こころ

2016年4月20日

「コーチや周りの人たちが育ててくれる、親の役目はその環境をつくること」あの一流アスリートたちの育てかた

スポーツをする子どもを持つ親の悩みはさまざま。
 
「子どものサッカーを応援したいけど、どんなサポートをすればいいんだろう......」
「親として、どんな手助けをしてあげたらいいのかな......」
 
このような悩みを持つお父さんお母さんは、多いのではないでしょうか。
 
4月中旬、スポーツをする子どもを持つ親に向けて、『アスリートペアレンツアカデミーシンポジウム』が行われました。パネリストはテニスの杉山愛さんの母・芙沙子さん。フェンシングの太田雄貴選手の父・義昭さん。そして、卓球の平野早矢香選手の母・美恵さんです。この3人は、どのように子どもたちと関わり、お子さんが世界トップレベルのアスリートになるためのサポートをしたのでしょうか? 城北信用金庫で行われたシンポジウムの一部を紹介します。(取材・文 鈴木智之)
 
競技者としての実力だけではなく人としても魅力的な太田雄貴選手は、どのように育ったのでしょうか(写真提供 Getty Images)
 

■「コーチや周りのみんなが育ててくれる」太田雄貴選手の父の場合

北京五輪で銀メダル、ロンドン五輪では団体で銀メダルを獲得し、2020年の東京五輪招致でも活躍したフェンシングの太田雄貴選手。父親の義昭さんは、40年間、小学校の先生をしてきました。義昭さんが子どもたちと関わるうえで大切にしていたのが“間違えること”だったそうです。たとえば学校の授業で、誰かが間違った答えを言ったとします。そこで「失敗の原因を探ることが、正解につながる」と、みんなで考えるようにしていたそうです。
 
この“みんなで考えること”がポイントで、義昭さんは「子どもは学校や習い事のなかで、先生やチームメイト、先輩、後輩との会話からいろいろ教わり、成長していくもの」と語り、その意図を次のように説明します。
 
子育てを楽しむことの大切さを説いてくれた太田雄貴選手の父・義昭さん
 
「雄貴は小学生のころ、東京の女子大までフェンシングを習いに行っていました。そこの監督や選手が、ルールやマナーを教えてくれていたんです。親の役割は子どもが成長するきっかけを与えることで、コーチや周りのみんなに育ててもらうというのが私の考え。ただ、そのための環境は親がつくるものだと思います」
 
義昭さんは息子を放任していたわけではありません。フェンシングを始めた小学校から大学の半ばまで、「4320日、毎日一緒に家で練習をした」と言います。
 
「家族旅行でスキーに行っても、部屋の中で練習をしていました。毎日やると、癖になるのでやめられなくなるんです。私としてはフェンシングを通して、毎日子どもと話ができる。それが何よりも楽しかった。いまも親子関係は良いです。子どもが、親の将来を楽しませてくれました。ですから、子どものためというよりも、親が自分の将来を見据えて、どうすればいいかと考えるのが良いと思います」
 

■「好きなことをつづけるのであれば、ほかのこともするべき」平野早矢香選手の母の場合

平野家は両親ともに卓球をしており、早矢香選手がラケットを握るのは自然の流れでした。5歳で卓球を始めた早矢香選手は、小学2年生のときに全国大会で2位になるなど、早くから頭角を表していました。しかし美恵さんは「卓球が強いからといって、ほかのことはどうでもいいという考えではだめだよ」と話をしていたそうです。
 
卓球以外にも取り組むことの大切さを伝えた平野早矢香選手の母・美恵さん
 
 
「早矢香が小学生のころは、宿題や家の手伝いをしてから練習に行くように約束をしていました。早矢香は小2で全国準優勝したので、周りの方々は『すごいね』と言ってくれます。私も『がんばったね』とは言いましたが『卓球が強いことがすべてではないよ』と言っていました。『好きなことを続けるのであれば、ほかのこともきちんとしなければいけないよ』って」
 
小学生のころは、スポーツ選手である前に、社会生活を営むひとりの人間としての土台作りの時期でもあります。美恵さんは、しっかりとした大人になるために、周りへの感謝を忘れず、競技を辞めた後も応援してもらえる人になってほしいという気持ちから、早矢香選手に次のようなアドバイスをしたといいます。
 
「小さいころから『早矢香が卓球をする上で、たくさんの人にお世話になっているんだよ』ということを伝えてきました。スポーツをしていると、結果が良いときは取り上げられて、周りの人たちにも良い言葉をかけてもらえます。でも、結果が出ないと忘れられてしまいます。そこで、人間としてしっかりしていないと、今後の生活ができない。うまくいかないよと言い続けてきました。スポーツ選手は引退後の人生のほうが長いですよね。そのときに、周りの方々にどれだけ応援してもらえるかが価値だと思っていました」
 
次ページ:「小学生のころにできたのは、彼女に寄り添うこと」杉山愛選手の母の場合
 

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