子どもたちの内面的なところまでしっかり見ながら、うまくトレーニングを構成して子どもの積極的な姿勢を引き出せる指導者はそう多くはありません」
 
欧州では、アベレージ以下の指導者の質を底上げしようと各国で試行錯誤しています。一方、日本の育成現場では、指導者各々が氾濫する情報のなかから、それぞれが試行錯誤してもがいているのが現状かもしれません。進むべき方向性を見極められないでいる指導者もなかにはいるのではないでしょうか。
 
では、平野さんが考える、指導力を向上させるために、まず取り組むべき第一歩とは何なのでしょうか。
 
「指導者は何よりもゲームを見るときの観察力がないといけません」
平野さんはそう指摘します。次回は、この言葉に詰まる意図を紐解いていきます。
 
日本サッカーの育成に必要なのは「ゲームを観て議論する文化」>>
 
平野 淳さん
平野 淳(ひらの・じゅん)
大学卒業後、欧米にコーチ留学。UEFAライセンスをはじめ、イングランド、スコットランド、オランダ、ドイツ、米国などで指導者ライセンスを取得。横浜F・マリノスやFC東京などJクラブのジュニアからユース年代の指導に携わったほか、海外でも子どもたちの指導経験を持つ。現在はファンルーツアカデミーおよびFCトレーロスの代表を務め、国内外で普及活動を展開している。
 

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取材・文 杜乃伍真  写真  okebaja、ING Nederland

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