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50名近くのJリーガーを輩出した大津高校。100分トレーニングで3つの要素の速さと正確さを高める方法とは?

公開:2021年11月26日 更新:2021年12月 3日

ワールドカップの日本代表メンバーにも選出された巻誠一郎(元ジェフユナイテッド市原・千葉)や植田直通(ニーム/フランス)、昨年のJリーグチャンピオンの川崎フロンターレで主力として活躍する谷口彰悟など、これまで50名近くのJリーガーを輩出している熊本県の大津高校。

全国でも有数の育成力は、平岡和徳総監督が唱える100分間トレーニングによって支えられている。テンポよくトレーニングを進めることで内容が濃くなるのと、選手の集中力を最後まで維持するのが100分に限定する狙いだが、実際にどんなトレーニングをしているのか気になる指導者も多いだろう。今回、COACH UNITED ACADEMYでは前編と後編に分けて、大津が実践する100分トレーニングの全貌を公開していく。(文・森田将義)

(※COACH UNITED 2021年1月25日掲載記事より転載)

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パス&コントロールは、ボールを落とすのではなく繋ぐ

この日のトレーニングを指導するのは、2020年度から平岡総監督の下で、指揮を執る山城朋大監督。チームのOBとして長年コーチを務め、大津の育成ノウハウを全て知る存在だ。

大津が行うトレーニングでは、サッカーに必要なフィジカル・ボール・シンキングの3つの速さと正確さを高めるのを大事にしており、そのベースとなるパス&コントロールのメニューはウォーミングアップとして毎日欠かさず行っている。初めに行うのは、Y字の形に選手を二人ずつ配置して行うパス&コントールのメニューだ。

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図の通り2タッチでパスを出したら素早く前方に出て受け直し、次の選手へと展開するのがルール。スムーズなボール回しに大事なのはパスの速さと質と共に、パスを交換する際の主導権を受け手と出し手のどちらが握るかだ。パスを出した所に受け手が走り込む意識でプレーすると、相手に読まれやすく、味方同士の呼吸も合いにくい。だが、受け手が走り込んだ位置にパス出せば、ボールを失うリスクがグンと減る。そのため、大津では"人が先に動く"意識と動きながらボールを扱う習慣を身につけるため、パス&コントールのメニューを徹底している。

パスを出す際の動きにも細かな注意点がある。ボールを受ける際には次に受ける選手と目を合わせ、どこに走ろうとしているのか意思疎通を図り、進行方向にパスを出す。受け直す前には周りの状況を見て、次のパスコースに対して身体を開くのも重要な動きだ。

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同時に、足を振る感覚でパスを出すとボールの軌道が乱れ、受け手がコントロールしづらくなるため、ボールを押し出すイメージでパスを出して欲しい。もう一点、注意すべきなのはパス&コントロールで走り込んだ選手にボールを預ける際は、"落とす"という表現を使いがちだが、実際にボールを落とす感覚でプレーするとボールの勢いが止まり、走り込んだ選手と合わない場面が生まれやすい。そのため、走り込んだ選手にパスを繋ぐ感覚を持ってプレーするのがポイントだ。

パスを受ける際は角度にも気をつけたい。確実にリターンパスを受けようとして、出し手に寄り過ぎると次のパスが出しづらい。スペースに走り込んで受けるなど、次の展開まで考えながらプレーするのがスムーズなボール回しには必要だ。

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メニューに慣れてきたら、タッチ数の制限を2タッチから1タッチへと変更し、ボール回しのテンポを速める。また、3段階目として半分程度にグリッドを狭め、選手同士の距離を短くすることで難易度を上げる。その際は、パススピードを速くしすぎると受け手のコントロールが難しくなり、テンポが上がらないため、適度なパススピードを意識したい。

スムーズにパスを繋ぐために大事なのは、かかとをつけないサイドステップ

パス&コントロールで素早いパス回しに必要な基礎を身につけると、今度は5m四方のグリッドで行う5vs1のボール回しへと移る。攻撃の5人はダイレクトでパスを繋ぎながら、ポジションチェンジを繰り返すのがルール。DFがボールを奪ったら、奪われた選手と交代となる。

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パスがズレずにテンポよくボールを動かすためには、ボールを受ける選手の両隣りに常に味方が立って、パスコースを確保しなければいけない。そうした状況を常に作りながら、スペースが生まれてしまうポジションチェンジするのは決して簡単ではない。適切なタイミングでポジションチェンジするには、ボールの動きを目で追いかけるだけでなく、仲間の動きや身体の向きをよく見てタイミングを伺わなければいけない。しっかり情報を確保するために、かかとをつけないサイドステップで常に動き続けるのがポイントだ。

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また、確実にボールを繋ぐためにリターンパスを選択肢として持つのは重要だが、そればかりになるとDFに追い込まれてボールを奪われるリスクが高まる。ある程度ボール回しに慣れてきたら、「リターンパスは1回まで」と制限をつけ、1つ先へとパスを飛ばす意識を身につけたい。

メニュー内容だけでなく、山城監督の声掛けには選手を育てるために必要な要素がたくさんあるため、動画で詳細を確認して欲しい。後編では、より実戦的なトレーニングメニューを紹介していく。

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【講師】山城朋大/
大津高校、福岡教育大学でMFとして活躍。大学院に進学後は、2年間学生監督を務めた。卒業後は母校のコーチを6年勤め、2020年からは監督に就任した。

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