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サッカーのディフェンスはポジショニングが9割

公開:2014年5月 7日 更新:2020年3月24日

キーワード:ポジショニング

ジーコジャパン時代、日本代表として32試合に出場したディフェンダーの田中誠さん。1994年から2008年までプレーしたジュビロ磐田では、センターバックとして353試合に出場し、黄金時代を築いたチームを最後尾から支えました。2009年からはアビスパ福岡に所属し、2011年に現役引退。現在はサッカー解説者、そして小学生を対象としたスクールでコーチを務めています。
「自分は足が遅い」と語る田中さんは、"ポジショニング"の質にこだわることで、プロの世界で活躍してきました。足が遅いなら、遅いなりに、どう対応するべきか?
たとえばオランダの指導では、「サッカーは陸上ではない。フライングができるスポーツだ」と言われることがあります。スピードの差によって相手に1メートル離されてしまうのなら、あらかじめ予測して動き、先に1メートル進んでおけば、スピードの差はチャラになります。サッカーはそれが可能なスポーツです。
そのような頭を使ったディフェンスをするために、キーワードになるのが"ポジショニング"です。田中さんは実際にどのようなポジショニングで、個の力が優れたストライカーたちと対戦してきたのでしょうか。そのコツを聞いてみました。
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取材・文/清水英斗 写真/サカイク編集部

■相手に合わせて対応できる範囲を見極める

「基本的にポジショニングは、ボールや相手と自陣ゴールを結んだ直線上に立ちます。いちばん警戒しなければいけないのは、自陣ゴールへの最短距離だからです。ただ、相手もボールを奪われないように気をつけているし、正しいポジションにバカ正直に立つだけではボールは奪えない。それぞれの個人能力は違うので、どのくらいの間合いを取るか、どの位置に追い込むのか、そういう駆け引きを意識したポジショニングを感覚的に見つけるのが大切です。
たとえば足が速い人なら、ボールを遠くに出されて走り合いになっても間に合うけど、僕みたいに足が遅ければ、少し間合いを取って、足元に出されたときも、背後のスペースに出されたときも、どっちでも行ける場所を自分の中で見つけなきゃいけない。そして自分がカバーできる範囲を知り、ここに立てば背後のボールに追いついた、ここだったら間に合わなかったと、練習中から気付いて生かすことができれば、ディフェンスは上達します」
相手を見て、自分の対応できる範囲を見つけること。さらに田中さんは、相手を待ち受けるだけでなく、ポジショニングを工夫することで、自分から意図的に相手をコントロールする守備を実践していたそうです。
「僕は予測をするタイプだったので、相手のモーションを見ながらこっちに来るだろうなと読みます。だけど、そこで普通に勝負しても勝てないなら、たとえばわざと自陣ゴールを結んだ線上から少し右に外れたところに立ち、相手を左へ誘導して追い込んだりもします。ボールを奪いたい場所を空けておいて、誘い込む感じですね。相手の仕掛けをただ待つだけではなく、ポジショニングを工夫して相手を自分の意図どおりに動かして罠にはめる。要領が良かったんですよね。楽して、考えてボールを取るタイプだったので」
このように考える守備を実践していた田中さん。実際に、体の大きな選手、スピードの速い選手に対しては、さまざまな駆け引きをしていたそうです。

■ポジショニングの質を上げる方法

「ポストプレーが得意な体の大きな選手には、マークするために近づき過ぎると、体を抑えられて反転されます。だから、最初からぴったりマークするんじゃなくて、まずはボールを足元に出させてから、そこに勢いよく寄せて、体をぶつけて、相手がバランスを崩したところでボールを奪います。
それからスピードが速い選手に対しては、相手が走ろうとしているスペースにポジションを取って、足元にボールを誘導します。そうすると、相手がボールを収めるまでのちょっとした時間とか、スピードに乗るまでにも時間がかかるので、そこで間合いを寄せてボールを奪います。僕が嫌だったのは、柳沢敦選手(現ベガルタ仙台)ですね。裏に抜けるスピードが速いので。でも足元とか、ポストプレーの精度がそこまで高かったイメージはないので、一回足元にボールを入れさせて、そこに味方もプレスをかければ、多少プレッシャーがかかった中でミスを誘える。そういう駆け引きもいろいろ考えていました」
相手の能力を見ながら、勝つための駆け引きを工夫していた田中さんですが、ポジショニングは、チームの戦術とも関わりがあります。
「前からプレスがかかったら、僕らDFも必然的に前に詰めなければいけない。でも、プレスがかかっていなかったら、背後に蹴られる可能性が高いので、絶対に縦には蹴らせるなと指示は出していたし、相手に足元へパスを出させるようなファーストディフェンスで間合いを詰めるというのをやっていましたね。セカンドボールも絶対に裏に出させないように、それからワンツーで突破されるのも怖いから、多少ファールを取られてもつぶしていくという考えでやっていました。
もし、そこの間合いを詰められていなかったら、相手は足元へのパスも、背後へのパスもあり得るので、両方を考えながら、相手がパスを出す瞬間まで見極めなければいけません。いちばん怖いのは背後なので、どっちかわからないときは、ある程度引いて、足元に出させる。それでも背後を突かれるよりはいいので、いちばん怖いパスを出させないようなポジション取りをしました」
ポジショニングの質を上げるためには、自分がカバーできる範囲を知り、相手の能力を見て、そしてどんなボールが出てきやすいのか、状況を考えること。ただボーッと失敗するのではなく、そこから改善点を見つけられる人がどんどん成長していきます。
サッカーのディフェンスは相手との差を埋める作業>>
サッカースクールSKY
田中誠コーチを始め、元日本代表、元Jリーガーが直接指導をしてくれるスクール『サッカースクールSKY』多摩センター校・市川校・蒲田校・川崎校・横浜元町校(2014年5月開校)を展開中。随時無料体験開催中!
詳しくはHPを参照
http://www.sky-soccer.net
清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本』『イタリアに学ぶ ストライカー練習メニュー100 』『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
●twitterID:@kaizokuhide

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取材・文/清水英斗 写真/田川秀之・サカイク編集部

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