テクニック

2016年4月18日

毎年プロ選手を生み出す秘密とは? 試合で使える技術を磨く「ボールコーディネーション」とは

 

■どうすればイニエスタのようにプレーできるのか、辿りついた答え

興國の選手のドリブルを見ていると、上半身が起きていて、リズミカルに足を運んでいます。その動作は、イニエスタの動きに近いものがあります。内野監督は「テクニックとテクニックをリズムで繋ぐのがボールコーディネーション」と表現します。
「リズミカルに、スムーズな動きでボールを扱うことができで、はじめて興國が目指すポゼッションサッカーができるようになります。ジダンもイニエスタもそうですけど、どんなに速いボールやズレたボールが来ても、意図したところにスムーズな動きで置くことができますよね。あの動きが、ボールコーディネーションなんです。彼らは動きに無駄がなく、流れるようにプレーしています。バルサのホーム、カンプ・ノウはピッチに水を撒くので、パススピードがものすごく速いです。でもそこで、シャビやイニエスタはプレースピードを落とさず、正確にボールをコントロールします。実際にカンプ・ノウで彼らのプレーを見て、どうやったらできるんやろうと考えて、彼らの動作を研究した結果、ボールコーディネーションにたどり着きました」
 

■ポイントは動作とボールコントロールが平行して行われること

ボールコーディネーションの練習で、4人が四角形を作り、ツーステップでパスを回す練習があります。選手たちの動きを見ていると、ボールを蹴る動作と移動の動作がつながっているので、動きが素早く、無駄がありません。
 
ツーステップのスクエアパス(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)
 
「パスを出した一歩目が、走りの一歩目になるという考え方で練習をしています。それができれば、パスを出した動きのまま、味方のサポートに行くことができますよね。単なるボール扱いの練習だけでなく、動作とボールコントロールが平行して行われているところがポイントで、それが、日本人が世界で生き延びるために必要な要素かなと思っています。常に動いていれば、相手にぶつかられる可能性も減りますよね。それをシャビやイニエスタは、自然にやっています。でも、多くの日本人はできません。だから練習するしかない。日本人のストロングポイントは、地味な練習を反復できるところだと思います。努力と反復練習でイニエスタに近づこうと、興國の選手は1年生のときから、ボールコーディネーショントレーニングをしているわけです」
 
(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)
 
興國では、シャビやイニエスタといった、トップレベルの選手の動きを解析し、独自のトレーニングに落とし込んでいます。毎日、実直にトレーニングを続けた成果が、卓越したボールコントロールの技術であり、ハイレベルなコーディネーションなのです。高い技術、コーディネーションを身につけた選手たちが、ポゼッションをベースとした攻撃サッカーを展開する。それが興國高校の強さの一因と言えるでしょう。
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